第6話 組織パーツの黒幕について

このページでは、「MISSING PARTS3」第6話の最終解決場面についての考察をまとめています!
激しくネタバレですので、くれぐれもご注意ください!!

ここを先に読んでプレイすると、ごっつうつまらなくなるかもしれませんから!!
「つーか、もう消去法で考えると、誰かって事はバレバレなんだけどね(笑)」
「ちょっと、いきなりそんな事砕けな事言ってどーすんですか?
 そりゃまあ、森川みたいな事のあとだから、そういう思考に向いちゃうのはわかりますけど」
「いや、まあ…。
 なんつーか、5話の時の森川については最初はどうかと思ったけど、6話中盤に入る頃には違和感もなくなり始めていたんよ。
 だけど、こいつだけは…諏訪弁護士だけは、どうにもいただけなかったなあ」
「一応、元締の見解を教えてくださいよ」
「実は、1話の頃から、諏訪には何か裏設定があるんじゃないかって気がしてたんよ。
 理由はすっごく単純。
 毎回確実に登場しているレギュラーキャラなのに、なぜかいつも彼だけ蚊帳の外にいるから。
 レギュラーの中で、主人公と比較的頻繁に接触しているにも関わらず事件との関係が常に薄いキャラクターって、彼とスピリットのマスターだけなんだよ。
 最初のうちは、そこに奈々子が入っていたわけなんだけど、彼女は4話でめっちゃくちゃ関わっちゃったし。
 いくら3話で捜査に協力したってったって、主人公たちと諏訪の間には、どこか不自然とも思える距離があったんだ。
5話までは、それも“基本的に別な環境下で活躍している人だから”という印象を持っていたんだけど、Aimの開催日が近付くにつれて、だんだん不自然に思えるようになってきたんだ。
 …そしたら、こうだもんね」
「という事は、珍しく今回は早い時期から読みを働かせていたという事ですね?」
「そういう訳じゃないけど…
 なんとなーく感じていた違和感が、たまたまこんな結果と結びついただけ。
 決して、推理で特定できた訳じゃないから。
 当初、まだパーツの存在なんか微塵も表面化していなかった時は、“弁護士という隠れ蓑で正体を隠してはいるが、実は氷室や所長を遥かに超える超人的活躍のできるエージェント”か何かじゃないか? …なんて、小学生みたいな事考えてたものよ(笑)」
「諏訪さんが犯人だと確信するまでの、恭介と所長のやりとりは大変好きだし、完成度の高い場面だと思いますけどね」
「複雑な気持ちを抱きつつも、事実は認めなきゃならない…という悲痛さ漂う良いシーンだったよね!」
「ただ、最初に諏訪さんを疑った時点で、私、思い違いをしたんですよ。
 今までのパターンから“こんなに早く疑われるという事は、諏訪さんは実は黒幕ではなく、もっと別な奴がいるに違いない!”なんて思っちゃいました(笑)。
 だから船の中で待っていたのが諏訪さんだった時なんか、あまりのストレートさに“ほら、変装を解くなら今がチャンスだぞ、黒幕?!”とか呟いちゃったり(泣)」
ガハハハハ、ダマされて死ね(バリ!)」
「そこで名探偵カゲマンネタなんか振らないでください。

 でも、今から冷静に考えると、諏訪さんの場合はその裏付けというか、“黒幕である事を認知させるために”充分な説明と余韻を持たせる必要があったんですよね。
 だから、森川の時みたいなおっかけ的説明はできない。
 驚愕の推理を少しずつ進め、じっくりプレイヤーに認識させてから、すでに判明している真実を打ち明けるという…
 土壇場でおかしな展開にさせず、説得力を持たせるために行った手法かと思うと、大変納得できる気がするんです」
「そうだね。
 これで森川と同じパターンを繰り返していたら、驚きはしただろうけど“アホぬかせ”って気持ちばっかりが先立っていただろうからね」
「あの、愛犬サイトの正体が判明した時の驚きったら…今までの中で最悪でしたよ。
 真面目に、背筋に冷水って感覚を味わいましたもの。
 …あ、この“最悪”って、誉め言葉ですから念の為」
「とにかく、諏訪については納得できる要素はあったんだよ。
 森川の時にも、こういう“隙”みたいのがもう少し欲しかったように思えて残念でならないけど。

 …と、ここまではいいんだが、ラストのアレ、どうだろう?」
「コルトパイソンを片手で楽々と撃ち、ヘリコプターを一発で撃墜って事ですか?
 それとも、その銃で自分の頭撃とうとした事ですか?」
「い、いや…そういう事じゃなくて(笑)。
 すまんね、自分は銃に詳しくないどころか大嫌いなタチなんで、その辺あまり突っ込んで考えないんだよ。
 ヘリ爆砕はどうかとは思ったけど…って、そんな事じゃなくって!
 主人公だよ主人公!
 さっき本文でも触れたけど、あいつ、あそこまで無防備で乗りこんで対峙して、ホントにどうするつもりだったんだ?!」
「そのまんま、諏訪さんの心に訴えかけるつもりだったんじゃ…」
「いや、だからその展開があまりにも力技過ぎたって事が言いたいの。
 仮にも次世代派のトップである筈の諏訪が、いくら相手が主人公だからって、あんな説得で30年間積み上げてきたものを手放すってのが、あまりにも信じられないの」
「いや、ですけど、恭介はその分、諏訪さんの心の琴線に訴えかける話をしたわけで…」
「先に念を押しておくけど、諏訪があの場で改心したきっかけは…威がいたからだよ」
「えっ?」
「理由や経緯はともあれ、結果的に主人公と利害が一致した事で、あらためて威を危険視…処分しようという決断に至っただけだよ。
 説得されたってぇなら、それは自殺しようとしてからの話。
 もし、あの場に威がまったく関わっていなかったら、どう考えても、主人公を瞬殺した方がリスクが少なかった筈だ」
「そ、そりゃそうですが…。
 でも、やっぱり恭介の呼びかけがあったからですし…」
「あの展開を別なものに例えるなら、こういう事さ。

 ある怠け者が、捨てるのが面倒という事で家の中にゴミを大量に抱え込んでいた。
 で、それを片付けろという口うるさい知人がいるんだが、いつもはシカトしていた。
 だけど、ある日そのゴミの一つが異様に臭くなってきたため、怠け者もさすがにまずいと思い始めた。
 そして、知人にも同じ事を指摘されたため、今回は捨てる事にした。


 …って、この程度の事なんだぜ?」
「ほ、ホントにそうですか〜?」
「いや、あの場面で諏訪がどれくらい悩んだかという事は、あまり問題じゃない。
 だけど上の例の場合、怠け者はゴミは捨てたものの“怠け者である事”が改まったわけじゃない。
 知人の言う通りゴミを捨てたからって、いきなり認識が改まる事はあるまい?
 それだけ大量にゴミを貯めてきた怠け者…言い変えれば、30年間組織の一部として活動してきた者の認識なんか、そう簡単には覆らないだろうという事なんだよ」
「…」
「確かに、主人公はもう諏訪が絶対逃げ切れなくなるような状況を用意していた訳だけど、それはもはや今の彼にとってちっぽけな抵抗に過ぎないんじゃないかな?
 倫理を武器に翳されても、それを打ち砕くための“暴力”を持っていてしかりだと思うんだよ、諏訪は。
 あれだけ大々的で恐ろしい組織ってさんざん言ってきたんだし、それを証明するような行為も行ってきたんだから。
 主人公そのものに“暴力”的な行為を行わなかったにしても、主人公の推理によって築き上げてきた物を無理矢理崩してしまう事なんか、簡単だったろうに。
 それこそ、杉内や真下一家、大野の時みたいにさ」
「たかが数十行の記事を消滅させるために、わざわざ毎朝新聞本社に火を着けた…って事もありましたからね」
「そうそう。
 だから、たとえ“弁護士・諏訪高貴”という立場に戻れなくなったとしても、パーツの中心人物として生き続ける選択肢を選ぶゆとりもメリットも、彼には多くあったと思うんだ。
 そんな事から、俺は諏訪が素直に投降したという展開が、どーしても受け入れられない。
 あれのおかげで、ラストの盛り上がりがすごく薄まったようにしか感じられないんだもの」
「とは言っても、逆にあそこで恭介が諏訪と物理的な一騎討ちを始めたって、うそ臭くてたまらないでしょうし、場面構成的には5話ラストと変わらない事になってしまうでしょうね。
 ああいう行動を取ったのは、正解だと私は思うんですけどね」
「まあ、この辺は意見が分かれる所なのかもね。
 確かに、主人公にはああいう方法しか抵抗の術がなかったという事には同意する。
 ただ、だとするとたった一人で乗り込んだという事が、とてつもなく無謀だったようにしか感じられないんだよ。
 これは無茶な意見なのはわかってて言うけど、まだ哲平と一緒に乗り込んだ方が賢かったんじゃないかと…」
「そしたら、威の気分を害して倉戸の銃が火を吹いて終わりでしょうね」
「…あっ、そうか。
 そういえば、あの場面には“威のご機嫌窺いをし続けつつ進まなければならない”という側面もあったんだった」
「相手が相手だけに仕方ないとはいえ、結局最後まで威に振り回され続けていましたね、恭介」
「確かに。
 ちょっと脱線するけど、この『MISSING PARTS』という作品内では、主人公は結局威に勝てなかった訳だね。
 チャリティコンサート会場爆破は阻止できたものの、それは威に勝ったという事とイコールではないし。
 というより、主人公が爆破を阻止するという所まで、威は読み切っていただろうからね」
「威は確かに死にましたけど、あの2人の対決は生死を賭けたものではありませんからね。
 キャラクターの性質上無理があるかとは思いますが、知識と行動力で威の上を行き、彼に敗北を実感させるような事にでもしない限りは、すっきりとした決着がつけられなかったと思いますよ。
 ましてや、威を倒したのは諏訪さんだし」
「言動や選択の結果では、主人公は確かに威の予想の上を言っていただろうさ。
 だけど、それ以上…威が見込んでいた以上の事をやる事は出来なかった。
 もしそれをやって、ヘタに威の機嫌を損ねてしまったら、その場で殺されていた可能性も高いし。
 そうすると、黒幕に遭うという目的を果たすため、主人公は威との決着をあの場で着けるのを放棄した、とも考えられるね。
 いや、自分はそれで正解だとは思うけど」
「この辺、難しいですね。
 いずれにしても、威の機嫌を損ねることなく…いわば飄々とした態度を崩させないままで逃走させた訳ですから、恭介は一番安全な選択肢を選び切った事になりますよね。
 その代わり、カタルシスは失ってしまいましたが」
「まあ、さらなる続編で“メカ威”になって再登場、失った腕の変わりに殺人武器を大量に搭載した義手を装備して、なぜか主人公に復讐を誓う……なんて展開でもやるつもりだってんなら、あれでも良かったのかもしれんけど。
 あんなやられ方で、威への怒りが収まった人なんているのかな?」
「涼雪ファンにとっては、憎んでも憎み切れないほどのラスボス的存在でしたからねえ。
 …それはともかくとして、元締…今の例えは、実にあなたらしくない想像でしたね」
「え、何が?」
「――義手を装備して復活?
 ふふふ、甘過ぎですよ。想像力が枯渇しすぎませんか?
 こういう場合、もっと相応しい物があったんではないですか?」
「ぎ、義手だと何かまずいのか? ドキドキ…」
失われた腕には“ドリルを代用”!!
 貴方、『ドリル少女スパイラルなみ』のどりる堂で、一体何を学んだんですか?!
 ああっ、情けないっ!」
「……何が来るかと思えば、よりによってソレかい…」
「あ、でも、でも、細い切れ長の目と銀色のドリル! って、すっごく似合うと思いません?! 
 思いますよねっ?!」
「…おもわん(キッパリ)」
「ともあれ、諏訪の事も威の結末もひっくるめて、ラストはイマイチすっきりしない展開だったのは惜しかったね」
『ドラゴンスレイヤー英雄伝説2』のラストバトルの直前で、それまでパーティでなんとか戦って来たっていうのに、突然主人公が“ここからは僕一人で行く!”とほざいて皆に止められる…というマヌケ極まりない演出があるんですけど、元締の話を聞いていると、ラストの恭介の単身乗り込みは、それにも匹敵しかねないほど唐突な決意だったという事でまとめていいんですか?」
「…お前、前回なんて自己紹介したか覚えているのか?」
「え、何か言いましたかりゅん?」
「…いや、なんでもない。なんでもないよ…」
「まあカタルシスとか説得力とか溜飲云々はともかくとしても、なんかドタバタして一気に詰め込んでしまったようなラストだった気がするのは事実ですね。
 私自身は、あのラストの展開にそんなに問題は感じていなかったんですけど、それより気になる事が一つありまして…」
「えっ、何かひっかかる事なんてあったの?」
「投降を決意した諏訪さんが、恭介の母親のペンダントを投げ渡すシーンがありますよね」
「ああ、ついに戻ってきたか! …という一応感動の場面だね」
「諏訪さん、最初自殺しようとしましたよね?」
「え?
 ああ、そうだけど?」
「という事は、あの人、あんな偉そうな事いいながら最初は恭介の母親を巡る事を、一切公開しないまま死んでしまうつもりだったって事ですよね?
「…あっ」
「あのまま引き金引いてたら、ものすごく近くにあるにも関わらず、恭介はペンダントの事も真実も知らないままだった事になります。
 なーんかそう考えると、諏訪さんの態度も、結局すっきりしないままだったなあ…なんて思えて、ちょっとだけ興醒めなんですよ」
「あのまま死んだとしても、多分ペンダントは主人公の元には戻って来ただろうけどね。
 でも、それは多分氷室さんとかを経由してだろうし。
 諏訪自身があのペンダントを返したという事が、過去の罪の懺悔を表しているとも解釈できる重要な場面だからなあ。
 せめてペンダントを返して、すべてを暴露してから自殺して欲しかったってところか。…いや、ホントに死んでもらっちゃ困るんだけど(笑)」
「まあ、私はそんなつまらない所が大いに気になったというわけです。
 感じ方は人それぞれですので、決してここを致命的な問題と主張する気はありませんが、とにかくこういった所をはじめとして、6話ラスト辺りの展開に不満を持った方は多かったんじゃないかな、という考えでまとめたいわけです」
「なるほど、よくわかった。
 …ところで」
「え、まだ何かあるんですか?」
ドリルの大きさはどれくらいの方がいいと思う?
 やっぱり、アレって最初のインパクトが大事じゃんか。
 どうせ復活するんなら、全長2メートルくらいでジェット推進機能によって回転するタイプがいいと思うんだよな!
 『真・ゲッターロボ』のゲッター2みたいにさ♪」
時間差で萌えるの、やめてくださいってば!!
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