「理想スタイル」を形成した上でいきなり大規模イベントを開催して、大失敗に終わったイベントだって存在する


 小規模イベントから少しずつ成長し、やがて大きく&有名になるというのが現在いくつか存在する大型同人誌展示即売会の基本スタイルだが、実はいきなりこういう大規模イベントを、一発目からぶっ放そうとする勇気のあるイベンターも存在する。

 もちろん、一発目からの大型イベントを成功しているものも数多くあるが、その場合は主催側が他の大型イベントでのノウハウを活かして運営しているものがほとんどで、それらはいわば「姉妹イベント」と呼べるようなものばかりだ。


 ここで挙げる「大失敗に終わったイベント」というのは、イベント主催経験がまったくないにも関わらず、いきなり大きく出てきたものを指す。
 実際にあった例をいくつかご紹介しよう。
 
 ちなみに、ここで言う「大失敗」とは、決して筆者個人の評価によるものではない事を、ここで強調しておきたい。


1.イベントCP(仮)
 某有名ゲームメーカーが自社ソフトの名称にあやかって開催したもので、2000年4月に某ビッグサイトで開催。
 
 コミケと同じ会場の一部分を使用して行われたが、収容人数見込みを何十倍も上回る参加人数が押し掛け、人口密度はコミケの数倍に達し、どんな弱小サークルであってもほとんどが持ち込み数完売状態にする事ができたそうだ。
 それだけ書くと一見大成功のようだが、実際には会場整理もほとんど行われず、当日スタッフも途中で脱走し(それだけやってられない状況だったらしい)、主催側は会場の混乱に目もくれず素っ頓狂な事ばかりしでかし、ただ無駄に会場をかき乱していたらしい。
 当日はコミケスタッフ(注:このイベントのスタッフではない!)が、本来は客として来ていたのにも関わらず途中から自主的に会場整理に参加し、そのおかげである程度の沈静化に至れたという。
 また、午後4時までの開催だったにも関わらず午後1時過ぎにはどのサークルの売り物もなくなっていたようだが、会場の外では、まだそうと知らない参加者達が長蛇の列を作っていた。
 後に、インターネット上でこのあまりにずさんなイベントの実態報告がなされ、過労で倒れ、運ばれるスタッフの脇で打ち上げを始めたとか、大手サークルの同人誌をちゃっかり中枢スタッフが獲得していたりとか、本部はほとんど働いていないとか、実に様々な内容が提示されていた。

 なお、このイベントのサークルカタログも、他同様マニア系書店などで先行販売されていたが、イベント開催日すらまともに記されていないこの本は、本来不必要な筈の有名作家のイラストや漫画によって彩られており、すっかりコレクターブックと化してしまっていた。
 このため、イベントに参加する・しないに関わらずまとめ買いに走る者が続出。
 開催当日にはどこの店にも、ましてや会場自体にも売っておらず、カタログとしての本来の機能をまったく果たしていなかった。

 さらにたちの悪い事に、主催側のオフィシャルサイトの掲示板に書き込まれたイベント関連のクレームは一切削除され、それが参加者達の怒りをさらに煽ったようだ。

 当時は、「このイベントが無茶をしてしまったら、もうコミケが会場を貸してもらえなくなるかもしれない!」という危機感も各方面で発生していたようで、このイベントが事実上一度限りの「やり逃げ」だった事も手伝って、最悪イベントの一つとして数えられた。


 …ところが、このイベントを上回るとんでもなものが、その2年後に池袋で開催された。


2.イベントHC(仮)
 とあるエロ系漫画家が、「20代のうちにイベントを開催してみたい!」という目論見の元に行ったもので、某ビッグサイトよりもさらに小さい「池袋某シティ」で行ったイベント。
 どういう経緯なのかは不明瞭だが、とにかく大手人気サークルばかりを大量に集め、相当な注目を集めた上で開催されたが、徹夜組に対するペナルティなし(オフィシャルサイト上では、しっかりペナルティの存在をちらつかせていた)、当日カタログを持っていないと絶対に入れないという入場制限(カタログの一部だけや、荷物になるからと置いてきてしまっていたりしたら絶対ダメ)、カタログ内にはランダムで限定アイテムが封入されているという噂(筆者は真実を知らないが)が流れた事による完売騒ぎ…などが重なり、色々な方面で凄まじく荒れまくった。

 会場内ではお客の将棋倒し騒ぎが発生したり、いちいち全員のカタログをチェックしていたために(封入されていたポスターまで確認していたという)遅れまくる入場によるクレームがあったり、またまたコミケスタッフが自主的参加したりと、問題続出。
 主催者がどうやってこのイベントを開催出来たのかという根元的な謎に対しても、様々な黒い噂が流れたものだった。

 
 筆者が知っているだけでも、上記のような例が本当に存在している。

 まずい事に、どうもこれらのイベント主催側は、これらを「成功した」と思いこんでいるようなフシがあるようだ
 残念ながら(幸い?)、筆者はこれらを体験してきた猛者達からの報告とネット上での情報収集をまとめて表記しているため、勘違い・誤認・書き忘れなどもあると思われるが、その辺についてはご容赦いただきたい。
 ただ後者のイベントの開催予告を聞いた瞬間、前者の事を思い出した人は決して少なくない筈だ。



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