ひまわりの咲くまち
 あなたも、ひまわりの咲くまちでいっしょに暮らしてみませんか?

1.メーカー名:フェアリーテール
2.ジャンル:AVG
3.ストーリー完成度:D
4.H度:C´
5.オススメ度:D´

6.攻略難易度:E お前はもう、死んでいる!
7.その他: 妖精物語、


(ストーリー)
 主人公・恋塚英一(変更不可)は、通っている大学の校舎が移転する関係でアパートから遠くなってしまうため、祖父の家・恋之湯に下宿させてもらう事になった。
 大学が夏休みになり、引っ越しの為に祖父の重正を尋ねて恋の湯まで来た。
 英一は単に下宿するつもりでいたのだが、恋之湯に着いた早々、そこで重正から衝撃的な事実を聞かされる。
 「家族に内緒で再婚していた」「新婚旅行に行っている1年半の間、英一に恋之湯の経営をまかせる」など…
 幼い頃から祖父にからかわれてきた英一だが、今回も見事にかつがれてしまい、恋之湯のオーナー代理にされてしまう。
 しかも気になる「お前以外の下宿人は、美人の女の子ばかりじゃ!」という言葉と共に。
 そして、他の下宿人に会ってみるのだが…
 発明好きの藤村由利、ニンジャになる為修行をしているエレナ=リリィベル、謎のお嬢様葵夏流、何かと突っかかってくる三梨涼子…
 重正の言葉通り、下宿人は美人ばかりなのだが、みんな一癖ある人間ばかり。
 幼なじみで下宿の管理人を勤める雛咲祭里だけは常識的な判断をしてくれるが、もう一人の幼なじみである花園さくらまで関わってきて、事態は一層複雑になる。
 はてさて、英一は平穏無事に夏休みを過ごし、幼き頃に約束を交わした少女と再開する事ができるか?
 
 
 
 「フェアリーテールがおくる2002年ビックタイトル!!」…ゲームパッケージの裏にこのように書いてあります。
 昨年、F&Cのうちカクテルソフトがなくなり、"FC01"〜"FC03"の3つに再編されました。
 またこの作品は、原画にCARNRLIAN氏(『顔のない月』の人ね)を起用するなどしていました。
 個人的に、新しい年に変わり「心機一転、新しいF&Cを見れくれ!」という意気込みを感じたのが本作品です。
 メーカー、ブランドが乱立する昨今…
 ここのように古くからある所は、過去の作品のネームバリューやメーカー自体の知名度の上に胡座をかいているだけではイカンということでしょうか。

 …とまあ、いっぱしの評論家を装った意見を書いてみましたが、本作品の一面を見ると、そのように取れるのではないかと思います。
 ただ、そう感じるのは一番外側の部分でしかないのは、まずいと言うか所詮と言うか…。

 大まかにまとめてしまいますと、この作品の悪い点は以下の二つに収束されるのではないかと感じます。
 シナリオがショートショートのように細切れで進んでいくこと。
 物語の閉め方がどのヒロインでも同じなので、ヒロインごとの印象が薄いこと。

 この二点がどうも鼻についてしまい、結局最後まで楽しめなかったです。

 まず「シナリオが細切れで進む」事ですが、短いシナリオにいろいろ詰め込んでいるのが原因でしょう。
 物語は全10章構成ですが、はじめの1章目はプロローグ、10章目はヒロインとのエンディングとなるので実質8章分です。
 1章にかかる時間は長くて10分強、選択肢は多くて3個で、ないときはひとつも有りません
 その文章量の中で、お笑いとシリアスと恋愛をそれぞれ章単位でやろうとしているので綻びが目立ってきます。
 一貫性が足りないところに書き込みの度合いも少ないので、気付いたときにはゲームが終わっていました。
 また、唯一シリアスだった所は「恋之湯が地上げにあい、立ち退かされそうになる」場面だけ。
 恋愛では「英一が初恋の人と結ばれる」というパターンだけしかないので、二人目以降がだんだんとつらくなっていきます。
 …で、その恋愛が、より収拾をつかなくしています。
 基本的に、幼い頃に英一は夏休みになると毎年恋之湯に遊びにきていて、そこである女の子と約束を交わした、という設定があります。
 ゲームでは、その名前も忘れてしまった女の子と必ず結ばれることになります。
 要は、名前と約束した内容を主人公が忘れているのをいい事に、ヒロイン全員に可能性を持たせています。
 しかも、元から幼馴染とわかっている祭里とさくらを抜いた4人に関しては、かなり強引なので辟易します。
 なんと言うか、初めから幼馴染だったのか? あとから強引に付け足した物なのか? 非常に後者ではないかという気がします。
 まあ何が悪いのか、ヒロインごとに一口で書いてみましょう。
 

(雛咲祭里&花園さくら)
 祭里は、恋之湯関係者の中で一番マトモな発想を持ち合わせている女の子ですね。
 さくらは、商店街の花屋の娘で、同じく英一の幼馴染です。
 このゲーム中に良心と言いますか、まだ納得がいく人達です。
 英一の思い出の女の子も、この2人うちのどちらかだけなら救いようがあったかもしれませんが…。
 他のヒロインも思い出の女の子にしてしまったがために、段々と崩壊していきます。
 

(藤村由利)
 小さい頃は英一に虐められてばかりで、その反動で成長してからはずけずけと意見を言う性格になったそうです。
 しかも、発明好きのトラブルメーカーというお土産までくっついてくる始末…。
 まったく違う性格になっているのに、英一が思い出の少女と気付いたわけは「由利が記憶喪失になって昔の性格が表面化した」からだそうで…。
 ここまで都合よくことが事が運ぶと微笑ましいですね(怒)。
 

(エレナ=リリィベル)
 日本びいきの身内のせいで、小さいころに日本に来たことがあり、恋之湯の近くで過ごした経験がある。
 その時に重正から「わしは忍者の子孫」という言葉でからかわれ、その言葉を間に受けてしまったかわいそうな(?)少女です。
 英一と「立派なニンジャになる」と約束していて、それを無条件で信じ実行している…天然記念人物ですね。
 ただ、そんな破天荒なシナリオが一番楽しかったのはどうしたモノでしょうか?
 

(三梨涼子)
 日本有数の財閥のお嬢様だそうです。
 はっきりいって…何も思い出に残っていません。
 実家の人間が、何でもお金で解決しようとする人達ばかりで、それが嫌で家出をしたという設定なのですが、結局何をしたかったのかがハッキリしませんでした。
 英一も軽くアドバイスをしただけで、シナリオ上のほとんどの問題は良子かその実家が解決させていました。
 一体、英一君はこのシナリオでは何がしたかったのでしょうかな〜〜。
 

(葵夏流)
 父親がトレジャーハンターをしていて、小さい頃に恋之湯周辺にある(とされる)埋蔵金の発掘作業をしていた関係で英一と知り合います。
 ヒロインの中でも飛びぬけて奇抜な設定を持ってきています。
 裏を返せば、ただそれだけの色物キャラでしかなく…わはは。
 そんなキャラに引っ張られてか、このシナリオでも英一は何かしていたという感じは受けませんでした。
 英一が能動的に動かない人間だという事も、このゲームの欠点かもしれません。
 
 
 英一にとって大切な思い出であることが、シナリオ中に捏造されているとしか思えません。
 また、最終章で「恋之湯が潰される」という瀬戸際でも、埋蔵金が見つかったり温泉を掘り当てたなどという、突拍子もない回避の方法しか取りません。
 最後でもいったい何がしたかったのか、良くわからないまま終わってしまいました。
 まったく、内容が二束三文かつスカスカなのはいかがなものでしょうか?
 
 
(総評)
 見るべき所は然程なく、かといって強烈に印象に残るような粗さもない。
 ただ、プレイしたことが「時間の無駄だったな」と思うのみ。
 強いて感想を一言で表すと「『ラブちにゃと『センチ』のどうしようもない部分が集まったな」です。
 ファーストプレイでこのように感じたのですが、最後まで払拭できませんでしたね。

 まあ、「祖父を訪ねていったら、そこにはハーレムが待っていました」という“ご都合主義”は、18禁ゲームなので良くある事としましょう。
 問題は、何をしてヒロイン全員を英一の初恋の人に結び付けてしまったのか? という事です。
 一人くらいは思い出に関係ないのがいても良いのでは? と思いました。
 または、女の子の一人を初恋の人と気付いて、なおかつそれ以外のヒロインと結ばれる結果…ってな物が有っても良いのでは?
 中身が多少違えど、ヒロイン6人おおかた同じ展開で攻めてこられると、すぐ飽きてしまいます。
 ライターさんは、ヒロインたちを均等に、分け隔てない存在にしたかったのではないでしょうか。
 この辺りが『センチメンタル・グラフティ』(2は除く)に似ているなと感じる理由です。
 すべてのヒロインをメインヒロインとして扱う…として受け取れば美しいかもしてないですが、これは多分に危険をはらんでいます。
 お互いに潰し合う結果に終わる可能性が高いですが、本作品はその典型例ではないかと思われます。

 うーん…というか、そこにも至っていないですね。
 プレイしたあとから思い返してみると… 
 オープニングムービーで英一が気持ちよく殴り飛ばされていたことが、一番の思い出ですね。

(エルトリア)

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