皇帝陛下になろう
 
 皇帝がつき進む理由、それは愛。
 
1.メーカー名:アアル
2.ジャンル:パズル
3.ストーリー完成度:D
4.H度:C
5.オススメ度:C
6.攻略難易度:C
7.その他:意外にも、頭を使うゲームだったりする。
 
(ストーリー)
 若きオレイクス王国の皇帝オレイクス・レイノス(名前変更可)は、それまで教えを受けてきた師匠・イグナシオを看取るため、無限の谷のふもとに来ていた。
 そこで彼は、封印されている少女・ソフィアと出会う。
 彼女はとある理由からレイノスの師に危険視され、身体を分けられ、さらにメダルに封印され、いくつかの国に保管されてしまったという。
 皇帝は、各国に手当たり次第に使者を送り、メダルを返せと強要する。
 断った場合はもちろん、メダルの事を知らないと言ったとしてもかまわずに、皇帝は次々と各国を侵略し始める。
 総ては、ソフィアへの愛のため。
 戦いに勝利し続け、次第に戻っていくソフィアの身体。
 しかしそれに連動するかのように、戦いの相手は魔物へと移り変わっていく。
 …ソフィアの正体とはもしや? 
 皇帝の愛の行方は、そして王国はどうなってしまうのか…?
 
 一見してシミュレーションに見えるが、そうではない。
 クリアの方法が比較的自由なパズルというのが正しい。
 自分のキャラの4人が、将軍・隊長・兵士の敵ユニットのどれに強いのか、また、ユニットごとに決められている歩数という要素等、様々な攻撃特性を組み合わせ、敵国の王の元まで辿り着き、倒す事が目的となる。
 戦闘もヒットポイント制ではなく、勝率の大小で決着のつく一発勝負。
 キャラのレベルアップやアイテムの入手で、先に行くほど戦闘は楽になっていくし、とりあえずまっすぐつき進むのが基本なので、解り易くとっつきやすい。
 しかし、楽に終わってしまうかというと、そうはいかない。
 数の決まっている敵を効率よく倒す事で、キャラを育てる。
 画面内のアイテムを全て手に入れる。
 お姫様がいればゲットする。
 これらを、限られた条件の中で全て行わなければならず、意外と手強い一面を持ち合わせている。
 
 ストーリーは解り易く、一目惚れした女を開放するために国々を侵略するというだけの話だが、人の上に立つことの本音と建前が、ちゃんと表現されている。
 皇帝は隣国に対し、メダルを返すことを断られれば、それを理由に戦争を仕掛け、無視すれば「余は舐められているようだ、ここは一つ余の威厳を知らしめねば」と戦争を仕掛け、知らないと言えば「本当かどうかは攻め落とせば解る」と戦争を仕掛け、あまつさえ「余の恋路は、誰であろうと邪魔はさせん」と、魔物すら退ける。
 部下には「余の言うことに、何か不服でもあるのか?」と有無を言わさず、矢継ぎ速に連戦を強いる。
 これだけ横暴でありながら、ソフィアの前や、ゲットしてきたお姫様達の前では、「きっとみんなは、余のことを血も涙もない皇帝だと思うだろうな」と、さりげなく本音をもらす。
 甘えているわけではないが、気の緩む所が、女性とコミュニケーションを取る場にしかないのである。
 皇帝は彼女達に、自分のことを「陛下」と呼ばせず、「レイノス」と呼び捨てにさせることからも、それが解る。
 家臣の前で崩せない姿勢と、その戒めを解かれるひととき、この一国の主たる立場を味わうのが、このゲームの本当の目的なのだ。
 Hシーンについては、さすが皇帝陛下!
 戦争でゲットしてきた巫女・エルフ・おねーさま・ロリロリ等の7人の姫とソフィアを、SM・尺八・獣姦等といった様々なプレイで、プレイヤーを楽しませてくれる。
 しかしこれらを楽しむためには、様々な問題点をクリアしなければならない。
 まず、プレイヤーが戦闘をする時、使うのは皇帝ではなく4人の家臣であるということ。
 家臣が戦闘を行い、レベルアップし、アイテムやお姫様をゲットする。
 つまり、我々が画面で見る大半は、皇帝ではなく家臣である。
 それなのに、それぞれのエピソードが用意されていないので、キャラに対する思い入れは希薄なものでしかない。
 戦闘時はセリフもないから、まさに単なる駒である。
 機械作業になっては、面白さは半減だ。
 更に、皇帝の惚れた女一人のために続く戦争に、いやでも自分達が出て行かねばならないという不満が漏れている。
 それなのに「皇帝の言葉は絶対だ」「皇帝を信じてついて行くだけだ」と自分達をごまかしてしまうし、その上皇帝が「余の考えに異論があるのか?」とか「余が出れば簡単だが、むやみにでるものではない」等の言葉で黙らせるもんだから、まるでラオウ親衛隊の如く、恐怖で従わされているかのようである。
 そして言葉のとおり、皇帝は最終面で、ラスボスにユニット全員が倒されてしまった後で、一人なにくわぬ顔でプレイヤーが操作できるキャラとして登場し、あっさりとラスボスを一撃で葬り去って、ゲームをぶち壊してくれる。
 確かに強さは証明されているが、家臣を使ってそれまでの過程を努力してきたプレイヤーは、どう感じるだろうか?
 触りの良いゲームに、必要のないオチをつけてしまったのは残念だ。
 
(総評)
 「皇帝陛下になろう」というから、なってどうなるのかと思ったら、全然どうもならない。
 これでは「皇帝陛下を見よう」だ。
 ゲーム画面で、キャラを動かすこと=皇帝の指示、はあまりに安直すぎたようだ。
 皇帝が今この世にいるわけではないから、誰かが「これが皇帝だ」と言ったとしても、そのイメージは想像の域を出ない。
 どうせなら、もっとイベントを盛り込んで、こんな皇帝もアリという独自性を出してもよかったような気がする。
 最初は、皇帝でなくてもよかったかも。
 さくさくと遊べるからお手軽でいいゲームだと思うんだけど、オチがオチだけに、CG集めたらお仕舞い…になってしまいそう。
 エディット機能でもあればもっと楽しめそうなので、次回、同タイプのゲームを出すのならば、是非一考してほしい。
 
 補足としては、違う音楽でプレイすることをお奨めする。
 このゲームも、CDをBGMにしか使わないので、別のものと交換することができてしまう。
 音楽を変えれば気分も変わる。
 そうすれば、暇つぶしゲームとして十分に楽しめるだろう。         
                               
(Mr.Boo)


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