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発売日&価格 2002年8月8日 7200円
購入日&価格 2002年8月8日 6655円(税込み)
入手難易度 易
<ストーリー>
旅の青年国崎往人は母親から受け継いだ「物を触れずに動かす力」で人形劇をしながら路銀を稼いでいた。ある夏のはじまり、ある田舎町でいつものように人形劇をする往人だがさっぱりうけない。だが、そんな途方にくれる往人に一人の少女が話し掛けてきた…
もはや説明不要のKEYの名作の移植版です。
PC版が出た当初受験だったので買えなかったのですが今回PS2でしかもフルボイスということで早速購入した次第です。
さてそういう訳でAIRをするのは初めてなんですが、プレイする前に人から聞いた情報で「3部構成である」「DREAM編では謎が全く解明されない」「AIR編の主人公は往人の魂を宿したカラス」「AIR編のラストはエヴァ級に難解である」「PC版では観鈴と美凪のエッチシーンはバッドエンドルートのみ存在する」ということを知っていた上でプレイして以下の文章はそれを元に書いています。
<シナリオ>
●DREAM編:
前半がコミカルで後半シリアスというつくりになってますが、前半のコミカルシーンがやや長すぎるんじゃないかと、あれの半分くらいのボリュームで十分だと感じました。
それとやはり美凪、佳乃ルートがおまけシナリオ化してるのが非常に残念でした。
個々のシナリオの出来は非常に良い(特に美凪ルートラストのみちると美凪が背中合わせで語るシーンは絶品)のでせめて他ルートのキャラが少しでも登場してくれればと思いました。
●SUMMER編:
すばらしいの一言です。
ええ、ボキャ貧の自分ではこれ言うのが性いっぱいです(汗)。
ちまたでは神奈の人気がすごいですが自分はどちらかというと女性の優しさと強さを体現している裏葉のほうが好みです。
●AIR編:
エヴァ級とはいきませんでしたがやはり難解な最後でしたね。
正直1回目のプレイでは理解できず、鷹羽飛鳥さんと梨瀬成さんのレビューを読んでやっとこさ全体構造が把握できました。
それと他サイトでは観鈴が死んでしまう事に賛否両論が沸き起こっていましたが、自分はあの最後でよかったんじゃないかと。
ラストの全てをやりとげて眠りについた(あえてこう表記)観鈴は大変美しく感じました。
まあこれだとさんざん苦労した晴子が可哀想なんですけどね。
まあ結果良ければ全て良しという事で(他人事だと思って偉そうに)。
それと「ゴール」のシーン、たまたま見ていたうちの家族全員が泣いちゃって結構すごいことになってましたよ。
<音楽>
いやもう素晴らしいの一言(こればっかだな…)。
これ単体でも商品にできますよ。
お気に入りは「夜想」「双星」「縁」「月童」です。
後少し贅沢をいわせてもらえば「水たまり」は佳乃の性格に合わせてもうちょい元気っぽさをだしたらいいと思います。
<声優さん>
説明書みればわかりますがすごい豪華キャストでお金大丈夫だったのかと思わず心配しましたが、その甲斐あってか非常にマッチしてました。
●往人(緑川光):
聞いていてどうしてもヒイロを連想しちゃいます(爆)。
頭のなかでヒイロが「ラーメンセット1つ」「武田商店やぶれたり」とか言っているのを思い浮かべて1人で笑い転げてました(バカ)
●柳也(神奈延年):
確かこの人ロードス島のパーンやってた人ですよね。
とぼけていながらもここぞという時たよりになるアンチャンという感じが良く出てました。
●裏葉(井上喜久子):
ベルダンディーの人ですね。
最初聞いた時、ちょっと柔らか過ぎないかとも思ったんですがプレイしている内に彼女の声がぴったりだと思えるようになりました。
●霧島聖(冬馬由美):
ちょっと女王様入りすぎてないかい?
もうちょい音程を高くしてもよかったのでは…
●神尾晴子(久川綾):
ツボにはまり過ぎです。
前半の漫才も後半の母親として必死になっている演技も群を抜いてます。
<総評>
文句なしの秀作と言っていいでしょう。
ただDREAM編の前半が長すぎる為時間にゆとりの無い人にはお勧めできないという困った面もあります。
ゆとりのある人のみ楽しめる作品ではないかと。
それと性描写、かなりギリギリなとこまで描いてます(佳乃と裏葉)ので、そういう面からも低年齢の方にもちょっとというところがあります。
しかしそれを除けば良いゲームなのであえてこう言わせて頂きます。
時間があるなら黙ってAIRを買え、と。
追伸
ただ今このゲーム、おかんに拉致されています。
あんなにゲームには興味を示さなかったのにねえ。
AIR編の晴子になにかを感じたようです。
(アーク 様)
AIRのイラストを描くためにといた、世間の流れに沿ってないゆいなです。
もっとも、あたしはPC版(Hシーン有の通常版)ですが。
三部構成であり、しかも全てのシナリオで妥協を許さない作りこみに驚嘆したものですが、おっしゃるとおりDREAM編の前半を乗り切ることが本作最初の難関かと。
でも、思うんです。
かなり切迫した経済事情であるにも関わらず、なんとかなってしまう状況とノリの軽さ。
そんな時間がずっと続くものと思わせておいて、後半にぐぐっと詰め込んでくる。
そのギャップこそが、緊張感と焦りを煽り、否応無しにぐいぐいと引き込んでゆくわけですよね。すごいテクニックですわ。
ただ、3人分繰り返すゆえ、妙に長ったらしく感じてしまうと。
3人のルートが絶対に必要なのだから、それなりに工夫が欲しかったのは確かですね。
SUMMER編は、因果を書いたシナリオですが、その造りは単に説明するだけに終わらず、人物描写を丹念に書きこみ、その想いと共になぜ後世に…子孫達にこんな辛さを残さなければならなかったのか、ちゃんと「説得できている」点が素晴らしいです。
AIR編は、ひとえに辛いの一言につきます。
しかし、目を逸らせないシナリオでした。
それは観鈴の最後まで頑張りぬいた姿こそ、最大のメッセ−ジだと思えるからです。
観鈴は往人の想い叶わず亡くなりましたが、それでも今まで決して出来なかったことを成し遂げましたね。
肉親の愛を知らず、人に甘えることもできず、いい子を演じるだけの自分。
そんな観鈴が、最後に義母の晴子の胸に飛び込めた事は、辛さに耐え続けた観鈴にとってなによりの幸福だったに違いないと思うのです。
晴子には報われない最後でしたが、「姉の死で無理やり押し付けられた観鈴」のため人生を棒にふったと思い込んでいた晴子に、本当の親子の愛情を教えたのはまさに観鈴だったわけですから。
…コレ書きながら、思いだし泣きしてるあたしっていったい…。
最後に…ボーリング玉サイズのおにぎりをパクつきながら、どろり濃厚ジュースにむせるヒイロ。
〜そんな姿が脳裏に浮かび、なんでやねんと独りツッコミしましたわ、おかげさまで。(笑)
(あおきゆいな) |