流聖天使プリマヴェール 捕らわれの天使
ヒロインを調教して世界征服をしよう。
1.メーカー名:エスクード
2.ジャンル:調教シミュレーション
3.ストーリー完成度:D
4.H度:B
5.攻略難易度:C
6.オススメ度:D
7.その他:悪の組織って意外と地味かもしれない。
(ストーリー)
悪の秘密結社「マルク・ジェネ」の幹部であるこのプリンス・ガーランドは、とうとう憎き宿敵・プリマヴェールの一人を捕らえることに成功した。
多くの犠牲を払ったが、事ある毎に我々の邪魔をする“愛と正義の聖天使”も、もはや一人だけ。
このプリマヴェール・若草純菜を洗脳し、同時にその力を解明すれば、世界征服など容易いこと。
いや、いっそ私の下僕にしてしまえば、組織のトップとなるのも夢ではない。
私にも運が向いてきた様だ。
さて、どう調教してやろう?
捕らえた女の子を自分のものとすべく、調教を行なうシミュレーションゲーム。
プレイヤーはプリンス・ガーランドとなり、二ヶ月半の間に純菜を調教し、同時に地上における侵略作戦を展開させ、ノルマポイントを稼がなければならない。
このゲームは調教と侵略活動をバランスよく進めていく必要があり、そのために与えられた予算をどうやりくりするかが重要になる。
調教は、純菜をバイブ・縄・青姦等のあらゆるシチュエーションで徹底的に責め、イカせられれば実験成功となり、ポイントを得ることができる。
しかし体力には限界があり、休息をはさまなければならず、連続して行えない。
侵略活動は戦闘員に指示を出し、次の日以降に成功すればOK。
連続してできるが、その内容に応じて得られるポイント数は変わり、難しいものほど成功率が下がる。
これらを行う予算は、15日毎に行われる予算委員会までに得られたポイントによって追加されていく。
これらを二ヶ月半の間繰り返し、最終日の作戦ポイントと、純菜のパラメータによってどのエンディングになるかが決まる。
エンディングは、バッドエンドを含めて4つ用意されている。
グッドエンドを見るためには、純菜のパラメータを上げなければならないので調教がメインとなるが、どんな責めも簡単にできるわけではなく、バイブをつかうならバイブを、縛りたいなら縄を、外に出るなら首輪を、必要に応じて開発しなければならず、一筋縄ではいかない。
開発には金がかかり、あっという間に予算を食いつぶす。
プレイヤーは、いかにして調教をしつつ最大限にポイントを得るかに悩むことだろう。
「予算のやりくり」は、現実でも我々が常に味わっている事柄なので、中間管理職である幹部の気分が痛いほど味わえるはずだ。
このゲームの、Hゲーとしての部分以外の楽しさがここにある。
ストーリーは、ガーランドの出世をよく思わないもう一人の女幹部・ムーングラムの暗躍と色仕掛けあるだけで、変化に乏しい。
育成系のシミュレーションが抱える問題に、このゲームも陥っている。
しかし、純菜を調教をしていくうちに愛が芽生えたり、実はもう一人のプリマヴェールは正義のために戦っていたのではなかったとか、秘密結社の皇帝マルカス・ジェネイルは意外な人物だった等、特撮で使われてきたパターンを踏襲しているので、なかなか楽しい。
エンディングの一つには、ガーランドの下僕となった二人のプリマヴェールが組織のために世界征服を行うものもあり、製作者の、正義に打ち勝つ悪への憧れを感じさせる。
問題は、「調教」という行為があまり楽しめないということ。
調教そのものは、CGの点数から見てもバリエーションに富んでいる。
しかしゲーム全体で見ると、調教は、あくまで世界征服のための一活動でしかなく、作業という感覚が否めない。
まして実験成功のポイントを得るだけなら、9割方胸だけ揉んでいれば事足りてしまい、予算を得るための手段にしかなってない。
悪の組織の行いとしてはある意味正しいが、味気ないことも確かだ。
そして、プリマヴェールの設定の情けなさ。
世界の愛と正義を護るためのヒロインらしい。
普段は、学生として普通に生活しているらしい。
マルクジェネが現れたら、常に二人で戦っているらしい。
天使は、月と太陽の二人しかいないらしい。
人知を越えた聖なる力を持っていて、最大限に発動しても、建物や一般人には影響が無いらしい。
これは全部ゲーム中に見た限りでの推測だ。
彼女達は「宇宙(コスモ)に頂く月(ツクヨ)の乙女」「地上を照らす太陽(コロナ)の天使」「勅命降臨、只今参上、流聖天使プリマヴェール!」とかっこいいセリフがありながら、登場シーンは無い、変身シーンも無い、決めポーズも無い。必殺技もあるのにそのシーンも無いといった感じで、どういう存在であるか何の説明もされていないのだ。
プレイヤーに与えられるのは、ゲーム内で世界征服の妨げになる存在らしいという、わずかな情報のみ。
これでは何が何だかさっぱり解らない。
下手をすると、街中で騒ぐただの怪しげなコスプレ少女である。
いくら捕まえた後がメインといっても、あまりにお粗末ではないか。
このゲームのツボは、強く可愛い愛と正義のヒロインを捕まえ、辱める事にある。
だからこそ、そこに調教の興奮を覚えるのだ。
ゲームのタイトルに意味を持たせるためにも、もっと彼女達の設定に気を使うべきだった。
他にも純菜の制服姿のCGのバランスが悪かったり、EDの歌が出来がいいのに1番しかなかったり、他の幹部はどんな活動をしているのか、プリマヴェールは何でその力を持っているのか等、想像させるものが何も無かったりと考えるべき点は多い。
悪の組織と正義の味方。
このゲームを作ったスタッフも、その多くをテレビで見て育ったはず。
次回もこのテーマをを扱うなら、我々がどこに惹かれ面白いと思ったのか、更に研究を重ねた上で出して欲しい。
(総評)
私は、一人ひとつのシチュエーションがほとんどのアドベンチャーゲームより、一人の女の子を徹底的に責める方がやり甲斐があって好きだ。
まして、それが愛と正義を唄う者を貶めることなら尚更に、ただの女の子を調教するより面白いと思う。
プレイヤーには、鬼畜な男の奇行より、金持ちの道楽より、悪の組織が研究のために行うことの方が、自分の気持ちを納得させる正当な理由として受け入れられることだろう。
クリア後のおまけを見ると、時間が無かったことが多くの不満点の原因になっていることが解る。
もっと時間があったら、と言い始めるときりが無いけど、その意味では、これも時間に泣かされたゲームの一つといえるだろう。
もし別の正義の味方を調教するゲームを出すなら、今度は大丈夫だろう。
特撮にたくさんの正義の味方と悪の組織がいる様に、色々なヒロインを色々な悪の組織が調教する。
なんか、シリーズ化出来そうな気がするなぁ。
ところで、戦闘員へ指示を出したり、道具の開発を依頼していると、なるほどテレビで見てきた特撮に、幹部クラスが滅多に出てこなかったのも解る気がする。
みんな研究開発に忙しかったわけだ(笑)。
それにしても「マルク・ジェネ」は大した組織である。
何しろスタート時は僅か侵略率10%なのに、二ヶ月半で世界征服を達成してしまった。
これは世界に支部を持ちながら、仮面ライダー1号を逃がしてしまったがために壊滅に追い込まれるショッカーや、一時は世界を掌握しながらも、オーレンジャー達を捕まえられなかったために大逆転を食らったバラノイア帝国よりすごい。
ガーランドの親父もマルク・ジェネの将軍だったらしいから、30年ほど下積みを得ての快挙ということになる。
征服後も、人々の生活をそのままに宿題を無くしたり、歩道を渡れない婆さんがいたら信号をいきなり赤にしたり、飢餓で苦しむ子供がいれば、ガーランドの名で食糧を送ったり等(ハッピーエンドより抜粋)、実に市民寄りな活動を展開している。
へたな政府よりよくできた組織だ。
こんな組織なら、征服されてもいいかもしれない。
このゲームは、悪の組織を実感できる一本である。
次があるなら、「秘密結社Q」「アジト」などの一般ゲーでしか味わえなかった、悪の組織がHゲーにも登場だ! と、力を込めて叫べるような作品を期待したい。
ん? 調教の話はどこへいった?
(Mr.Boo)