PALETTE
 
 4人のヒロインと3つの物語。お好みのストーリーをどうぞ。
 
1.メーカー名:F&C/フェアリーテール 2.ジャンル:ADV
3.ストーリー完成度:C’
4.H度:D
5.オススメ度:B
6.攻略難易度:B
7.その他:キャラなら恵理、シナリオなら千晴が好き♪
 
(ストーリー)(恵理&翠シナリオ)
 主人公耕平(変更可)は、高校3年生で、姉の千晴と2人暮らし。
 ある日唐突に、幼なじみの恵理(めぐり)から恋人宣言されてしまった。それ以来、もう1人の幼なじみ翠の様子がおかしい。
 今まで恵理をそんな風に考えたこともなかった耕平は、どうすればいいのか悩んで…。
 
 ちょっとおもしろいシステムだ。
 最初にどの娘をヒロインにするかを選ぶことでシナリオの大筋を決め、その上でヒロイン以外の女の子(その場合、脇役扱いになる)を攻略できるようになっている。
 要するに、1人の女の子につき、3種類のストーリーが用意されているわけだ。
 例えば、どうやらメインヒロインと思われる恵理の場合、「恵理&翠」シナリオでは、突然の押し掛け恋人として、「玉緒」シナリオでは、シスコンの耕平をからかう幼なじみとして、「深月」シナリオでは、翠と付き合いかけていた耕平が、深月の出現に心揺れる様を見守りながら、翠との仲を取り持とうとする共通の友人として、それぞれ耕平に関わってくる。
 勿論どのシナリオでも、恵理と付き合うこともできるし、ほかの娘を選ぶこともできる。
 ある程度テキストの使い回しができるとは言え、データ量の関係から、必然的に大作にはなりようがないが、何度も楽しめる、結構自由度の高いシステムだ。
 ただ問題になるのは、恵理、翠など、ある程度耕平との関わりを強く持っているキャラでないと、脇役として出てくる時はともかく、本人メインのシナリオになった時に、影がイマイチ薄くなってしまうことだ。
 玉緒にも若干その傾向が見えるが、モロにアオリを食らっているのが深月だ。
 深月は耕平にとって、千晴の勤める病院でボランティアをしている少女というだけの存在でしかない。
 ほかのキャラがメインとなるシナリオでは、脇役だからこそ特に問題なく存在できるが、ヒロインとして主役を張るには、求心力というか、耕平と常に関わり続けるための要素が少なすぎる。
 その理由として「自分を助けるために怪我をした耕平の世話を焼く」という展開にしているわけだが、この場合、どんなに献身的に面倒見てくれても、はっきり言って「だって、怪我したのお前のせいじゃん」という思いが拭いきれない。
 また深月以外は、元々耕平との付き合いが長い上、初恋の相手が耕平なのだ。
 深月は、知り合ってから耕平を好きになるまでが短いため、どうして好きになったのか、納得できるだけの理由が見えず、非常に損をしている。
 逆に、どのシナリオでも十二分に活躍するのが恵理だ。
 『With You』でもそうだったが、同じ幼なじみでも、活発なのと大人しいのとでは、かなりストーリーと言うか、主人公への絡み方が違ってくる。
 一般的に、活発な方が得をするようだ(『To Heart』のあかりみたいな例外もいるが)。その意味でも、恵理はかなり得をしている。
 ちなみに恵理&翠シナリオでは、姉としてしか紹介されない千晴だが、深月シナリオで語られるとおり、実際には、幼い頃に耕平の家に引き取られた従姉なので、攻略対象にできる。
 誰ともくっつかないエンディング(要するにバッドエンド)を迎えると、次回から、千晴シナリオが選べるようになる。
 実際、バッドエンドから一年後という形になっているので、耕平達は高校を卒業している。
 どのシナリオから続いても矛盾のない、大変良くできた後日談なのだが、やはりオマケなので、千晴と同じくオマケキャラである小麦しか攻略できない。
 しかしその分、いい線まで行きながら付き合えなかった他の4人の女の子のスタンスというものがよくわかる。
 4人とも、“耕平のことを好きなのだが、決定的な決め手が欠けているために、踏ん切りがつかず、あの夏、最後の一歩が踏み出せなかった”というスタンスで物語は進む。
 幼なじみとして、妹分として、友人としてのスタンスを崩すほどの何かが足りなかった。
 恵理にしろ翠にしろ、その後も耕平との距離をある程度維持している。
 恵理は、帰ってきたはいいが千晴の家に入りにくい耕平を自分の部屋に泊めている。
 その際、恵理は耕平に押し倒される可能性も考えた上で、同じ部屋に泊めているのだ。
 たとえ付き合おうとしても、“どうせ上手くいかない”ことがわかるから、あくまで『幼なじみ』という態度を崩さないのだ。
 また、翠は、一人暮らしを始めた耕平の部屋に、毎週のように出掛けて行って掃除なんかしている。
 そして、千晴が婚約解消したと聞いて慌てて帰ろうとする耕平に向かって、「このままズルズル行っちゃってもよかったけど」と言いながら、千晴との仲を応援するのだ。
 そういうのがあるから、鷹羽は、この千晴のシナリオが大好きだ。
 
(総評)
 ところで、『With You』もこの『PALETTE』も、幼なじみとの恋愛がメインになっている。
 鷹羽は、キャラ的には『With You』の菜織がツボなのだが、ゲームとして見ると、『PALETTE』の方が数段上だと思う。
 『With You』はメインシナリオである真奈美が悪すぎたからねえ。
 その点、『PALETTE』はそれぞれのシナリオのバランスが取れているから。
 ところで、ED曲の「ハートのクッキー」は、買ってきて最初に聴いた時、「なんてうるさい曲だ!」とか思ったんだけど、ゲームが終わってEDとして流れると、不思議といい曲なんだよね。
 キャラクターとは一致しないんだけど、何故かゲームのイメージに合うんだよね。不思議だな〜。
   
(鷹羽飛鳥)
 
PS そういえば最近、どっかのゲームで恵理と同じ触覚髪の女の子を見たような…。
 
 
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