めいでん☆ブリーダー
ブリーダーとは、出会いと別れを繰り返すもの

1.メーカー名:TEA TIME
2.ジャンル:育成シミュレーション
3.ストーリー完成度:E
4.H度:B(動いているときはA)
5.攻略難易度:C
6.オススメ度:C
7.その他:たまたま「カードキャプター○くら」似の顔と、たまたま同じ名前を持った女の子が前面に出されたゲームがあるぞ、と梨瀬氏から薦められてしまったが、まんまじゃん! ムービーではしっかりヤッているし…。
 CLAM○の寛大さ(Hゲーに目を向けていないだけ?)を実感した。


(ストーリー)
 長い旅の果てにやっとたどり着いたメイデンシティで始まる、コルトのブリーダーとしての生活。
 メイデンに教えた芸を披露し、少しずつランクも上がっていく。
 しかしメイデンの寿命は短く、彼の前を出会いと別れが通りすぎて行く。
 彼がトップブリーダーとなる時、メイデンに対する思いはどのようなものとなっているのだろうか?


 これはプリンセスメーカー等に代表される、一人のキャラクターを育てるタイプの育成型シミュレーションゲーム。
 プレイヤーは主人公のコルト(名前変更可)になって、メイデンと呼ばれる女の子の姿をしたペットを育てる。
 そして、育てたメイデンをイベントホールで披露することによって賞金を稼ぎ、獲得賞金ランキングトップをめざす。
 調教できるメイデンはアルル種(初期設定名サクラ、名前変更可)、ベーオ種(同フォルテ)、シフ種(同シルバ)、ディー種(同カグヤ)、の4種類で、個人ではなく種族と言う多数の中から一匹を選ぶイメージとなっている。
 キャラクター的に、大人っぽいのから子供っぽかったりCCさくらっぽかったりと見た目にも特徴的だし、パラメータの上がり方が個々で異なってくるので、どれを選んでも同じということは無い。
 しかも、女の子を攻略する多くのゲーム、例えば複数の女の子を要するアドベンチャーゲーム等とは異なり、女の子一人一人に設定が必要ない。
 我々は秋田犬、柴犬などの名称が種別を表すだけの名称であって、名前のついた犬は同種であっても別の犬だと知っている。
 それに倣い、このゲームは四人の女の子を単独のキャラクターとして用意せず、種類毎の容姿とした。
 そのため、プレイヤー自身が一匹一匹に名前をつけることで別個の存在と認識し、その結果攻略する対象をほぼ際限無しにしてしまった

 ブリーダーとなるプレイヤーは、メイデンに体力・知力・精力の基礎訓練か、踊り・歌・芝居の技能訓練の支持を与え、体調の管理をする以外何もすることが無く、暖かく見守っていればいい。
 しかし、シンプルでかつ判りやすいからといっても簡単にはクリアできるはずは無く、ゲーム当初はつたない資金と育成用のアイテムの少なさがプレイヤーの自由を程よく奪い、あっさりとトゥルーエンドをみられることは早々無い。
 そのため、プレイヤーは何匹ものメイデンを相手にしながら時間をかけ、徐々にアイテムを集めコツを覚えてトゥルーエンドにたどり着くことになる。
 つまりこのゲームの面白いところは、一人をクリアすればいいと言うわけではない、というところにあるのだ。

 四種人のメイデン達はプリンセスメーカーとは違い、それぞれトゥルーエンドが一つ、その他のエンドが四つの構成になっている。
 しかしメイデン達はあくまでペットであり、この世に一匹の存在ではない。
 攻略の対象を一人の女の子ではなく一種族としたことで一プレイの独立性は薄まったが、代わりに連続性は得られ、かつ前面に押し出されたオリジナリティ要素となった。
 メイデン達には一定の育成期間があり、それを過ぎると結果に関わらず次のメイデンを選ばなければならない。
 トゥルーエンド以外のエンディングもスタッフロールの後で次のメイデンを選ぶことになるため、例えば、実際の犬や猫のブリーダーが何匹もそれらを品評会に送り出すように、このゲームも同じくプレイヤーはトゥルーエンドをめざして同じことを繰り返し続ける。
 もちろん、メイデンに与える指示はいくら繰り返しても変わらないため、ゲームの継続は延々と続く作業でしかない。

 ところが、一人のメイデンのためにかけたアイテムやお金などはメイデンがどんな形でエンディングを迎え、いなくなったとしてもプレイヤーの手元に残るため、次に選ぶメイデンにその全てを用いることが可能となる。
 トゥルーエンドを迎えた後も、ストーリーこそ最初からになるが、プレイヤーは持ち物をはじめ全てを継続している。
 それは、実質的に「終りが存在しない」ということ。
 だから、ゲームをすればするほど覚えたコツや手に入れたアイテムがクリアを楽にしていき、プレイ継続に対する面倒くささを軽減させている。
 そして終わりが無いということは、逆にいつを「終り」としても構わないといえる。
 それを決めるのはプレイヤー自身であるため、プレイヤーはゲームに直接干渉しているといってよく、その点でそれまでの育成ゲームと一線を画しているといえる。

 CGは3D独特のスナップ写真を用いた感じの絵なので、この辺りは他のポリゴンゲームと比べても遜色無い出来。
 ただ、他がより写実的な方面に向かっているのに対し、このメイデン達は漫画的な感じを持たせている。
 そのためか、種族によって差をつけようとはしているが全体的にやや幼くみえてしまい、プレイヤーを選んでしまうと思われる。
 会話の画面こそ通常のアドベンチャーゲームのように数種類のキャラクタパターンで済ましているが、Hシーンにはアニメーションも使われているし、その動きもいい。
 ただ、マシンへの負担やゲームの流れの阻害を意識したのか、アニメは最初と最後にしか使われていないのが残念だ。

 Hへの導入は微妙。
 ゲームの始めには、選択したメイデンに自分が誰のメイデンであるかを覚えさせるいわゆるインプリンティングが行われる。
 ゲーム中で「契約」と呼ばれるそれは、メイデンの処女を奪うことによって成立するので、一匹のメイデンに必ず一回はHシーンを挟むことになる
 このゲームはトゥルーエンドになるために、Hコマンドを選ばなければならないということは無い。
 そのため、ゲーム内のHへのアピールをする意味もあり、メイデンとの付き合いは「最初が肝心」というところに引っ掛けてHを入れたのだ。
 更に、メイデンは単性生殖を行って次世代に移っていくという設定が、Hシーンとメイデンの処女をゲーム内での必須のものとし、それを破ることが主と認めることとして「Hがあっても無くても関係無い」という批判を受けるのを回避している。
 Hそのものは、ブリーダーがペットをしつけるスタイルでまとめられている上に、メイデンはどの種族でも主人公より年下だから、シチュエーションはソフトでも調教・開発の雰囲気が漂く結構エッチに見える。

 で、このゲームの問題点。
 まず、連続性を持ちながら個々の話が単独であること。
 ゲームの流れはメイデンの取得、訓練、芸の披露を経てトップブリーダーになるというパターンにまとめられている。
 そして、その中で起きるイベントも同じように種族毎にパターンでまとめられてしまっている。
 メイデン達は種族が同じでも、その一匹一匹は別個の「個」を持った生き物である。
 それが一人の女の子を攻略していくアドベンチャーなら、その中で発生するイベントは何回プレイしても同じにしかならなくて当たり前だが、曲がりなりにも千差万別の女の子を攻略するに等しいこのゲームでは、起こり得るイベントの全てが本来なら一つも同じものでいいはずがない。
 さすがにそれを徹底するのは不可能だが、プレイするたびに起こるイベントが全く同じでは結局種族別に4回トゥルーエンドを見て終りになってしまい、最初に挙げた連続性も千差万別のキャラクター達も、無意味なものとなる。
 一応、サブキャラクターのイベントがかなりの回数を繰り返さないと発生しないので数をこなす一因として役に立っているが、あくまでサブであってメインではない。
 だから、一匹のメイデン数の上限を決めてランダムに発生させたり、同じイベントでもパターンが異なるなど、画一的にならないような工夫が欲しかった。

 次に、主人公のコルトが全く進歩しないこと。
 ゲームを進めて行くと、確かに彼の持つアイテムも、メイデンを披露することで得られる自分のランクも上がる。
 しかしメイデンとの出逢いと別れを何度繰り返しても、彼のセリフはゲームの初プレイで表示されるものと全く変わらない。
 コルトの、まるで思考にリセットがかかったように決まったセリフとシチュエーションをリピートさせる姿は、繰り返すほどに楽になるゲームの趣旨を見事に裏切り、プレイすればするほど飽きてくる。
 二回目以降のプレイに「次のメイデンは」とか「前のメイデンより」のような前後への繋がりを一言付けるだけでもイメージは違ったはずだ。

 シナリオも弱い。
 育成型のゲームは成長させることが目的の柱として存在するため、結果を増やすことは簡単に出来ても、そこまでの過程に幅を持たせることは難しい。
 だからこそバックにあるストーリーが重要になるのだが、このゲームにはそれが無い。
 判っているのは、主人公コルトはメイデンのトップブリーダーをめざし、対象のメイデンは太古の昔に存在した「聖少女」の末裔で、単性生殖による種族を存続させる不思議な存在であるという、大まかなものだけ。
 確かにあまり細かくすると、逆に設定に縛られてしまい持ち味の連続性を損なうため、判断としては正しい。
 しかし会話の端々から見て取れる設定に対し、現在進行していることへのカラミがないため、結局全体的にとって付けた設定にしか見えないし。
 何より、トゥル−エンドでコルトと共に人として生きることを選んだメイデンを見守る「聖少女」に対する情報がほとんど与えられないため、例えば童話の「ピノキオ」のような感動を、ラストで人間になったメイデンに対し覚えられるかどうかは疑問だ。
 トゥルーエンド後のプレイにしても、一つの街で一匹のメイデンの話がまとまっているのに、同じ場所でブリーダーをしているわけだから、クリアするたびにコルトの家には人間となったメイデンが増えていき、何人も一つ屋根の下で暮らしている一夫多妻状態になっているはずだが、まるで何事もなかったかのようにゲームは進む。
 どうせなら重複させないために、トゥルーエンドクリアの場合コルトが別の街に行ってメイデンを育てるとしておけば、コルトの生い立ちにもゲームの連続性にも深みを与えられたかも知れない。

 更にホールでの芸は、コルトのメイデンが出てきた後に賞金のランキングが表示されるだけで、他のブリーダーと競っているように見えない
 唯一他のブリーダーとして出てくるエミィが「今度アタシと勝負するか?」という割にはそのイベントは用意されていない。
 メイデンは短命のはずなのに、プレイヤーが自らメイデンをオークションにかけることで発生するさせる売却エンドにした場合寿命が延びるらしく、その後の生活が手紙で報告されたりなど、長くプレイし続けることによって出てくる疑問が目立つ。

 メイデンに起こるイベントのほとんどが文章のみであることから、CGを見たりクリアすることに重点を置かず、あくまでゲーム性にこだわっていると思われるが、その「ゲームの連続性」が裏目となってしまっていて、実にもったいない状態になっている。
 ゲームスタイルは「続けられるゲーム」として申し分無く、プリンセスメーカーの「一人の女の子に結果が沢山」ではなく、「一つの結果を目指す沢山(とプレイヤーが認識できる)の女の子」という、似て非なる形式を用いたその姿勢は評価したい。


(総評)
 それまでの自分のマシンパワーの関係上、ポリゴンゲームをプレイするのは今回の「メイデンブリーダー」が初めて。
 よく「キャラが動かない」という話を梨瀬氏から聞いていた。
 確かに一枚絵のCGばかりだったが、Hムービーはよく動いていた。
 ゲーム用のマシンは366MhzのCPUしか積んでない上に、グラフィックボードも無い。
 それでも一定動作の繰り返しを滑らかに行うため、おそらくポリゴンのムービーをオリジナルのムービープログラムを組んで再生していると思われる。
 だから真のポリゴンゲーとは言えないが、それでも自分には十分なインパクトを与えてくれた。
 はっきり言って、下手なアニメーションより興奮できる。
 写実的なポリゴンのテクスチャがAVに似た映像のリアリティをかもし出しているため、ポリゴンじゃないCGを見るのとはまた違った興奮が味わえた。
 ただ、ムービーはキャラ的に本番幼児ポルノにも見えなくはないし、約一名が「カードキャプターさく○」なので、プレイヤーはかなり限定されそうな気がする。

 シナリオが弱かったのは、ゲームの性質上メイデン達に固有のシナリオを持たせられなかったことと、サブキャラクターのエミィが弱かったせい。
 彼女はイベントこそ用意されているが、やはりライバルとしての存在が希薄だったのが痛い。
 ブリーダーでありホールの司会者を勤める彼女は、賞金ランキングの上位に常に名を連ねているため、駆け出しのコルトをからかったり先輩風をふかしたりするが、ただそれだけ。
 彼女のイベントは、他の町のイベントホールをチェックしに行くためコルトを付き合わせるところから始まり、そこで生い立ちも少し語られるが、Hシーンを見せるためのものでしかないから、ゲームをプレイする目的とはかけ離れている。
 先にも述べたが、コルトおよびプレイヤーにブリーダーとしてのやる気を喚起させるためには他人と競うことが必要だったが、彼女はその役を担うことができなかった。

 そしてメイデン全体にかかる、聖少女の影。
 メイデン達には遺伝的に彼女の記憶が受け継がれているらしく、メイデンの寿命が尽きる頃に迎えが来ると言っている。
 正確には聖少女と同じ存在になる=消えてしまうのだが、何で彼女の元へ戻らなければならないのかが説明されない
 もし目的を果たせなかったからというのなら、売却エンドになった時点で寿命より早くメイデン達は消えることになるはずだ。
 聖少女の意志をメイデンが振り切るとトゥルーエンドになるが、結局彼女はただメイデンの意志確認のための存在でしかない。
 聖少女の説明は、ゲーム中にコルトが「人間と何かしらの約束を交わした人とは違うもの」として感慨にふける僅かなシーンしか用意されていない。
 神様とは違いイメージも固定できないような良く解らない存在に、メイデンに向かって「メイデンであることをやめ、人として生きたいのか?」と言われても正直ピンとこない。
 そのため、ディー種のメイデンまで浮いてしまった。
 ディー種・カグヤは、ゲームを続けて条件が整うと野生の希少種として現れる。
 野生が強いため、本能的に聖少女の意識を強く持ち、育成方法こそ何も変わらないが、他の三種とはまるで雰囲気が異なる。
 言動をはじめ、棲家としていた雪山を懐かしむ時の隔世的な雰囲気、登場時には人間を毛嫌いしパートナーとなることに抵抗を感じるが、「約束」という言葉に強い反応を示し、コルトに身を委ねるというストーリー性。
 ペットと言うよりは貞淑な妻で、漫画「藍より青し」のヒロイン・葵の様なイメージがほぼぴったりくる感じ。
 その背景には聖少女の思いが色濃く出ているはずだが、聖少女自身を知る手がかりが何も無いため、結果として他のメイデンのパターンに対するスパイスとしての役割しか果たせなくなってしまっている。
 もったいない話だ。

 実在のブリーダーは品評会でトップを取るために犬・猫等の動物を何匹でも育て、送り出す。
 介助犬の里親達は、いつか別れる事を知りながら愛情を注ぎ、手放すことを繰り返す。

 トゥルーエンドは別として、寿命が尽きるノーマルエンドや、他人に引き取ってもらうための売却エンドを持つこのゲームは、上記の両者を掛け合わせたスタイルを持ち、プレイヤーをブリーダーにさせることに成功している点において、そのアイディアが育てゲーとして秀逸だと思う。
 しかし、プレイヤーの意思に依る連続性を謳っておきながら個々のメイデン毎のイベントが弱いため、どこまでプレイし続けることが出来るだろうか? という不安があり、全体的な出来としてはやや片手落ちといえるだろう。

 「メイデンブリーダー」はその連続性という性質上「2」を作ることが出来ないが、出来れば同じシステムのゲームを出して欲しいものだ。
 次の作品がアドベンチャーなのが少し残念だが、今度はこのゲームに足りなかったシナリオに力を入れようと考えたのか?
 キャラクターも、今回の○LAMPの流用ではなくオリジナルの様だし、今回のゲームを「つかみ」とするなら、次の「雪蛍」が段階を追ってレベルアップを図っているメーカーなのかどうかを判断する材料となる。
 色々な意味で次作「雪蛍」にも注目したい。

 そう言えば、聖少女の末裔であるメイデンは必ず女の子なのに、ブリーダーにはエミィのような女の子もいる。
 メイデンとの契約は「処女を奪うこと」から始まる。
 ということは、女のブリーダーの契約時にはレズプレイが発生しているはず
 いや、もしかしたら女のブリーダーにはそのための相棒が存在していて、契約時には3Pが行われているのかもしれない。
 主人公に女性を選ぶことは出来なくても、その想像として女の子とメイデンのHシーンを想像したCGを入れて欲しかった、と考えてしまうのは私だけだろうか?

 いやいや、実はオスのメイデンも数種存在していて、そのうちの一種は李○狼似のメイデンがいて…。
 想像の種はつきまじ。

(Mr.BOO)

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