失楽の巫女 メーカー:MBS TRUTH
アーク 様
るしふぁ 様
 WIN98/Me/2000/XP
 ジャンル 伝奇系ADV
 発売日&価格 2002年8月30日 8800円
 購入日&価格 2002年9月20日 6780円(通常版)
 入手難易度 普通

<ストーリー>
 突然の父の訃報を聞き、一族の故郷である旧羽矢巳村の墓に納骨を済ませた主人公鷹谷裕樹。
 数日後の朝、年少の頃から夢に頻繁にあらわれるかがり火の向こうで踊る少女が自分の目の前にいる事に気付く。
 彼女はライネと言うらしく霊感が高い者しか見えないという不可思議な存在だった。
 所かまわず体を求めてくる彼女に振り回される裕樹、それと同時に彼の周りに駆け出しの陰陽師、不登校の霊感少女、故郷の許婚といった個性的な人物が集まるようになる。
 そして裕樹は自分の一族の謎や「神降しの儀」を成そうとする者、阻止するものとの戦いに巻き込まれるのだった。 

 さて、失楽の巫女です。
 購読しているパソコンパラダイスでの紹介記事に惹かれ購入した次第ですが、プレイするまで結構不安でした。
 なぜなら以前ここの姉妹ブランドが出した「69〜sixtynine〜」でひどい目に遭ったため、もしや地雷かもという懸念が頭から離れなかったんです。
 で、プレイした感想はというと…うーん微妙ですね。地雷では無いことは確かなんですがさりとて秀作でもないと評価に困る作品でしたね。


<システム関連>
 一応CG、回想モードが付いているものの音楽モードはありません。折角聞き応えのある曲が多いだけに残念感が高いです。
 セーブは20個とそこそこの数があり、又サムネイルと進行日時を表示してくれると結構親切です。スキップは既読か否か判断してくれるもののクリックのレスポンスがやや鈍く止めようとしても中々止まってくれないのが痛かったです。
 全体的に見て細かい不満点はありますが進行に差し支えの有る様な欠陥は見受けられませんでした。
 
<シナリオ>
 上記の通り今は裕樹一人となった鷹谷一族に伝わる「神降しの儀」をめぐる戦いが主題ですがどうもインパクトに欠ける気が…確かに話も綺麗に纏まっているんですがさりとて印象に残るようなストーリーでもないし可もなく不可もなくといったところでしょう。
 ただうりであるライネとの「どこでもエッチシステム」をはじめとする60以上ものエッチシーンをストーリーを破綻させずに挿し込めたという所は見事に感じました。
 さてこのゲームでは主人公の行動により純愛、陵辱、ライネルートの3つに分かれます。
  1つ1つのルートが21日間と結構長く、しかも初期に分化する(特にライネとその他2つが)ので謎が全く解明されない陵辱、ライネルートを先にプレイすると忙しい社会人の人だと途中で投げ出してしまうかもしれません。


陵辱ルート
 許婚である春日あかね=竜神の姫君に言われるままに欲望を解放し女性を犯しまくるルートでいわゆる神降しを行う側のシナリオです。
 購入するまでメインヒロインだとばかり思っていたあかねが、実は全ての黒幕だということが分かりとても驚きました。
 謎が全く解明されないままに神降しが成就してしまい後味の悪いシナリオですが、神降しという行為が所謂神を呼び出す事では無く天界を楽園、地上を流刑地を見立てて地上に落とされた神を脱獄させるための道をつくるというアイデアは中々よかったです。
 気になった所は女性がレイプされているにもかかわらず思い切り喘ぎまくっている所、アナルセックスにも拘らずCGでは前に入っている所、純愛ルートで阻止する側の天野伊月が裕樹が創られる際に細工を施し、儀式を執り行っても神の道は出ないと言っているにもかかわらずあっさり成功したりと細かい所で矛盾点が見受けられました。
 
ライネルート
「どこでもエッチシステム」でライネとエッチしまくるとこちらのルートに進みます。
 純愛ルートで分かる事ですがライネが所かまわず体を求めてくるのは鍵穴としてのライネ、鍵としての鷹谷(厳密には模造品ですが)と言う関係上、交わろうとする本能が働くという確固とした理由を設定付けたのは見事だと感じました。
 しかしねえ、いくら他人にライネが見えないといっても授業中教室の中で事に及ぶのはどうかと、ひどい時には版書中に咥えさせたりと主人公のモラルが問われるシーンが多いのも特徴でした。
 
純愛ルート
 いわゆる神降し阻止する側に立ってあかねと対決するシナリオで、全ての謎が解明される作りとなっています。
 このシナリオだけでなく全編を通して一番悲惨なのは敵役の春日あかねでしょう。
 数百年前に死ぬはずだった彼女は堕ちた竜神に永遠ともいえる命を与えられ竜神の為に神降しを行う為奔走し、竜神が滅びた後も無駄な行為と分かりつつも自分の存在意義の確立のために生きる様は見てて憐れに思いました。
 さてこのルートで裕樹はアパートの大家の娘恭子と結ばれる訳ですが恋人になったとたん豹変して性欲大魔王になり、おいおいと突っ込まざるを得ませんでした。
 他ルートではあかねに半ば操られたり、鍵と鍵穴の関係であるライネとの理由がありましたが、このルートでは本人の意思なので言い訳できません。特にこれから登校しようとしている恭子とことに及んだ挙句、外だしで制服にかけるのは非常識が過ぎます。
 
<総評>
 よく纏まった=素晴らしいという訳ではない事が良く分かる作品でした。
 もうちょいキャラ一人一人を掘り下げてくれれば深みがましたのにどうも中途半端に感じましたね。
 また気になったことですが、専門用語にはきちんと解説をつけて欲しかったです。
 レジュメ等の一般的な単語には付いているのに、山横目(十くらいの村の庄屋の代表である大庄屋)といった単語には全く触れずにどんどん進むので、一々広辞苑や百科事典で調べなければならなく不便に感じました。
 何だか不満ばかり書いてしまいましたが、メインでやるゲームの傍らに息抜きにやる分には申し分ないと思います。
 
(アーク様)
 私はむしろよくがんばったかな? と思います。
 このゲームは明らかにいわゆる抜きゲーを目指して作られたもの。
 こうしたゲームはしばしば単にHシーンが書きたいだけの中身のないものが多くて困りもの(たとえば69とか)なのですが、この作品では一本の筋道のたったお話が通っているのでこの手のゲームとしては成功作ではないかと思います。
 確かにアークさんのおっしゃるように、すばらしいストーリーを追い求める人にとっては少々物足りない部分もあるかと思いますが、18禁はエロが本道という人にとってはかなりの秀作だと思います。
 そういった人にはお勧めできると思います。
 
 ライネ、「少年アシベ」のまおちゃんのようなキャラだと感じました。しゃべらなくても「ウンウン」言ってるだけでかわいいというか、表情豊かというか。
 なんとなく物まねをしてみたりコクコクうなずいたりするあたりがいいですね。
 
 さて、残りを読んでしまいますか。
 
(るしふぁ様)
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