『ガンドレス』

 昨年('99)4月頃に劇場公開されたアニメーション映画…なのだが、そのあまりにすさまじい完成度から、20世紀アニメ業界の伝説と化してしまった(!?)いわくつきの作品。
 製作は、衛星放送の『白鯨伝説』を作った“スタジオジュニア”という所。実は、この番組を制作中に発注元の会社が倒産し、そのあおりをくらって多額の負債を抱えてしまい、『ガンドレス』の制作費をその返済に当ててしまったのだ

 結果、劇場公開された作品は物凄く中途半端な出来となり、それでも公開せざるをえないという事態にまで追い込まれた。
 
 最初の方は比較的まともなのだが、女の子が屋台のもんじゃ焼き(お好み焼きだったかも)屋で会話中、両手を鉄板の上に置いたまま平然としている…というところから徐々におかしくなっていき(背景とキャラの位置ずれ)、「セルの主線からはみ出した色塗り」「まともに動かないキャラクター」「明らかにコマ数が足りない動画」等が乱出することとなる。
 とにかく、無理やり完成させた…とすら言えない、“とうとう完成させることが出来なかった”ものだったのだ。
 キャラクター&メカデザインの士郎正宗氏の宣伝スチールと、電撃ホビーマガジン等で紹介されていたフィギュア群の写真が、とってもむなしく映った…

 劇場公開時、会場には『この作品は、諸事情によりお見苦しいところが多数ありますが、それを了解してくださる方のみ、ご覧下さい』といった感じの内容の告知がされており、さらには、会場入りした客の中の希望者には無料で“完成品のビデオを送る”というフォローまで行っていた。
 で、実際の会場では……惨劇が展開した。

 ちなみにこの作品公開時、ライターのきっか氏が会場に足を運んでいる。
 後藤の所にやって来て「これは見ておかないと、一生後悔するよぉぉぉぉぉ♪」とシャウトしていたのを記憶している。
 うーむ、やっぱ見ておけばよかったかも…(笑)



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