うたわれるもの
外れない仮面には、一体どの様な謎が隠されているのか…
1.メーカー名:Leaf
2.ジャンル:AVG+シミュレーションRPG
3.ストーリー完成度:A
4.H度:C´
5.オススメ度:A
6.攻略難易度:AVG部/E、戦闘部/D(難易度を求めてはいけない)
7.その他:『うたわれるもの』ですか…そーれそれ、踊れ! 唄えー!
(ストーリー)
辺境の村「ヤマユラ」…その近くの森に重症を負った男が倒れているのを一人の少女・エルルゥが発見した。
男は村へと運ばれ、エルルゥの祖母であり薬師であるトゥスクルの治療を受け、命を取り留める。
やがて男は意識を取り戻すのだが、エルルゥと会話をする中で記憶が失っている事と、外せない仮面を被っている事に気付く。
そんな男の状態を知ったトゥスクルは“ハクオロ”という名を与え、暫くの間、自分たちと共に暮さないかと持ちかけ、ハクオロもそれを受け入れた。
こうしてトゥスクルとエルルゥ、その妹のアルルゥと一緒に生活し始めたハクオロは、今までの恩返しとして貧しい村を豊かにするために手助けをする。
荒地で作物を作る方法、鉄を生成する技術などを伝え、確実に村は豊かになっていった。
しかしその反面、村が害獣に狙われたり、ヤマユラを含む辺りを収める藩主に租を上げられたりと風当たりは強くなり、村人たちの不満は大きくなってゆく。
その中で藩主・ササンテの息子のヌワンギがエルルゥを連れ去ろうと度々村を訪れ、その時の諍いからトゥスクルを死なせてしまう。
その死をきっかけとして、ハクオロたちは国家に属さない民であるオボロやユズハ達ともに、ケナシコウルペ国に対して戦いを挑むになってゆく…
時は2002年4月26日金曜日…
この日は多くの注目タイトルが発売されるため、“決戦の日”と目されていた。
そして、私も約束の地・秋葉原へと向かうのであった…。
その4.26事件の主犯となっていたのがこのタイトルでした。
“リーフの新作”というよりは“リーフ東京開発室の”久しぶりのタイトルです。
『こみっくパーティ』で良くも悪くも注目を集め、そのスタッフが作るという意味からの期待が大きい作品でありました。
また2001年11月末にアクアプラスから発売された、携帯端末「Piece」のリーフ初対応ゲーム(とりあえず『おでかけマルチ』等は含まず)という事も手伝っていたと思われます。
発表から発売まではスムーズに行われていた様で、リーフのここ数作品の中では好意的に発売日を迎えられた作品ではないでしょうか?
雑誌に記事が掲載され出した当初、私は「けもの耳でナ◆ルル〜あの人からの贈り物?」と不安に感じたものですが(笑)。
アイヌ風の衣装でエルルゥとアルルゥの姉妹だけを見てるとそんな気がするなぁと…ハハハ。
まっそれは忘却して、と内容に移りましょ。
(システム)
個人的に、このゲームで一番目を引いたのがシステム面です。
ゲームのジャンルでも書きましたが、このゲームのアドベンチャー部とチップ戦闘部で二分されています。
エロゲで特にチップ戦闘(広い意味では3D戦闘)は一部有名タイトル以外でなかなかないですからね。
その他でイメージ的にパッと思い浮かぶタイトルは『らい…Muuuu』ではなくて『サクラ大戦』シリーズですか。
あれから難易度を引けばこのゲームの様になると思います。
正確に書くと「選択肢に意味がまったく無い」という事が無いので、難易度なんか事実上存在しないのですが…。
一応ストーリー中に「○○に行く」のように行き先を選ぶ個所がありますが、どの順番でどの場所へ行ってもストーリーに影響はありません。
また目玉(?)のチップ戦闘部でも、よほど突飛な行動でもしない限りゲームオーバーにはならないでしょう。
反面、多少長めのプレイ時間が設定されているなと感じました。
間違いなく長いストーリーですので戦闘で気分転換してくださいとの匂いがプンプンし、割とその通りになっていると思います。
ゲーム発売後に発売された雑誌に開発者インタビューが載っていましたが、「ストーリーに重点を置いたので、難易度は下げた…」云々と書いてありましたね。
さらに直接ゲームとは関係ないのですが「戦闘訓練」のおまけも用意されており、今作品の切り札の一つにしたかったのだと思います。
感情移入を助ける面でもほどよい気分転換にもなっていたので、ストーリーと良い意味で助け合っていたと感じられるシステムでした。
あと個人的には“次回作”に繋がるシステムではないかと期待しています。
3D戦闘版『フィルスノーン2』なんてどうでしょうか?
(ストーリー)
先ほども書きましたが、全くの一本道で進みます。
ネタバレはしたくないの大まかな内容ですが、謎の男・ハクオロ君の成功譚、その中でハクオロの秘密が明かされていく話とでもいいましょうか?
目新しさは感じなかった分、一つ一つのエピソードは丁寧に書かれていたな、というのがクリア後の素直な感想でした。
システムはストーリーを引き立てるように存在していますが、確かにそれをやるだけの内容であることは間違いないでしょう。
少々斜に構えた意見を上げれば、幅広い話のジャンルからの良いトコ取り? という気がしないでもないのですが…。
まぁそうでもしないと一本道ストーリーで、真面目なハクオロ君とヒロインたちをくっつけられなっかたのかなとも思います。
エロエロ鬼畜な主人公でこの作品をやられても困りますが…鬼畜王ハクオロ?
とかく一本道な話は単調になる可能性を多分に秘めていますが、ショートストーリーで場をつなげたりしてたのでうまい具合に構成されています。
またそれが変な所でつながっていたりして、なかなか楽しませてくれした。
一例をあげますと、闇の商人が売りに来た馬鹿高い聖獣がアルルゥになついてしまい、結局それを買う破目になってしまうのですが、次の戦闘からこの聖獣がアルルゥの攻撃に参加します。
その他笑わしてくれる個所などもあり、全体的はシリアスな作品ですが緩急がついています。
気になるのは、よくオボロが笑わせる為の被害者になっている事ぐらいでしょうか(笑)。
一言で表すと万人受けのシナリオですが、この作品に関しては良い意味で捕らえて良いと思いますよ。
…それから直接関係ない感想なのですが…
「コンシューマ化を狙ってる?」と感じたのは私だけでしょうか?
良いクオリティーで作られている作品のなので、下手に弄くって壊さないようにリリースしてくださいね(予測と希望)。
(Piece)
さて冒頭でちょこっと書いたのですが、このゲームは携帯端末「Piece」に対応しています。
まあここでPiece自体の性能についてとやかく言うのは野暮なのですが。
取りあえずおまけゲームの内容を軽くご説明しますと、イメージとしては…
あるセーブから先頭キャラのデータをPieceに送ります。
Piece側での作業は一定フィールド内をハクオロが仲間を探して彷徨い、見つけ出した人数に応じて経験値がもらえる内容のミニゲームです。
そしてPiece側でセーブしたデータを再びPCに送ると獲得した経験地に応じてレベルアップをさせます。
うーん、予測はしていたのですが「ポケットステーションと同程度の内容?」が素直な感想でした。
が、ここまで予想の範疇と言うこともあり、さほど文句もありません。
私が問題だと考えているのは「Pieceでプレイをした時間分だけの見返りがあまり感じられない」ということです。
手に入る経験地が微々たる物なので、長時間プレイしないと効果が見受けられません。
だけど、Pieceを使わなくても「クリアできませんでした」という事態はにならないでしょう(とりあえずPieceありとなしで二周してみました)。
端から楽な戦闘が、さらに楽になったって大して意味が無いでしょう?
せっかく携帯端末を発売して、初の対応ゲームだったのでもう少し差別化してほしかったなと感じました。
(その他)
ざっと大まかな部分は書いたんで、他に気になったことを書いていこうかなと。
やはり一番目を引くのは音楽だとでしょう。
所詮素人意見ですがOP・ED・BGMどれも平均点以上は叩き出しています。
特にボーカルの方は良い人を見つけてきたと思いますよ。
この方は『おでかけマルチ』でも歌っていたのですが、この時も良い曲でした。
余りにも良かったので梨瀬さんと一緒に
「あ〜こんな良い曲、マルチには勿体無い!」と語り合った物です(遠い目)。
…はあ、あっこさんは元気なのでしょうか(更に遠い目)?
この作品の音楽はゲームを盛り上げるのに一役買っていたと感じられました。
それとさり気にOPアニメが存在したのには驚きました、2種類も。
あまり突っ込むところではないですが、丁寧に作られていたので好感をもてました。
クリア後におまけあり。
と大層に書きましたが、戦闘訓練パートに「おまけ」という名のステージが加わることを示します。
ここはステージの舞台が“東京開発室”であり、敵が“スタッフ”というだけなのですが、「やべ、○○○をブッ叩ける」というブラックな遊びが楽しめます。
それともう一つ非常に困ったちゃんなのですが、とある地点に行くと『こみパ』キャラが出てきます。
その中にDC版のすばるが居るのは何故?
しかも「コンシューマ出身だからまだ脱いでないだろ〜」との台詞が飛び出す始末。
作品の印象が悪くなる可能性があるので、下手な牽制球を投げるのはやめて下さいね。
(総評)
とても綺麗にまとめた作品だと思います。
近頃のリーフの作品や東京開発室に限定しても『こみっくパーティ』&同DC版で話題に上った暗部(出来・バグ・障害...etc)とは関係の薄い世界にあると感じました。
また発売後、雑誌などで売上げなどをみても4.26事件を征していたタイトルでしょう。
致命的なバグもなく、シナリオも落ち着いているので門戸の広い作品でしょう。
様々話題になっていた“けもの耳”も、作品の中で決着らしき物が付いていたのであまり突っ込まなくても良いかな? と思います。
それと雑誌などに載っていた開発者インタビューでは、もっと複雑にするような事を書いてあったのですが…止めて正解だったと感じました。
『うたわれるもの』+『エイジ・オブ・エンパイア』な内容だったらやる人はかなり限定されるでしょうね。
不満点があるとすれば、やはりPiece対応部分がやわかった事です。
が、持っている人とそうでない人の割合が読めないので、持ってない人の事を考えると余り強く言えないのも現実ですが。
Pieceは対応ゲームを出すというより独自のゲームの方で期待を寄せていたりするので頑張っていただきたいな、と思います。
『痕』もリニューアルされ、ビジュアルノベルも第四弾発表しているリーフです。
この作品で『誰彼』あたりの闇を抜けたと判断しても良いかもしれませんね。
PS
全く下らない話ですが、ハクオロが付けている仮面は“石仮面”に似ているなと思っている人は何人くらいいるのかな? と気になる今日この頃です。
(エルトリア)