それは舞い散る桜のように メーカー:Basil
アーク 様
 WIN98 Me 2000 XP
 ジャンル 恋愛ADV
 発売日&価格 2002年6月28日 8800円(CD版)/2002年7月末   8800円(DVD版)
 購入日&価格 2002年8月15日 6980円(DVD版)
 入手難易度 DVD版 易 CD版 激難(ギャース!中古27000円ですとー!?)

<ストーリー>
 主人公、桜井舞人は桜坂学園へ進学するために一人、北国から親元を離れ、故郷でもある桜坂市に引っ越してきた。それから平凡ながらも楽しい1年が過ぎ2年生に進級する舞人。彼は一人の女性と親しくなっていくと同時に原因不明の焦燥感にさいなまされるのだった。

 6月28日というと大型タイトルが複数発売され、自分も「Lost Passage」「ダ・カーポ」そして本作の3つを購入する予定を立ててました。
 とりあえず知名度の高い「ダ・カーポ」の確保を優先に店に飛びこんだんですがなんと前2本は山積み状態なのに、本作が売り切れ!!
 他店でも品切れでしかたなくDVD版を待つ事になりました。
 まあ3本同時に買えたとしてもいっぺんにプレイする訳でもないので特に支障はなかったんですけどね。
 ただ初回分だけでCD版終了といっても、1日で店から消えるというのがすごい印象深かったです。


<シナリオ>
 ゲーム期間は1年と結構長いように思えますが数日置きに展開するので結構テンポよく話が進みます。
 4月7日から6月22日までの2ヶ月間での選択によってヒロインが決まりOPテーマが流れそれぞれヒロイン専用のシナリオに入るというオーソドックスなつくりになっています。

 さてシナリオに関してですが、良い所はすばらしくよく、悪い所は限りなく悪いという印象を受けました。
 よって長所、短所という区分で書き進めたいと思います。

長所
 とにかくテンポがよくダラダラした感じがしなかったですね。
 また、ヒロインの性格付けがきっちりとなされている上で、主人公を好きになっていく過程が丁寧に描かれているのも好印象でした。
 そして何よりこのゲームの世界を膨らませているのが豊富なサブキャラクターでしょう。
 これまで自分がプレイしたゲームの中で一番人数が多かったです。
 大抵こういう学園物だと主人公の悪友、教師が1人ずつ、あとお邪魔虫的キャラが1,2人というのが普通ですが本作では前者も含めて10人軽く突破しており、1人1人が活き活きと動き回っており、とくにひかり姐さんとかぐらちゃんは専用エンドがあってもよかったんじゃないかと思うほどでした。

短所
 制作者側は主人公を陽気な3枚目として描こうとした様なんですが度を越してただの変人になっています。
 特に日常シーンでは何故そんな行動を取るのか理解できず、ひいてはそんな主人公をどうしてヒロインは好きになったのか理解に苦しむのが痛いです。
 そしてもう1つ、コレが最大の欠点なんですがラストの展開ははっきり言って意味不明です。
 「ONE」「AIR」も結構難解でしたが本作では抽象的な断片ばかりを見せられるだけなので、それこそエヴァの最終話で「おめでとう、おめでとう」と言われているような印象を受けるんですよ。

 一応伏線としては、主人公が恋愛否定派であること、ヒロインと親交を深めていく毎に襲いかかる焦燥感、桜の木がある丘で主人公にヒロインに深入りするなと警告してくる桜の精(と思われる)桜香と、謎の少年朝陽。
 ヒロインと結ばれたのち期間の差こそあれ、主人公の存在を忘れてしまうヒロイン、そして2月21日に桜香が「何か」をしたことによりヒロインの記憶がもどり、主人公とよりを戻す。
 どうやら主人公の舞人は人間ではなく桜香と同じ存在で、主人公の母に拾われて育てられた、というものですが正直これだけではねえ…

 どうもピースの欠けたパズルを見せられた感がしてしっくりきません。
 そこでといってはなんですが自分なりの解釈を示してみることにしました。

 はるか昔から「舞人」は「桜香」と共に2本の桜の木に宿る精霊として生きてきた存在である。
 ある日「舞人」は自分を呼ぶ幼い頃の星崎希望に惹かれ一緒に遊ぶようになる。
 しかし本来なら植物である「舞人」と動物の人間である希望が交わることは世界の法則に矛盾する事である。
 最初のうちはまだ良かったが二人の気持ちが男女の合一を表す象徴=セックスに結びつく感情でもある恋になったとき世界法則の干渉が本格化し、2人の仲を裂いてしまう。
 本来潜在能力が高い桜の木の「舞人」は無事だったが人間である希望は「舞人」の記憶を失い彼のもとを去ってしまう。そして一時期とはいえ、人間を心を通い合わせた「舞人」は人に近い存在となり、彼を発見した女性=現在の舞人の母親に引き取られ、桜井舞人として生きていく事になる。

 しかし希望が離れていったことがトラウマになり自分が桜の精霊だった頃の記憶を封印してしまい、また「人とどんなに接してもいつかは裏切られる」といった認識を抱くようになり、人に好かれる事や恋愛を否定するようになってしまう。

 それから数年後、北国の雫内へ引っ越した舞人は無意識に帰巣本能でも働いたのか桜坂に戻り桜坂学園へ進学する。そして1年後恋愛を否定しながらも人は一人では生きていけない事を知っている舞人はヒロインの1人を好きになってしまう。
 また裏切られるだけだと「桜香」と桜坂の丘の精の「朝陽」は警告するが舞人は聞く耳を持たない。
 2人の仲が進むにつれて世界法則の干渉によりヒロインの方も自分の記憶から舞人が消えていくのを感じ焦りだす。
 そして、12月のある日ヒロインの記憶には舞人は存在していなかった(但し、舞人の記憶が消えたものから恋愛をしていたことのみ忘れてしまうまでヒロインによって異なる)。
 再び1人になった舞人だったが子分格の和人によって他者との交流の大切さを知った桜香の力のより完全に人間になる。
 そして2ヵ月後の新学期、記憶の戻ったヒロインと共に舞人は春を迎える。


 自分で書いてて相当強引だと思いますがこうでもしないとさっぱり話がみえないので困ります。
 一番の焦点はやはり「なんでヒロインが主人公の事を忘れるのか」ですね。
 これについてちょっとでも何らかの描写があれば…と感じました。


<総評>
 もうちょいラストがしっかりしてくれれば間違いなく優秀作だったのにと残念でなりません。
 キャラ設定やCG、サウンド、システム共ほぼ満点つけてもいいのにつめが甘いために評価ががたんと落ちるのはホント惜しいです。

追伸1
 本作のOP、すごい力入ってます。何というかこれ見ただけでおなかいっぱいになっちゃいそうです(いい意味で)

追伸2
 先輩でヒロインの里見こだまをはじめ、文芸部の結城ひかり、宇都宮先輩と佐竹先輩、これみて何か思いませんか?
 そう「信長の野望」をプレイした人にはもろばれですが全員関東地方の大名の苗字なんですよ。
 こういうお遊びもよかったです。
 ただ欲をいえば上杉と北条もだしてコンプして欲しかったですね(笑)

追伸3
 和人を筆頭とするお子様軍団、2がでたら間違いなく彼らが主人公でしょう。
 しかし和人あの年で4角関係とは末恐ろしいお子様です。
戻りマース