にゃんてシャトン


 親に見離された主人公…
 そんな彼が修行に出された、レストランでの物語

1.メーカー名:RUNESOFT
2.ジャンル:ADV
3.ストーリー完成度:D
4.H度:D
5.お薦め度:E
6.攻略難易度:C
7.その他:キャンペーンの一環で、秋葉原にお店まで出ていましたな…


(ストーリー)
 主人公・浅野裕高(名前のみ変更可)は、特に働きもせずに毎日ブラブラと生活していた。
 父親が、一大レストランのチェーン「キングス・ダイナー」の社長であるため、何もしなくてもこづかいは入ってくるからである。
 その日、父親に呼び出され裕高は父のところに出かけるのであった。
 そこで、「お前にこれ以上は何もしてやらない」と宣言されてしまう。
 しかも今までの生活を改めるためと称し、自分の友人が経営しているレストランで働く事になってしまう。
 今度の今度は逆らえないと観念した裕高は、レストラン「シャンテシャトン」に出かけるのであった。


 ストーリーにも書いた通り、主人公がファミレスでアルバイトをしていくゲームです。
 このようなシチュエーションの場合、どうしても『Piaキャ□トへようこそ!』シリーズが頭をかすめ、比較しがちになってしまいます。
 それが…ゲームタイトルが狙った名前だったり…
 パッケージイラストでフリフリドレスのような制服を着ていたり(しかも2パターン)…
 主人公以外の、ほぼすべてのアルバイトが女の子だったり…
 あまつさえ主人公と初めて話す女の子が険悪なムードたっぷりな娘だったりすると、どうしても比較してしまいます。
 イヤ、「比較してくれ」と言わんばかりの雰囲気さえ漂っています。
 なぜ、今ごろになって“パチキャ□ットへようこそ”が出てくるのか?
 どうにも『Piaキャ□3』に対するアンチテーゼに思えてくるのは気のせいでしょうか。
 まだ、外見がやたら似ている事に反してストーリー展開がまったくの別物やシステムが大幅に良い物になっているならマシだったでしょう。
 が、外見・ストーリー・システムと三拍子揃って出来の悪い『Piaキャ□』になってしまっているので、一体どうしてやりましょうか(半泣)。

 あんまり『Piaキャ□』と比較してもしょうがないので、『にゃんてシャトン』の方を説明していきましょう。
 親に勘当宣言をくらった主人公が、しぶしぶ働く事になったレストラン。
 そこで働く女の子達のシフトと同じ物を選んでいけば、おのずと最後には結ばれる…うっわ〜、どうしようもないね
 本ゲーム最大の問題点が、このシフト選びに潜んでいます。
 シフト選びの方法は、一週間のはじめにその週の分のシフトを選びます。
 時間は午前と午後の一日2回、場所は “1Fフロア1.”“2Fエントランス”など全7種類あります。
 各場所には“チップ”という物があり、それを消費してシフトを決定することが出来ます。
 このチップを午前と午後に2枚ずつ、1日で計4枚、1週間で28枚消費します。
 さて、何が問題になるかといいますと、チップの消費量が激しいことです。
 ゲームの性質上、攻略対象の女の子は1プレイ1人になります。
 よって、チップ消費は1日2枚、一週間で14枚あればよい計算になります。
 しかし、初期のチップ保有枚数は各場所につき6枚しかありません
 増やし方は、女の子とのイベントを起こすとその娘に対応した場所のチップが増えていくというものです。
 基本的には、女の子は特定のフロアで働いているのですが、あくまで「基本的には」です。
 たまに、いつもとは違うフロアで働いたり、シフト変更があったりすると「チップがもうないや」という状態になります。
 それというのも、2枚ずつ消費するチップのうち、片方一枚は無駄になってしまうからです。
 この無駄なチップ消費のせいで、クリア一歩手前でストップ! という状態に陥ってしまいました。
 幸いにもシフト変更の時間は固定パターンなので、ストーリーを一回見てしまえば計画は立てやすくなるのですが、やはりその労力は「無駄な時間」の一言に尽きるでしょうね。

 さらに、シフト選びで不満点がもう1つあります。 これは上記の点とまったく相反する意見なのですが…
 先ほど「場所は全7種類あります」と書きましたが、そのうちの一つに“事務所”というのがあります。
 なんと、この場所だけは初めからチップが“∞(無限大)”との表記がありまして、何回選んでもチップは減りません。
 さらに言いますと、ほとんどヒロインとのイベントも起きません。
 ここではじめに挙げた問題点だけで判断すると「なんだよ、事務所を選んでおけばチップを消費しなくてすむじゃん♪」という考えになりますよね?
 だけど、その考えには落とし穴が待っていまして……「どのフロアよりも事務所での仕事が優先」されてしまいます
 コンチキショー、こんな「無駄ァァ」な物作るんじゃないよ!(怒)。
 私は見事にはまってしまいましたよ…。
 事務所で必須イベントが起きるのって、全ヒロインのイベントの中でも1〜2回程度のはずなのに“∞”とは何事じゃ。
 この二つの問題点が、お互いの足を引っ張っているため、どうしても使いづらいシステムになってしまいます。
 どっちか一方が無くなってくれれば、もう少しはマシなものが出来ただろうに…アンユーザーフレンドリーな設計の典型的な例ではないでしょうか。
 これで自分のパラメーターを上げていくという作業まであったら、放り出しますね。    
 期間内に女の子と合えるだけ合っておけばOKなのが、最後の良心といった感じですね。
 
 さてと、次はストーリーにいきましょ。
 ヒロインはアイドル歌手から眼鏡のお姉さん、果ては猫耳付けた小さい学生さん風味まで総勢6人登場します。
 劇中無理矢理酒を飲むイベントが発生する辺りに、微笑ましい努力を感じますね。
 全ヒロインに言えるのですが、ちゃんとイベントさえ起こしていければHシーンにシフトしていきます
 やはりヒロインと結ばれる訳ですから、Hシーン直前ではそれなりに話は盛り上がります。
 だけどそれまでのイベント、または会話がまったく普通の内容なので、途中から突然がらっと雰囲気が変わってしまう印象があります。
 その明確な変わり目が、花火大会です。
 そのイベントで、攻略成功かどうかがわかったりします。
 しかし、全員共通で花火大会が必須イベントになっているので「目指せ完クリ」より「目指せ花火大会」になってしまっているのは悲しかったです。
 そしてストーリーの方に細かい欠陥・難点がありまして、整合性が取れていない個所が多々あります。
 とてつもなく大きなものはないのですが、細かいものがわんさかと…紹介しきれないくらい。
 先ほどのものがアンユーザーフレンドリーの典型例だとすると、こちらは典型的なデバック不足でしょうね。
 
 (決め付けだけど)有名作品を真似て作るのは、それイコール即ち悪とはけして思っていませんし、時には元ネタ以上のものができる可能性を秘めているので嫌いでもありません。
 しかし、雰囲気だけを似せてそれだけを押し進めると、散々な結果になってしまった…この作品はそんな例ではないかと思います。


(総評)
 ……やっぱりどう見ても見た目は『Piaキャ□』です。
 試しに梨瀬さんに見てもらったのですが、感想はやはり“Piaキャ□もどき”でした。
 そもそも、実際に働くレストランの名前は「シャンテシャトン」なのに、「にゃんてシャトン」というタイトルを付けるあたりに涙ぐましい努力(センス)を感じますね
 こうなってくると、キャラクターデザインが二人いるのも狙っているとしか思えなくなってきます。
 このメーカー・RUNESOFTはそれ以前の『ピヨな=ピコナ』のような「明らかなロリ絵路線」でいった方がましなゲーム作ってましたね、たとえ単調なゲームだとしても…。

 最後に、どうしても「手を抜いているとしか思えない」ことがあります。
 それはゲームサウンドなのですが、まず根本的に「ミュージックモード」に相当するものがありません。
 そこでCDプレイヤーを立ち上げて、全曲聞いてみましたよ。
 曲自体は可もなく不可もなく、いたって普通のゲームソングなのです。
 が、まったく同じしか聞こえないオープニングテーマが4〜5個も入っているのは何?
 違うのはボーカルが入っているかいないかの差しかないような気が…。
 
 せめて、どこか一つくらいはセールスポイントを作って欲しかったですね。


(エルトリア)

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