Silver Moon
残されたときは後僅か。
主人公・亮の心に映るものは…。
1.メーカー名:R.A.Nsoftware
2.ジャンル:ADV
3.ストーリー完成度:C
4.H度:D
5.オススメ度:B
6.攻略難度:D
7.その他:(音楽について)
うーん、いつもならサクサクっと軽く書いてるこの文も、今回は少々言葉を選んで書かなければいけないようです。
と言うのも、ゲーム中のテキストを読んでいると、どうやら音楽に通じてる方がスタッフにおられるようで、あまり素人が偉そうなことは言えないかな!? なんてちょっと構えてみたりして(苦笑)。
ま、素人ならではの御託を少し述べさせていただきましょうか。
まずOPの「Smile of Angel」。ソウル系の少し重量感ある曲です。
ただスタッフのコメントで、「Hゲームの曲としては異色」と言われてますが…
確かにEDの「I Wish」の方が、ゲームの雰囲気に合ってるように思えますね。
個人的には前者の方が曲としては好きなんですが、曲調に対して、ヴォーカリストの声に厚みが足りないのが少し残念です。
次に後輩・真琴のテーマ「Sweet Tune」。
この曲は真っ先に聞き込んだ曲なので(苦笑)、一番なじみがあります。
物静かな彼女の性格によく合う曲だと思います。
あと、元曲は多分サティの3つのジムノペディの第1番でしょう(違ってたらごめんなさい)。
それから音楽モードには入ってなかったんですが、「主人公が自分の寿命を明かす」(仮名)などは、思わず自分も弾きたくなるような少し切ない感じがたまりませんね。
他にもジャムってる曲やら、シノラーっぽい(私、彼女の曲って聴いたこと無いんです)? 忍の曲も、聴いてて楽しいですね。
そんな中でも先輩・巴のテーマ「Activistic Girl」が、この作品中1番のお気に入り。
颯爽とした彼女に相応しい、小気味よいリズミカルな曲調が、聞き手に心地いい緊張感を与えてくれます。
一通りシナリオをクリアしての感想ですが、どうも設定からして無理が感じられます。
日吉亮という存在を作り上げるまでの経過を考えると、アミティッジ財団が「俺、普通の男の子になります」というのを、簡単に「はい、いいですよ。長い間ご苦労さん」と言ってあっさり解放させてくれるとは考えにくい。
わざと解放して、実社会でのデータ取りをしてると言うのならいざ知らず…。
さらにおかしいのはV.Aの存在で、これはシナリオ上では語りきれず、ついにはおまけモードでその生活実態をフォローしています。
これはハッキリ言って、シナリオライターの力量不足を感じざるを得ません。
先の音楽のところで音楽に通じてる方がいると書きましたが、それはどうやらシナリオライターさんの事らしいです。
が、音楽について書くのはいいんですが、その分本来の基本設定やキャラクターの立ち回り等が、疎かになっていては本末転倒ではないでしょうか?
とはいえ、各シナリオごとに美味しいところがあるのもまた事実で、個人的には、亮のわざと嫌われ者になって死を迎えようとする、半分子供じみた行為に頬笑ましさすら感じます。
また、やよいや真琴等の憧れから恋愛へと昇華するパターンや、忍や巴、さらにはV.Aのような辛い過去を亮という存在に救われ、お互いを思うというパターンなど、ややお決まり的な作りでありながらも、その分安定した仕上がりになっています。
システム面を見ても、今日びのゲームには標準装備、次の選択肢までスキップ、ストーリー回想(テキストの読み返し)、いつでもセーブと言った機能は完備してましたので、プレイの際のストレスはなく、それこそこの世界を楽しむには快適でした。
それだけに、先に示した問題点は致命的に思えます。
(総評)
色々書いてきましたが、トータルで見ると決して悪くないゲームだと思います。
結局ハッピーエンドの際、未来永劫を生きることになる亮。
そしていつか、そんな彼を残し去っていくヒロイン。
決してハッピーエンドとは言えない物語ではあるけれど、亮は生きていけると私は思います。
心優しい彼の中に、ヒロインは共に生きているのだから…
(鷹風虎徹)