ウィークネスヒーロー トラウマン



 華麗なる乙女たちを相手に、目指せ日本統一

1.メーカー名:NECインターチャネル/45
2.ジャンル:悪の総統シミュレーション(ADV+戦闘パート)
3.ストーリー完成度:B´
4.H度:Dくらいはあるよな
5.オススメ度:B/ただし、「俺はノーマルだ」という人は近づいては行けない
6.攻略難易度:ADVパート:C/戦闘パート:B(データ取りをして行けば:D)
7.その他:PCゲームは質が良いぞ。どうしてだろう…外注だからか?


(ストーリー)
 ブラックフェロモン…それは日本征服を狙う悪の秘密組織である。
 だが、数々の怪人を送り込むも“ミラクルサイボーグ99”により、ことごとく阻止されてしまった。
 そして、ついに最終決戦をむかえるのである。
 ダブルナインは総統である“幻影のズィニア”に挑むが、ズィニアは万全の準備をしていた。
 “死を呼ぶ乙女”と名づけられた少女達が、ダブルナインの武器を、装甲を次々に破壊して行く。
 このままダブルナインは倒れてしまうのか…いや、このままでは終わらない!
 禁じられた最終奥義・ミラクルファイナルが残っている。
 自分の動力炉を臨界点まで持っていき、それを爆発させる…そう自爆技である。
 そしてダブルナインは幻影のズィニアを道連れに天高く舞い上がるのであった…
 ありがとうダブルナイン! ありがとう九十九サトル!
 ミラクルサイボーグ・ダブルナイン…完
 
 …って、オイ!
 
 たしか発売前の情報では、主人公が悪の総統で日本統一を目指し、ヒロインは正義の味方だと読んだ気がするんだけど…。
 しかもコンシューマ事業で、なにやらやらかしているインターチャネルが出す久々のPCゲームだったのに…。
 いきなりカッコイイ(?)ヒーロー物に路線変更でもしたのでしょうか?
 ゲームをインストールし、プレイを開始するとコレです。
 ただインパクトがありますね、始まったと思いきやいきなり最終回というのは…。
 初めは何が始まったのか、ものすごく理解に苦しみます。
 少なくとも、トラウマンという文字やパッケージに書いてある女の子なんか出てきやしません。
 …しかも結構面白いです。
 ダブルナインは、頭脳であるミラクルコンピューターにウイルス仕込まれてもへっちゃらです。
 さすが、ミラクルコンピューターは歯車式なだけあるな。
 強いぞダブルナイン、さすが「青い地球を守るため戦い続ける正義の使者」(テーマソングより)。
 ただし、ミラクルファイナルは核爆弾99個分の破壊力があるらしいぞ。
 
 ……いったいトラウマンは何処に?
 
 このゲームはテレビアニメのように進行して行きます。
 一話ごとの構成で作られており、本編は新番組という形でスタートします。
 つまり「ミラクルサイボーグ99」が終わると、その後番組として「ウィークネスヒーロー・トラウマン」が始まります。
 しかも、「ミラクルサイボーグ99」から引っ張ってきている設定が多々あるので、最初にこちらのストーリーを書いておきました。
 では詳しくは次を、ここからが本番です。
 

(真・ストーリー)
 ブラックフェロモンは壊滅したわけではなかった。
 総統である幻影のズィニアは倒れたが、主立った幹部や戦闘員は生き残っていた。
 残った幹部立ちは組織の再建を図るために“幻影のズィニア”の息子・四尾征志(主人公・変更不可)を新たなる総統に選出した。
 文句をたれる幹部を修正し、総統になった征志は組織名をダークフェロモンにあらため、父の野望を受け継ぐ…。
 そして、ダークフェロモンとしての最初の作戦が実行させる。
 何事もなく、遂行される作戦…しかし、出撃した幹部の前に一人の少女が立ちはだかる。
 “トラウマン”そう名乗る少女にこちらも“ミックスマン”という兵器で対抗するも、手違いからあえなく倒されてしまう。
 突如現れた謎のヒーロー…幹部の一人・達観のラフレシアはトラウマンの正体をあの“死を呼ぶ乙女”と言う。
 “死を呼ぶ乙女”の計画は、ズィニアが独自に進めていたもの。
 こうなったらトラウマンの正体を探し出し、彼女たちの苦手なアイテムでミックスマンを製造するのだ!
 ここにダークフェロモンとトラウマンとの果てしない攻防が幕を開けるのである…
 以上、本編第一話(プロローグ)より抜粋。
 

 さて始まりました、NECインターチャネルが送る世にも不思議なゲームです。
 まず初めに宣言しておきましょう。
 ノリがそこらの18禁エロゲと何ら変わりがありません。
 主人公が高校生で悪の総統だ(しかも生徒会長)、イエ〜ィ。
 敵(ヒロイン)は同じ学園に通う女の子だ、イエ〜ィ。
 戦闘に勝つと女の子の服を脱がせられるぞ、イエ〜ィ。
 何も考えていなさそうなノリが素敵です。

 NECインターチャネル…コンシューマ事業では、(例のプロデューサーね)の暴走が目立ち文句タラタラなのですが、こういう暴走だったら全然OK!
 「馬鹿な設定でとことん遊んでやろう」って意気込みは素晴らしいと思います。
 何を考えて、主人公とメインヒロインのトラウマン1号が同級生になるのか?
 他のトラウマンも、同じ学校である桃郷関東大居学園の生徒ときたもんだ。
 “トラウマン”というネーミングも「女の子のトラウマを利用して、敵を倒す」というところから来ています。
 …まずこの時点で、普通のゲームを楽しみたい人は買わないでしょうね
 「このノリに付いてこれるのなら買ってみな」というオーラがバシバシ伝わってきます。
 そういったコンセプトではものすごく成功しているゲームだと思います。
 仮にそのような意図が無かったとしても、無理です。
 色物の匂いしか放っていません。

 ちなみに私が発売日に手に入れたのは内緒です。
 
 ただ、このゲームは馬鹿な勢いや設定のみで終わっていません。
 ゲーム部分がしっかりと作られている事も評価に値します。
 では、ここからは気を取り直してちゃんとゲームの説明をば…。
 
 先述した通り前編にわたって、テレビアニメのような形式で進んで行きます。
 元々ストーリーが先行するので、複雑な操作が求められることはありません。
 ストーリーを進める上で、プレイヤーの操作が必要になる個所は3つあります。
 一つ目は、ヒロインと話し苦手なものを聞き出す、及び好感度を上げる時。
 二つ目は、幹部に出撃命令を出してからミックスマンを作るまでの戦闘準備段階。
 最後は、トラウマンとミックスマンが戦う戦闘時です。
 まず、一つ目と二つ目がアドベンチャー部分で戦闘パートへの準備のようなものです。
 とまあ、ここで簡単なミックスマン講座…
 ミックスマンは左右の腕と頭の三ヶ所に物を装備する事でその力を発揮します。
 装備品目は右腕に食べ物、頭に生き物、左腕に道具を装備します。
 装備するアイテムに制限はありませんが、組み合わせによっては大幅なパワーアップ(およびダウン)が起こります。
 皆さん、より効果的な組み合わせを発見しましょう…。
 ミックスマンの強さは「相手のトラウマンが嫌いなものをいかに多く装備させたか」で決まります。
 という訳で、このミックスマンを作るためにヒロインから嫌いな物の情報を集め、そのアイテムを手に入れるために幹部に出撃命令を出すことになります。
 毎話出てくるトラウマンは1人だけ、しかも固定なので、出てくるアイテムから嫌いな物を的確に選べば、後半に行くに従ってだんだん攻略は楽になります。
 このアイテムの情報集めが、収集癖が擽られるといいますか、ゲームの醍醐味になります。
 説明書自体にアイテム一覧とヒロインの名前が記載されている表があり、「好き嫌いの表を完成させなさい」と言わんばかりです。
 メーカーの意図がはっきりとわかる上、何を目標にしてゲームをすればよいのかが一発でわかるのですが、反面その作業が面倒くさすぎるのも事実です。
 一話、または一つのエンディングを見るまでの流れの中ではとても楽しめるシステムなのですが、完全クリアを目指すとかったるくなるという弱点がありました。
 
 戦闘パートでは、集めた情報を元にミックスマンを作り戦います。
 ここではミックスマンの性能と幹部キャラの必殺技を使い勝負することになります。
 純粋な勝負というよりは力押しの勝負になってしまうのですが、そこは集めた情報を元にミックスマンを作るので苦労が報われたような気になります。
 この辺のバランス感覚は良いと思いますよ。
 苦労して作ったのにあっさり負けるような戦闘なら…のような展開ではないので救われます。
 また、同じセーブファイル上で作成したミックスマンを出すとします。
 そうするとトラウマンたちは「苦手なものを克服して強くなっていく」という面白い設定があるおかげで、ミックスマンの効果が低くなってしまいます。
 これは、単純だけどなかなかインパクトがある設定ではないかと思いましたね。
 
  
(総評)
 やればできるじゃん、NECインターチャネル♪
 移植ばかりではなくて、こういうチャレンジ精神旺盛なソフトも出して行こうよ。
 その方がゲームメーカーとしては正しい姿勢だと思うし…。
 ん、「今回は外注じゃないのか」だって?
 気にするな、インターチャネルが単独で作るより面白いんだから(爆)。
 あ、ただし“インターチャネルらしさ”というのもしっかりとありますよ。
 いつものごとく声優さんが豪華ですね。
 メインヒロイン・紀色の声は、かの“えみりゅん”と同じだったりします
 シロッコ様の声で美少年に向けたラブレターを読まれると…豪華(?)です。
 あっそうだ、もう一つ肝心な“らしさ”を忘れていました。
 どう考えても発売日が延びに延びまくっていましたね。
 一応、「発売日未定」のままでごまかしてはいたんでしょうけど…
 このゲーム、発売前にオープニングとエンディングを入れたシングルを出しました。
 それが発売されたのが、ゲーム発売の1年半くらい前でしたか(これも手に入れている事は内緒です)。
 どちらもインターチャネルに付きまとうもの…しっかりとゲーム本編以外でアピールしているのが良かとですね。

 いかんいかん、メーカーの宣伝をしてもしょうがないね。
 えーっと、ゲームは、ゲームはと…ダブルナイン万歳!
 トラウマン? ああ、もちろん面白いですよ、頑張っているのもわかりますよ。
 でも、トラウマンて昔やった『開運戦隊・巫女サンレンジャー』に通じるものがあるんだもん(爆死)
 あぁ、私も嫌なトラウマを抱えたものだ…。
 
 全体的にはノリやゲーム部分などは整っていたのに、エンディング数が多いので途中でだれてしまいます。
 もう少しコンパクトにまとめられていたのなら、バランスが取れていたと思います。
 一般的に見れば佳作、インターチャネルで考えれば良作といった位置付けのゲームでした。
 

(エルトリア)

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