めるふぇんメイド地獄−不思議な絵本とゆかいな仲間たち−
むかーし昔、ある所に誰もが見向きもしないゲームがあったとさ。
それを人々は“クソゲー”と呼ぶのであった。
1.メーカー名:アルシーヴ
2.ジャンル:ETC
3.ストーリー完成度:C
4.H度:B
5.オススメ度:E(その気があるなら、A)
6.攻略難易度:E(というよりゼロ)
7.その他:巫女の次はメイドかい…
(ストーリー)
私たちは、ほのの、まこと、ぼたん。
みんな、この家でメイドをしています。
ご主人様のために、一生懸命働くの。
今も、書庫の整理をがんばってます。
でも、いつもがんばっていたら、ちょっと疲れちゃうかな?
だから、少しだけ息抜きをしても良いよね。
そんな訳で、面白い本を探してみよう…
あっ、これなんかよさそうよ。さっそく見てみましょう。
えっ、何これ?
きゃー、本に吸い込まれる〜〜〜。
それは、ある夏の日の午後…
原稿を書き上げたが、次にやる予定のゲームにいまいち手を出す気がしなかったので、いつもと違う場所のゲームショップを覗いたときの出来事でした。
「何か良さげな物はないかのー」と探していた私の目に、かなりショッキングなものが飛び込んできました。
それは、…
「めっ、『めるふぇん』って」
「しかも、『メイド地獄』って…“冥土地獄”の間違いじゃないのか?」
来ましたキました。
ちょっと古そうだったんですが、そのときの私を止められる存在は何もなかったのです。
周りを見渡せば、新作やら話題作やら名作がたんまり有ったはずのに…
「おれの最後の波紋だぜー、うけとってくれーッ!」
……ハっ、なんかトリップした。
と、そんな訳で手に入れたこのソフト。
実際、買う時はかなりやばい信号をキャッチしてました。
過去に体験したのと全く同じやつを。
それは…
「かっ、『開運戦隊』って?!」
「しかも、『巫女サンレンジャー』って?!」といった感じでした。
あの時も、確か精神的に疲れていたなー…。
そうか、これは疲れた私に神様が「元気になれ」って言っているんだ。もしくは「精神的に強くなれ」って事かも(と、無理に納得する)。
「結局、もっと疲れるだけだった…」
話の流れは、「本に吸い込まれたメイドさん達が、おとぎ話の世界に紛れ込み、そこでドンちゃん騒ぎを巻き起こしながら、元の世界に帰ろうとする」で、内容はまぁ、ある程度想像はしていたけど、やっぱりデジコミでした。
ストーリーはクリックするごとにツラツラ進み、選択肢はどれを選ぼうが特に問題もなく、エンディングへとまっしぐら。
ただし、このままでは『巫女サンレンジャー』と同じ感想になってしまいます。
が、さすがに少しは違いました。
本作品は、あのときに書いた「デジコミを目指したのなら、馬鹿なデジコミで行って欲しかった」という意見を、とても忠実に表現しています。
まず第一に、選択肢が意味を持っていないというより、無いです。
全体で二つしかありません。
だけど話の性質上、これぐらいなら選択肢過剰で話のテンポを悪くすることもありませんし、出てくる箇所も、ちょうど読み疲れたなというタイミングを見計らったかの様に出てくるので、バランスは良かったです。
次に、潔いパクリの数々でしょうか。
元となるおとぎ話は別として、その中で登場する創作キャラは、気合が入ってました。
一例をあげますと、白雪姫がベースとなるお話の回で、白雪姫がメイド達を捕らえようとして差し向ける追っ手3人。
りんごから頭と手と足が生えている、その名もリンゴ3兄弟…またの名を赤い三連星。上からギャイア・オルテギャ・マッシュ。
たしか「ジェットストリーム、アタ〜ク」なるものを使い、捕らえた後のかけ声は「良くできました!(N×VAのCM風に)」ときたもんだ。
ここまで来れば、何も恐れるものは無いでしょう。
全10話構成の中で序章と終章を除いて、ほとんどこんなノリと、ただただエロさを求めて描かれています。
ピーターパンを逆レイプするという考えは、何処からくるのでしょうか?
まさしく「発想の勝利」といった感じです。
さて問題をあげるのなら、やっぱりゲームじゃないということでしょう。
デジコミで固められている分だけ、息苦しさを感じる人が出てくると思います。
もし、狙っていたソフトをやっとこさ手に入れたのだけど、ふたを開けてみれば全然たいした内容じゃなかった…そんな事もたまに有りますが、本作品はそのようなソフトの中でもトップクラスの性能(?)を誇っています。
よって、このソフトをやっていいのは
1:“ある人物”のようにクソゲーホルダーの方
2:私のように運がなかった人
3:真面目に精神修行をお考えの方
にしておいて下さい。
「さて、このソフトはみっちんさんにでもプレゼントしようかな?」
(総評)
一言で表すと「勢いがあって馬鹿なデジコミ」、イメージ的には『不思議の国の美幸ちゃん』を、さらにエロくアレンジしたといったところでしょう。
『巫女サンレンジャー』のように「デジコミか? ゲームか?」のどっちつかずな物ではありませんし、基本が誰もが知っているであろうおとぎ話なので、素直に笑えるとは思います。
ただ、このソフトもプレイ時間が短すぎます。
正味1時間強です。
値段に見合うだけの内容か? と言われれば、決してそんな事はありませんでした。
この倍くらいは話を増やしても、別に質は下がらないような気がするんですが、おそらく製作者のネタ切れが原因ではないかと思います。
あとは絵か。
下手ではないですけど、結構ロリ系なんで、そういうのが駄目な人は手を出さないほうが良いですね。
変にストーリーの雰囲気とキャラデザインがピッタリなので、感性が合わないと、失った金額は洒落にならないです。
では、最後にもう一言…
「このゲームがハードディスク上に存在した時間と、ゲームの総プレイ時間は、限りなく同一でした」
(エルトリア)