『仮面ライダー世界を駆ける』:
 
 89年のゴールデンウィークから、北海道・夕張の石炭の歴史村でのみ限定上映された3D映画作品。といっても、17分の短編。
 当時好評放映中だった「仮面ライダーBLACK・RX」の映画化であり、TV本編とはまったく違う次元での物語。
 元々“仮面ライダーBLACK”が、太陽の力をキングストーンに受けた事によって進化したのがRXだったのだが、敵・クライシス帝国のジャーク将軍は、「今のRXじゃ勝てねーから、まだ弱かったBLACKの時に戻ってぶっ殺しちゃえ♪」といった内容の作戦を決行。
 なぜかRXからBLACKへと退化してしまった南光太郎に、次々に襲いかかる再生怪人軍団!
 しかし、そこに助けに現れたのは、もう一人のRX!
 「過去のお前が死んでしまったら、俺まで消えてしまうからな」
 …というセリフですべての疑問を振り払い、戦うBLACKとRX。
 さらに、そこに次元を超越して駆けつけた(RXの別形態の一つの)ロボライダーと(同)バイオライダー。 
 同一人物が四人集まって一斉に必殺技のポーズを決めた瞬間の映像は、もはや奇跡の美しさ。
 物理的にありえない事が起こっているという事実も手伝い、ファンに激しい衝撃と感動を与えた。
 それぞれのライダーの中に入っていたスーツアクターさんが全員別人であるため、すべてのアクションがホンモノだったという強烈なインパクトが売りだった。
 ちなみに、全然世界を駆けていない話だというのはご推察の通り。でも、誰にもしゃべっちゃいけないよ(笑)。
 
 こういう風に、一つの叶いっこない願望を無理矢理成就させるため、番外編や別次元の物語と完全に住み分けてしまうのは決して悪くないという意味の引用だったりする。

 なお、本作はその後なぜか「(初代)仮面ライダー限定全話LD-BOX」の映像特典として収録され、現在それ以外ではソフト化されていない。
 脚本担当が、かの「不思議コメディシリーズ」の浦沢義雄なのは有名な話。


 

♪俺は太陽の欠片ー、真っ赤に燃えるマグマーっ!