かえるにょ国にょアリス 
             〜『20世紀アリス』より〜
 
 アリスの館シリーズの流れをくむ、20世紀最後のバラエティゲーム集に収録されていた一本。
 実際、今回の「20世紀アリス」の目玉でもあり、かつての人気作品「かえるにょぱにょ〜ん」の応用であるこの作品。
 かつて、新マシンを「ぱにょん」のために購入したという過去がある俺っち。
 これは、やらない訳にはいくまい!
 
1.メーカー名:アリスソフト
2.ジャンル:SRPG(スクロールプレイングゲーム)
3.ストーリー完成度:E
4.H度:なし
5.オススメ度:ゲームとして見るならD、キャラゲーとして見るならA
6.攻略難易度:B
7.その他:過去のアリスソフトの作品に、どの程度の思い入れがあるかが勝負だろうか。もちろん、俺っちのデータではシグルーンが一番育ってる(笑)。
 
 
(ストーリー)
 ある日、アリスちゃんの飼っているカラスの諭吉が行方不明に。
 必至に探すアリスちゃんの元に「諭吉を返して欲しければ、この島にある39のステージをクリアしろ」という脅迫文が!
 しかし、アリスちゃんは戦う事が出来ない!
 困ったアリスちゃんは召還の呪文を使い、歴代アリスソフトのキャラクター達の力を借りて、凶悪なモンスターの潜む39のステージに挑むのだった。
 
 
 かつての人気作「かえるにょぱにょ〜ん」のシステムを使いつつ、歴代のアリスソフトのキャラクター達が一同に会す。ある意味、夢の競演とも言える豪華な作品だし、間違いなく、これが収録されている「20世紀アリス」の目玉とも言える。
 しかし、正直な俺っちの感想は「あれ、こんなモン?」という程度だった。
 もちろん、楽しくない訳ではない。
かえるにょぱにょ〜ん」で完成されたアリスソフト独自のSLGシステムは健在だし、操作性だっていい。
 しかし、ちょっとやると、いかにも練り込みが足りない、短時間での急作りな点が見え隠れしてしまう。
 そして、その大部分は「かえるにょぱにょ〜ん」のシステムをあまり後先考えずに採用してしまったその上に、この作品独自の変なシステムを上乗せしてしまった事に起因している。
 まず、何といっても敵を倒した事によって手に入る経験値が、必ずモンスターレベルの数値分しかもらえない、という点だ。
 つまり、どんな強敵でも、そのモンスターレベルが1ならば、もらえる経験値は1なのである。逆に、どんな弱いモンスターでもレベルが高ければ、それに見合った経験値がもらえる訳だ。
 しかし、この作品の敵の強弱、正直そんなにバランスがいいとは言えない
 例えば、女の子型モンスター、きゃんきゃんバルキリーでは天と地ほどの差がある。
 そして、この双方がレベル20だったとして、倒す苦労というのは当然段違いなのだが(もちろん、バルキリーの方が強い)、結果的にもらえる経験値は双方20なのである。
 これでは、強い敵と戦う意味などまるでない
 マップごとに敵の配置は固定なのだから、強い敵が配置されているステージというのは、見返りも何もない、単なる意地悪セッティングにしかなってないのである。
 次に、回復呪文が一切使えない点。
 と言うよりは、今作品には「回復呪文」という概念そのものが存在しない
かえるにょぱにょ〜ん」のあのムチャな敵のダメージというのは、あくまでもポロンに回復呪文がある事が前提になっていたと思うのだが、今回は敵の強さがそのままなのにも関わらず、それが存在しないのだ。
 一応、隠しキャラのポロン(しかも、人間バージョン!)がいれば、全員の体力が毎ラウンドごとに回復するし、ラウンド毎にHPが回復するアイテムもあるにはあるが、その回復量たるや、ゲーム進行にほとんど影響を与えない程、微々たるものだ。
 確かに、「かえるにょぱにょ〜ん」と違って、進行ラウンドを30もやる必要はないし、30以上のロングステージもあるにはあるが、そういう所はちゃんと回復石が設置されているので、まあ親切と言えば親切だが。
 だが、実際ゲームをやっていると、体力切れでアウトになってしまう事も少なくなかった。
 一度クリアしたステージは何度でも挑戦出来るし、全滅・撤退しても経験値を半分は稼げるので、時間さえかければシビアではなくなったのがせめてもの救いか。
 そして、最後に言いたいのがとにかく敵のアルゴリズムが単純なんだけど、陰険。
 弱いキャラへの集中攻撃は、はっきり言って「かえるにょぱにょ〜ん」より更に露骨になって帰ってきたという感じ。
 確かに、この作品、死んだ時のペナルティというのはないみたいなんだけど(実際、キャラが死ぬことが前提になっているステージがあるしね)、問答無用で殺されるシーンあまりにも多すぎる
 長射程の敵は、必ず装甲・HPともに低い魔法系キャラを狙ってくるし、敵の攻撃範囲内に複数のキャラがいる場合、かなりの確率でHPの低いキャラを集中で狙ってくる。
 これで、HP回復の手段が皆無に等しい事を併せて考えると、本当にツラい。
 
 さんざん、文句をたれているが、実際ゲーム内容自体は可哀想な言い方だが、とうてい「かえるにょぱにょ〜ん」には及んでおらず、かなり厳しい評価なのが現状だ。
 ただし、このゲームをキャラゲーとして考えるのならば、評価はかなり変わる。
 聞いた話ではキャラクターの総数は28人
 しかも、アリスソフトのファンなら、「あ、コイツって…」と思わずなつかしくなるキャラから最近の作品まで、好きな作品のキャラを強くしてみたりと、なかなかに楽しい。
 ここらへんは、もうファンサービスとしては申し分なく、アリスソフトのファンならば存分に楽しめる点だろう。
 また、アリスソフトのホームページで追加キャラクターのダウンロードも出来るそうで、成る程、こういうタイプのゲームならば、なかなか上手な展開だとも言える。
 俺っちは、今度アズライトをダウンロードしてくる予定。
 ただ、キャラクターゲームとしてなら、かつてのリーフ「初音のないしょ」に収録されていた「LEAFFIGHT'97」には遠く及ばない。
 何せ、アレは歴代のヒロイン全員登場したあげく、誰とエンディングを迎えるかの機能まであるという徹底ぶりだった。
 ただ、アリスソフトとリーフでは、歴史が全然違う
 もし、アリスヒロイン総登場なんて言ったら、それこそ100人どころの騒ぎじゃなくなるだろうから、これに関してはしょうがないという気もする。ある意味、ダウンロードでのキャラの追加は究極のやり方とも言えるだろう。
 ただ、ちょっと「かえるにょぱにょ〜ん」と「ランスシリーズ」のキャラが多すぎるのが気になったぐらいか。
 でも、タイガージョーいたから、全て許すよ、俺っちは(笑)。
 
 
(総評)
 とにかく、評価まっぷたつ
 ゲーム単体として見るなら、紛れもなくハズレなんだけど、キャラゲーとして見るなら実にいい作品。
 何となく、昔のファミコンの「コナミワイワイワールド」を思い出してしまった。もっとも、コチラはゲーム内容も素晴らしかったが。
 ただ、これって結構やったモン勝ちの企画だったとは思うね。
 しかし、よくよく考えてみると、リーフは3年前も前に、こういうのをやっていた訳だし、エルフもオールスター麻雀とかいうのを出していたから、結構ありがちな企画なのかな?
 リーフのはポケモンのパクリだったし、エルフのは麻雀。そう考えれば、「かえるにょぱにょ〜ん」という素地はあったものの、ちゃんとしたオリジナルキャラゲーを出してきたアリスソフトって、やっぱりスゴいのかな、と改めて思っちゃったヨ。
 

(梨瀬成)


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