継母調教
歪んだ愛情の日々
1.メーカー名:大熊猫(ジャイアントパンダ)
2.ジャンル:アドベンチャー
3.ストーリー完成度:C
4.H度:B
5.攻略難易度:G
6.オススメ度:D
7.その他:個人的には、ほとんど出番の無い真理恵の方が好みだったりする。
(ストーリー)
佐々木一成(主人公・名前変更可)は、病で母を亡くした。
葬式のさなか、泣いて手をつけられない彼に唯一手を差し伸べてくれたのは、小学校の担任の景子先生だった。
その時から先生は憧れとなり、好意の対象となった。
中学を経て高校になってもその思いはかわらなかったが、ある日、父が連れてきた再婚相手が景子先生であることに愕然とする。
崩れる思いから、不登校児となってしまう一成。
それを心配した景子さんは、彼に思いのたけをぶつけられ「一成君の言うこと聞いたら学校言ってくれますか?」と申し出る。
そして始まる、父に隠れた禁じられた行為。
最初は嫌悪感しか感じなかった景子さんだったが、次第にそれを受け入れられる様になっていって…。
景子さんに色々な調教をして調教度を上げるのはシミュレーション的だが、基本的にはシナリオの選択肢でエンディングが変わるので、ノベル型アドベンチャーといえる。
もちろん、調教度の高さで迎えるエンディングもあるのでHをおざなりにしてもいない。
ストーリーは、不登校児の「学校に行かない理由」の一つとして面白い。
自分の好きな人が父の再婚相手であり、父と夜の営みが行われているかと思うと夜は家にいられず、その結果、学校のある時間に家で寝ていることになる。
学校の先生に話しても解決できない、という所には、なんだか妙なリアリティがある。
体を提供することでしか解決できない悲しさと、父にも、自分に興味を示している女の子にも秘密にしなければならないという背徳感は、プレイヤーに訴えるものがある。
行われるプレイの数々は、エプロンから始まり、下着姿、ロープ(手首を縛るだけ)、スーツ、喪服等の服を来たもの、いわゆるコスチュームプレイに統一されていて、その手が好きな人にはなかなかくるものがある。
調教レベルによって景子さんの反応は変わるし、後半の方にCGが集中しているので、ゲーム終盤まで飽きることは無い。
しかし、このゲームを楽しむためには、いくつかの問題を受け入れる必要がある。
まずなんと言っても、文章に耐えられるかどうか。
ゲーム中、一成は好きな人が父親の妻であることと、自分が景子さんを汚すことでしか自分のものにならない、という現実に悩む。
その、自己の中で渦巻く感情が文章のメインであるため、ストーリー全般に渡り、独り言やつぶやきが繰り返される。
文全体の統一感はあるが、自己嫌悪の嵐では、読んでいるわれわれは楽しくない。
また、この主人公視点の文章は画面にキャラがいてもいなくてもひたすら続くので、プレイヤーは早く先へ進みたくてもなかなか進まない、ということがしばしば起こる。
二回目以降は文章を飛ばせるが、最初のプレイはどうしても無駄に時間を費やしている様に感じてならない。
文章を飛ばしたプレイが一時間余りであることを考えると、初プレイは異常に長い時間に思える。
更に文章はたった二行の枠の中で表示されているので、マウスを連打しなければならず、更に無駄を感じる。
Hシーンのみを二行にするならともかく、何故ノベル型に多く見られる全画面表示の文章にしなかったのだろうか?
単純に使う行数が増えるだけでも、ゲームが快適に進められたはずである。
次に、複数回プレイへの疑問。
CGや調教イベントが一回のプレイでコンプリートできないのは、複数のエンディングを持つゲームでは当たり前だが、全てのエンディングは、一定値以上の調教度になっていれば最後の方の選択肢から全て選べてしまうため、繰り返しプレイする意味がない。
それなのに、ゲーム中に行える全てのHプレイのレベルは、一回で全てをMAXまで上げることが、調教を行う回数と、その数値の上がり方から考えても絶対不可能なので、プレイヤーにどう遊ばせたいのかよく判らない。
そしてキャラの設定が希薄。
ゲーム中登場するキャラクタは、一成・景子さん・父親、そして一成に興味を持つ小学校の同級生だった真理恵のわずか四人。
しかし、一成の独白するゲームスタイルは周りの人間を無視するに等しく、言いなりになる景子さん以外何を考えているのか見えてこない。
特に父は問題だ。
学校に行かない息子に寛容なのはまだしも、なんで景子さんと再婚したのかさっぱり解らない。
そして、その理由も語られることは無い。
更に、プレイのいくつかは彼が家にいるときに行われていにも関わらず、まったくもって気が付かないのだ。
だいたい、いきなり一ヶ月ほど登校しなくなっていた息子が、いつの間にかちゃんと学校に行き始めたんだから、何があったのかもっと不思議がれよオヤジ、って感じである。
そして、終盤は突然出てこなくなるので不自然極まりない。
真理恵は、一成と景子さんの後ろめたい行為を知らずに接し、二人に笑顔をもたらす。
それによって心のバランスを取る、いわば一成のための保険として用意された存在。
それはそれでいいのだが、彼女は恋愛感情を持って絡んできたわけでは無いため、エンディングのひとつで一成と付き合ってる所を見ると「なんで?」としか思えないのだ。
恋愛感情を抱かせるには、ゲーム中の文章では明らかに説明不足である。
彼女がおしゃべりでない分、もっと文章にも、イベントにも力を入れて欲しかった。
他にも、朝学校へ行く前の短い時間(父がすでに出かけてしまっているような時間)に、景子さんに喪服を着させてHできたり、夜に三人で食事した後仏間でのプレイを選択しても、父は全く気がつかなかったり、一成はいつのまにかローターやオイル・ギャグ・首輪などを手に入れていたり(通販なら可能だが、そんな文章はない)等、プレイしていてどこか不自然な部分が消えることが無い。
とにかく“継母を犯そう”といった気持ちだけが先走った感のある作品である。
(総評)
「動作環境は75Mhzでいい」というのが最近のゲームにしてはなんて親切なのだろう、というのが第一印象。
ま、それはいいとして、本作の肝は「頼ること」と「頼られること」だ。
プレイしていると判るが、景子さんはいわゆる守ってあげたいタイプのようである。
文章にかろうじて見られる夫婦としての会話を見ると、一成の父は景子さんを守ってあげようとしていることが伺える。
しかし、景子さんはそれを望んでいない。
それはたった一箇所「どうして叱ってくれないのか」と景子さんが泣くシーンから判断できる。
つまり景子さんはおどおどした性格でありながら、人から頼られたいと願っているのだ。
だから一成の母が亡くなった時、自分を頼って欲しくて彼を抱きしめてあげたのだし、その後も相談にのってあげた。
おそらく、その時点では、好意を持たれていることを景子さんは知らなかったはず。
だから家族となった後に、初めてそれを本人から告げられ困惑した。
しかし「頼られている」という気持ちと、「自分でなければ一成を学校へ向かわせられない」という使命感が、彼女の心をくすぐり、一成の「もの」としての生活を受け入れてしまう。
いやですと否定しようとしても「できるよね?」という下から持ち上げられるような言葉に、断りきれない景子さん。
妻でありながら夫へのメイドのような言葉遣い、すぐに「ごめんなさい」という口癖、小学校の先生をやっていた頃はよくべそをかいていたという気の弱さ。
これらの反動が、一成という“景子さんでなければだめ”な存在を得ることで「頼られる」悦びに流されていく。
そう、主人公は景子さんが墜ちていくためのきっかけでしかない。
プレイヤーが、それに気がつくかつかないかでこのゲームの評価は変わる。
“CGを見るだけの、主人公の一人よがりの文章に埋め尽くされたゲーム”と思うか、“人のために、と身体をはった女性が快楽に溺れていく様を堪能するゲーム”と捉えるか…あなたはどちらだろうか?
ゲームとは別に気になったのが動作環境。
要求されるCPUパワーが300Mhzに届こうかという多くのゲームと本作を比べると、ブレイクしたタイトル以外は、ゲームとしての厚みがほとんど同じように感じる。
差があるのはエンディングの数や、歌ぐらいだ。
ということは、マシンのパワーにおんぶにだっこで、ゲーム性がおろそかになっていると考えられないだろうか?
もちろん全てを否定する気は無い。
アニメーションのようにパワーが無いと使えない技術もあるのだし、それによって生かされる演出もある。
しかし、根本的な面白さはパワーに左右されない所にあるものではないだろうか?
本作はそれに挑戦した作品ではないかと思える。
成功したのか、といえばそうだと言いきれないのが残念だが、その姿勢は大切なもの。
だから「どうしてもだめ」なところまでCPUのパワーを求めずにがんばってほしいのだけど…
情報収集してないので、その後どうなっているかは判らない。
時間的に見て、新作が出てていい頃ではある。
どんな作品が出来ているだろうか?
(Mr.BOO)