To Heart あかり編
 
3.ストーリー完成度:C 4.H度:−
5.オススメ度:C’
6.攻略難易度:A
7.その他:やはり、あかりは18禁ならではだったということで。
 
 同人誌『九拾八式・東鳩』を読んでもらえばわかるけど、鷹羽がパソコン版の“ToHeart”で一番気に入っているのは、あかりのシナリオだ。
 根本的にあかりみたいな女の子が好みだというのも勿論あるけど、Hシーンがストーリーそのものに絡んでいるというのが主な理由だ。
 “18禁であることの必然性”を最も自然な形で実現していると思う。
 詳しいことは『東鳩』での鷹羽の原稿を読んで欲しいけど、そんなわけで、鷹羽としてはPS版であかりのシナリオがどう変わるのか、とても楽しみにしていた。
 ゲーム全体でシナリオが大部分変更になったと聞いて、あかりのクライマックスは全然違う展開になると思っていたのだ。例えば志保がそうであるように。
ところが、期待は大ハズレだった。あんな中途半端な展開にしたお陰で、あかりは初体験の前に、わざわざ家に帰って風呂に入ってくる変な娘になってしまった。
 オマケに浩之は、1人で勝手な結論出した挙げ句、2日後に結論吹っ飛ばすケーハク君になっちゃうわで、もう大変。
 初Hが上手くいかなくて気まずくなるというパソコン版の素晴らしいシチュエーションが見事にぶち壊れてしまった。
 そもそもキスをしたことで、浩之とあかりは“幼なじみという、ひどく曖昧でいい加減な関係”から一歩踏み出してしまっている。
 だから2人の仲は、もう後には引けないところまで来ていたはずなのだ。
 それを“シャレだったことにしよう”ってのは許せない。
 パソコン版で浩之があかりを避けるのはよく判る。それまで敢えて考えないようにしてきたあかりへの想いを認め、ようやく恋人同士になろうとしたその矢先、いざという時に“勃たない”という、男として最もみっともない事態になってしまった。
 あかりのせいでは勿論ない。完璧に自分のせいだ。
 “どうして上手くいかなかったのか”、“自分は本当にあかりを好きなのか”、“自分にとってあかりの存在は何なのか”、浩之がその答を探し出すためには、心の整理期間が必要だった。
 そして、例の夢を見たりして、自分にとってあかりが大切な女の子であることを再確認したのだ。
 なのにPS版では、誘いを断られた(=フラれた)と早合点して、落ち込みそうになる自分(の主に体面)を守るため、シャレですますことを考えた。
 これは単なる逃げだ。
 またあかりが一旦家に帰ったことが、鷹羽のイライラに拍車をかけている。
 あのシチュエーションで家に帰るというのは、普通は「ノー」の意思表示だ。
 親への言い訳や着替えが必要だったら、そのことを告げた上で一旦帰り、さりげに風呂に入ってくるというのが筋だろう。
 あんな不自然な流れにしたことで、あかりの方にも責任が発生してしまった。これじゃ、浩之にしか悩んでるシーンがないのが不公平だと思わない?
 一応言っておくと、だから悪いと一概に言うのは、本当は良くない。
 パソコン版を知らなければ、一応破綻しない程度のストーリーは持っているからだ。
 だが、このイベントの変更には“Hシーンを削るための代替品”という大前提がある。
 Hシーンの方が良かったというのでは、存在意義が薄れてしまうのだ。
 そういう意味では、やはりこのイベントは失敗作だと思う。
 芹香の“儀式”のように、キャラの性格やシナリオの展開に沿った巧いやり方もできるんだから、本筋にあまり関係ない下校イベントを変えまくるのではなくて、こういうところに力を注いで欲しかった。
 あと、あかりの場合下校イベントの『あかりが泣くから、もうこの道は使わねえぞ』を削ってしまったお陰で、“ぶっきらぼうで素っ気ないけど、本当は優しい浩之ちゃん”の図が見えにくくなって、鷹羽は悲しい。
 貧乏性なんて(いや面白かったけどさ)、このイベントの重大さには太刀打ちできないんだってば。
            
(鷹羽飛鳥)
 
PS:
 ところで、あかりを捜すシーンで“Brand New Heart”のカラオケが流れるけど、いいのか? 突然あんなもん流して。
 PS版しか知らない人は、ワケわからんぞ。まぁ、あかりの鼻歌でも流れたけどさ。
 
 
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