いもうとブルマ 〜放課後のくいこみレッスン〜
 可愛い義妹たちと、放課後のHレッスン

1.メーカー名:萌。
2.ジャンル:放課後ブルマレッスンADV
3.ストーリー完成度:E
4.H度:C (ぶるふぇちにはAAA?)
5.オススメ度:D
6.攻略難易度:D
7.その他:ビジュアルアーツで逝く、地雷探しの旅♪


(ストーリー)
 近々体育祭が開催される事もあり、遊び半分に放課後のグラウンドで練習している生徒達。
 本番に強く、昨年も高飛びで好成績を残している主人公・葉山 勇(変更可)は、折角のイベントだからと楽しむつもりで悠々と構えている。
 そんな兄とは対照的に、義妹…千夏・彩・奈々留の3人は参加種目でベストを尽くそうと、体操服に身を包みグラウンドに集まっていた。
 制服のままぶらぶらしている勇を見つけ、練習に付き合わせようと義妹達が誘うのだが…。


 放課後の体育倉庫に突然呼び出されて(みたら) お兄ちゃんったらも・う・エッチ!

 〜いや、のっけから失礼。
 つまりそういうゲームだったりする。
 パッケージに記されたビジュアルアーツの名に迷わず購入したものの、見事な地雷風味の作品だった。

 その最たる物が主題歌『お兄ちゃんと放課後のひ・み・つ☆』だったりする。
 確かにこの歌詞には、放送禁止用語なるものは含まれていない。
 だがそれも単にそれだけの話で、モロに表現している所さえある。
 これを友人などに対し不意に聴かせたなら、その後の関係は保証できないと断言する。(実践済み…含笑)
 それぐらい破壊力抜群なのだ。
 ZEROから発売された「はじめての…」シリーズで起爆したあのオープニングに比較できるほど〜と云えば、伝わる方も多いと思う。
 私的見解としてコレ等を上回る物は、ブルマー2000の主題歌ぐらいだと言い切るのは無理があるだろうか?

 「萌。」のオフィシャルサイトに掲載されている歌詞から、ヤバげな部分を避けてアヤシげな部分をちょっとだけ引用させて頂くと…
 「こんなの、ボク恥かしくて出来ないよ」とか、
 「ホントは気持ちいいのに素直にそれが言えない(なれない)この気持ち。
 ダメね分かってくれない放課後の体育倉庫は私達とお兄ちゃん(だけの)秘密の場所ね
」とか。
 これを三姉妹が熱っぽく歌ってたりするから、なおの事始末が悪い。
 よくゲー倫を通ったなとヘンな意味で感心させられるとんでもない主題歌だが、これが本作品最大の買い所というのも情けない話だ。


 いきなりケチをつけてしまったが、とりあえずウリ所に目を向けてみよう。

 その道を極めた方々に三種の神器のひとつに数えられ、その為か教育の現場から年々その数を減らし、希少価値さえ付きつつあると噂されるブルマ。
 教育委員会やPTA連合とかを思いっきり敵に回しそうなこのアイテムで、直球勝負にでたマニア向けの作品である。
 しかもブルマ姿のみならず、制服と組み合わせたいわゆるブルセラ姿やレオタードに競泳水着、チアリーダーの衣装までついてくる。

 はい、そこっ!
 スクール水着ぢゃないからって、舌打ちしないの。

 キャラクター的に細身の子である事からも解る様に、ぶるふぇちな方々の好みで大多数を占めるだろう「むちむちぶるま」では無い。
 これについては人それぞれともいえ一概にそうでなければならないとは思わないが、需要のある圧倒的支持層を避けたのには何かわけがあるのだろうか?
 単に原画を描いた葛葉 恭司氏の好みが反映した物かとも思ったが、オフィシャルサイトの作品紹介では「可憐」とか「恥じらい」とかを強調している。
 もし葛葉氏に対しこれらを要望した結果だったとしても、むちむちキャラを避ける理由にはならない。
 ブランド「萌。」としての方向性の表れであるならそれはそれで構わないのだが、果たして真実はどうなのだろうか…。


 ゲームの進行はノベル形式のコマンド選択型ADVのパートと、放課後のHレッスンのパートとに分かれる。
 このADVパートには3人の義妹が所属するクラブでのイベントが組み込まれているのだが、実はこちらがルートシナリオであり、ブルマでHレッスンする事だけに固執するとイベントが発生せずルートクリアできない。
 しかしブルマでお手軽にHする事がゲームのウリなのに、それがルートシナリオに全く関係ないただの消化イベントなのは本末転倒な気がする。
 このルートシナリオでは、クラブ活動を通し義妹達が抱える様々な問題を、共に悩み考えてあげるのがお兄ちゃんの役割なのだが、それに徹しきれてないのがこの作品の悲しいトコロだ。

 さて勇をお兄ちゃんと呼ぶこの三姉妹は、実はお隣に住む幼馴染。
 元々仲が良い隣人関係だったが、父子家庭と母子家庭という境遇だった両家の親同士が再婚する事になり、ひと月後には本当の義兄妹になる予定だ。
 それにも関わらず、勇が成り行きで3人共と関係を持ってしまった事が大問題だ。
 これが彼を無節操と呼ぶ一番の所以なのだが、あとで収拾がつかなくなる事は解りきっているのに、今更になって3人共に手を出すとは、この男いったい何を考えているのやら。


  <長女:神原 千夏>
 勇と同じ年であり、ケンカ友達のような間柄…といっても、千夏が一方的に絡んでいる事の方が多い様だが。
 誕生日の関係で自ら妹分として「兄ぃ」と呼び慣わしているが、負けず嫌いでおまけに素直になれない性分のため、自分の秘めた想いをうまく伝えられずにいる。

 体育祭の参加種目である高飛びは、一昨年・去年と勇に負け越してきた。
 練習試合という名目で雪辱戦を挑んだ千夏だったが、面倒くさがりやの勇に渋られ「負けたら何でも言うことをきく」という条件をだしてしまい、告白するより先に体を求められる結果となり、伝えそびれた想いだったが…。

 千夏ルートは、水泳部のイベントを絡める事で勇との絆を再確認する話の流れになっている。
 そうはいっても、勇が水泳部に足を運んでもナニする以外用事は無いのだが、過去に起因する千夏の不安を理解し思いを共有できる者として、彼女を支え励ます姿は結構サマになっている。

 そもそも昨年先輩を差し置いて出場した全国大会で、本番にめっぽう弱い千夏は寄せられた期待とはほど遠い結果しか残せず、周囲から散々責められたらしい。
 そんな事があり、今は競泳から離れ準部員として泳ぐことのみに参加している。
 その千夏に立ち直るきっかけを与え、再び競泳に挑むまで導く役を担っているのだ。

 このシナリオの運び方はとても自然で、甘え下手な千夏が勇をぎこちなく頼る姿がなんとも愛らしいものだ。
 これで下ふたりの義妹と関係を持たず、日々繰り返される消化イベントのHレッスンから完全に隔絶されているシナリオなら最高だったのに…。

 他ルートシナリオ同様に、こちらでもクラブの部室に押しかけて情事に及んでいる。
 他の部員が帰った頃を見計らって足を運ぶあたりは周到というか、それが目的としか思えない行動だが、休憩時間に連れ出したりするよりはマシな方か。
 これに関して良い評価を出す気など毛頭無いのだが、綾と奈々留の場合があまりにも問題行動だらけなだけに、これすらマトモに見えてしまう自分が悲しい…。


 <二女:神原 綾>
 一応メインヒロイン。
 「一応」などと付けたのは、オフィシャル情報に基づいてのものだからだが、そう云われてもいまひとつ説得力が足りないシナリオだ。

 勇のひとつ年下だが、正確な意味での幼馴染みは綾だけだ。
 面倒見のいい勇は、先天的な心臓疾患のために病院通いを繰り返していた綾を気遣い、幼い頃からずっと世話してきた。
 一念発起して始めた新体操のおかげで体力もつき、近頃は倒れることも少なくなったが、その事で世話する必要がなくなった勇の心が、自分から離れてしまうのではないか心配になっていた。

 ずばり、勇との肉体関係を望んだのは綾の方だ。
 持続しなければ短時間の運動も可能になった現状とはいえ、よくそんなコンディションでHしてるなーと関心してしまう。
 性行為はマラソンにも匹敵する運動量だと聞いた事があるが、これに充分耐えられるなら日常生活において少々の無理も大丈夫ぢゃないだろうか。
 それとも単に勇が淡泊なだけかも知れないが。(笑)

 助けられるだけの妹的立場から踏み出す為に体を許したとはいえ、このルートシナリオを一番最初に解いたうえでの他シナリオなら、「一応ヒロイン」みたいな呼び方はしなかっただろう。
 なぜなら他のルートシナリオを追っている場合は、最初こそ少しばかり綾を気遣う素振りを見せるものの、後はとても長患いの幼馴染みを心配している様には感じられないからだ。

 例えばの話、綾を放っておいて他の姉妹と関係を持った後ろめたさから部活の様子を窺い、自分が傍に居なくても大丈夫だと確信するまでの心理描写を織り込んでいたなら、綾のルートで中途半端な印象を持たずに済んだのだろうが。

 そんな理由もあり、関係を持っても勇の気持ちが自分に向いていると信じ切れない綾が、発作をおこしたふりをして勇の心を試した話は、物悲しくさえ感じてしまった。


  <三女:神原 奈々留>
 優しいお兄ちゃんがまっとうな道を外れ「Hなお兄ちゃん」に堕ちるきっかけを作った罪な娘。
 もちろん、イケナイのはお兄ちゃんのほうだけど。

 あまり人と競う事を好まない奈々留が選んだ競技は障害物競争。
 しかし、その性格同様のんびりした運動神経のせいか、苦手な前転〜でんぐり返しを他人に知られる事なくマスターしようと、お兄ちゃんにコーチを頼んだのだが…。

 まぁ、ひと目を憚る理由からあまり利用されてない旧い体育倉庫を選んだのは解るが、お兄ちゃんといえど男の子なのだ。
 身のキケンをちっとも意識してなかったのは最大の落ち度といえる。
 奈々留も姉ふたりと同じく勇に想いをよせてはいたが、この子のいう「好き」という言葉の意味は恋愛のソレにはまだ遠い物だったわけで、妹として義兄を慕う気持ちの方が強かったみたいだ。
 都合よく解釈した勇の度を過ぎた悪ふざけで、恋愛における幾つかのステップを飛び抜かした過激なスキンシップを受け、憧れの人から恋人へと奈々留の意識も変わっていったわけだ。
 これは良くも悪くも甘えん坊の奈々留が、精神的に成長していく大きなきっかけとなった。

 だが勇に相応しくなりたいと自立心が芽生えたのは良かったが、すぐ他人を頼ろうとする悪い癖を気にするあまり、持ち前の明るさにまで陰を落とす事になってしまう。
 さらには先輩に目を付けられチアリーディング部で浮いた存在になっている現状に、ともすれば挫けそうになる心を独りで抱え込む奈々留を、傍にいて守ってあげるのが勇の役目だがどうも今イチなのだ。
 というのも、守る対象はあくまで「奈々留の心」でしかなく、彼女の立場的な事は全く念頭にないからだ。
 現に休憩時間にこっそり連れだし、部室のロッカールームでコトに及んでたりする。
 誰かに目撃されでもしたら、それこそ退部どころの騒ぎでは済まない事は想像に難くない。
 この後に続く奈々留の心をほぐす最大の見せ場を台無しにしている行為に、作品全体の評価をも下げざるをえないと感じてしまうのだ。

 まぁ、不出来な部分はともかくとしても、奈々留は姉ふたりを差し置いてお兄たんを独り占めしたわけだから、多少は精神的に強くならないとね。


(総評)
 何といってもこのゲームのウリは「Hのレッスン」であり、ルートシナリオそのものは二の次扱いである事は否めない。
 とはいえ、ルートシナリオのみに関して評価するなら、それほど悪くはないと思う。
 ただ、練り込み不足である為、どうしてもおまけ的に作られた感が拭えないのだ。

 しかし、ルートシナリオを犠牲にしてまでウリにしているブルマレッスンも、その実「ブルマ物」としては印象が薄い。
 それを出したいがために体育祭をダシにしたのに、消化イベントと化したHレッスンの色添えにしかなってない。
 いや、宣伝文句のくいこみレッスンが主であったとしても、それは別に義妹とHしなくても見せ様があるだろうに…。
 手厳しい言い方をするが、手段を正当化するために売り文句を付けた様にしか感じられないのだ。
 そうでないなら、掲げた口上が何一つ達せられないままに終わってしまった作品なのだろう。


 さてルートシナリオの問題点だが、これは週2回あるクラブ活動でのイベントのみに依存しているための弊害だと思えたが、クラブ以外の日にもイベントを組み込む余裕は充分にあるのだから、もう少し配慮して仕上げていたなら単なる「ヤるゲー」で終わることもなかっただろう。

 それになぜか3姉妹よりどりハーレムエンドがあるのだが、これもおかしな話だ。
 勇との関係は世間的な体裁もあるし親の目もあるのだから、当然他人はもとより姉妹にも絶対秘密の筈なのに、エンディングで突然ハーレム状態になってるのは不自然極まりない。
 偶然に目撃される、感づかれるetc...何かあって然りなのだ。
 その上での生々しいやり取りの末、こういう結論に達したというならまだ解る。
 このゲームは「女の子を奴隷にする」事が目的では無いのだし、勇にとって都合のいい性の虜となったとしてもいきなりこんな展開には為りえないだろうと思う。

 こんな作りの荒さが作品全体の質を下げる結果に繋がっているのだし、こういった部分は今後の作品づくりにおける課題として是非頑張って欲しい。

 Hゲームとしては程々に遊べる事とCGの質に助けられた感じはするが、しかし6800円という価格でこの内容はかなりキツイと思う。
 販売促進の工夫(餌)がブルマである事は云うまでもないが、同じノリで続編を出すのは正直苦しいのではないだろうか。
 ブランド「萌。」の処女作である事を考慮し、気軽にHを楽しめる作りに徹したのだろうと好意的に解釈しても、せっかくシナリオを組み込んでいる物だから、もっと素材を活かして欲しかったと感じる作品だった。


(あおきゆいな)


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