いきなり はっぴぃベル The partner who gets married is chosen 
 突然現れた許嫁達。
  この中の1人を生涯のパートナーに選べったって…ねぇ?

1.メーカー名:Terios
2.ジャンル:マルチシナリオADV
3.ストーリー完成度:D
4.H度:B
5.オススメ度:C(細かいことを気にしないならB)
6.攻略難易度:B
7.その他:ここまでDOSゲームをひきずってコテコテだと、却って嬉しかったりして。
 

(ストーリー)
 主人公:安芸津一樹(あきつ・かずき)は、聖エオリア学園2年生。
 幼いころに両親が離婚して以来母と2人で暮らしてきたが、4年前にその母も亡くなった。
 1週間前に父が死ぬと、その借金のために住んでいた母の家まで抵当に取られてしまった。
 そして、天涯孤独となってボロアパートに引っ越してきた一樹の前に鷺ノ宮椎子(さぎのみや・しいこ)と名乗るメイドが現れた。
 椎子は、一樹の亡き父:奥崎堅一の遺言で、数人の許嫁の中から好きな娘と結婚させるためにやってきたのだという。
 結婚式は6日後の日曜日。
 それまでに何としても1人を選べという。
 候補者は、同級生の篠沢花梨、クーヘン公国のパステーテ姫、担任の後藤美智子、下級生の天国宙(あまくに・そら)、そして最悪の出会いをした向坂(さきさか)つぼみの5人。
 一樹は、たった5日で結婚相手を決めなければならなくなった。


 え〜っと…ものすごく強引な設定に、もう言葉もない。
 何が凄いって、5人中4人は選ばれないことが決定されているのに、つぼみ以外は誰1人文句を言わないのだ。
 ここまでくると、もう“そういう話なんだ”と割り切って進めるしかない。
 そして、開き直ってしまえば結構面白い。
 基本的に諸悪の根元はもう死んでしまった奥崎堅一なので、プレイヤーは一樹と一緒に父への怨嗟の声をあげながらゲームを進めればいいのだ。
 で、揃いも揃って極端なヒロイン達との異常な恋愛を楽しめばいい。
 つぼみとの『あつあつ新婚カップル』エンドでの
  たった一週間前に始まった恋の物語は、尋常ならざる軌跡を辿り、そのわりには、いたって平凡な結末を迎えたのでした。
という言葉が示すように、目指すは“結婚”という至極真っ当な恋の通過点だ。
 ヒロイン達がこの異常な状況下でも一樹に興味を示すのは、結婚に対するある種の憧れがあるからに他ならない。

 そして、一樹自身、父の無茶の犠牲者だということが救いになっている。
 それは、こんな状況に放り込まれたことを言うのではなく、彼の生い立ちそのものが父によって歪められたものだからだ。
 そもそも父は、良かれと思って行動して周囲に迷惑を掛けるタイプらしい。
 今回の“許嫁候補にされたのに選ばれない相手のことは考えていない”という独善的な行動が全てを表している。
 詳しいことは後で触れることにして、一応、一樹の生い立ちについて整理しておこう。
 一樹が生まれたのはバブル崩壊の直前ということなので、おそらく平成2年前後だろう。
 生後1年程度で両親が別居し、9〜10才くらいのころに正式に離婚、13〜14才ころ母が死んで、母と住んでいた家が勝手に抵当に入れられていたため、父の死と共に自宅を失った。
 こう考えると、かなり悲惨な人生だと言える。
 一樹が妙に性格破綻者なのは、家族の愛に飢えているせいなのだろう。

 では、ヒロイン毎の物語を見ていこう。


(向坂つぼみ)評価:B
 メインヒロイン。
 身体が弱く、入院中に知り合った初恋の男の子が許嫁になったことを知り、その人と結婚することを夢見ていた少女。
 憧れの相手から結婚のための呼び出しを貰い、喜び勇んで上京してきたら、なんと許嫁が自分以外にいた、しかもその許嫁は、道でぶつかって自分の胸を散々揉んだ(実際のところ、一樹は衝突のショックで気を失っていた)男だったという経緯から、一樹と衝突を繰り返す。
 実は、一樹の両親が離婚したころ、母が一樹に修羅場を見せないようどこかへ追いやるための口実としてつぼみの見舞いに行かされており、そのとき一樹はその娘の名も知らないまま、「大きくなったらプロポーズする」と約束していた。
 その後、つぼみの父が堅一と知り合いだったためにつぼみは許嫁の1人となり、一樹への想いを育ててきたのだ。
 そういう経緯があるせいか、つぼみにだけはバッドエンド的な陵辱がない。
 陵辱自体はあるのだが、つぼみを強請ってパシリに使うとかの延長としてやっているせいか陰湿さがなく、つぼみの「はいはい、ご主人様」という返事も相まってどこかほのぼのとした雰囲気が漂う。
 これは、つぼみの一樹への愛情が(素直じゃないけど)しっかりしているせいだろう。
 つぼみがコスプレHに順応し、一樹のだだっ子ぶりに理解を示したため、陵辱系のシナリオのくせにメインのハッピーエンドよりもあつあつカップルになってしまうのだ。
 ただ、つぼみの身体が弱いという事実は変わらず、数年後にはつぼみは死んでしまうだろうことを明言して終わるので、どこか寂寥感が漂う。
 そして、つぼみ自身がそれを自覚しているだけに、「生きていられるうちに好きなことをしておきたい」という行動に結びつく。
 メインのエンディングである『花の命は短いけれど…』がかなりラブコメタッチで軽い分、陵辱系ハッピーエンドの『あつあつ新婚カップル』の方が面白かった。
 ちなみに、『あつあつ…』では、一樹は最後までつぼみとの約束のことを思い出さないし、つぼみもそれでいいと思っている。
 結果的に約束は果たされたのだから。


(篠沢花梨)評価D
 清純派&アイドル担当。
 花梨の母と堅一はかつて恋仲であり、当時貧乏青年だった堅一は花梨の両親に仲を裂かれてしまったため、堅一と花梨の母とで、自分達の子供同士を結婚させようという約束が生まれた。
 花梨は幼少の頃からその話を聞いており、運命の相手に嫁ぐ日を待っていた。
 とはいえ、最初から一樹が許嫁だと知っているため、同じ学校にいる一樹をずっと見つめて恋心を育んできており、許嫁メンバーの中で一番まともに一樹を好きになっている。
 前半は一樹を意識してひたすら逃げまくり、ストーカーから助けた後はベタベタ熱々になるコテコテのラブコメシナリオだが、花梨がグラビアアイドルの佐伯優菜だと分かった後で事態が微妙に変わり始める。
 一樹は、“身体を売って仕事を貰う芸能界”というイメージから、『花梨が処女じゃなかったら』という疑心暗鬼に襲われるのだ。
 そして一樹は、花梨とのキスの後で遂に面と向かって尋ね、花梨は逃げ出してしまう。
 一応一樹を弁護しておくと、彼は“恋愛で経験したなら構わないが、仕事のために身体を売ったのだとしたら、そしてそれが結婚後も続くとしたら…”という言い方をしている。
 多分これはおためごかしで、どういう経緯であれ花梨が処女でなければ一樹は嫉妬に燃えるのだろうが、花梨が逃げ出したことで、一樹もプレイヤーもそれが答だと受け取ることになる。
 純情可憐に見える花梨も芸能界に毒されていた、と。
 だが、オチは“花梨は幼いころのCM出演の際にキスしたことを思い悩んでいた”という非常につまらないものだった。
 まさか“結婚相手としかキスしない”なんて倫理観の持ち主だなんて思わないじゃない?
 こんなつまらないオチならば、こんなネタやらなければいいと思うのは鷹羽だけだろうか?

 また、バッドエンドや陵辱エンドが一番納得いかないのも花梨のマイナスポイントだ。
 前記のとおり、花梨は最初から一樹に好意を持っている。
 そして、つぼみのシナリオでは「もし自分が結婚相手に指名されたら受けるだろう」と答えている。
 なのに、実際はクリア条件を満たさない限り、花梨に告白してもあっさりフラれてしまうのだ。
 しかも「ずっとほかの人が選ばれればいいと思っていた」という告白付きでだ。
 そんなのってあり?
 陵辱エンドは更に不条理だ。
 花梨の陵辱エンドは、上記の台詞でフラれた一樹が花梨をさらって陵辱する形になっているが、『死に実る愛』エンドでは、後悔して自殺した一樹の死体に寄り添った花梨は「私は…ずっと前から一樹君のモノだったのよ…」などと言っている。
 だったら最初からプロポーズ受けなさいっつーの!
 これがあるばっかりに、花梨のシナリオ評価は落とさざるを得ないのだ。


(パステーテ姫)評価A
 わがままで世間知らずなお嬢様担当。
 北欧の小国クーヘン公国の第1皇女で、400年前に王家を救った侍との約束に従い、その子孫と結婚するべく一樹の許嫁となった。
 パステーテは、姫という肩書きに惑わされることなくタメ口をきく一樹の態度や、ときに苦言を呈してくれる誠実さを『王の器』と認めてプロポーズを受けることになる。
 だが、実は400年前の出来事には続きがあった。
 当時の姫は侍と共に日本へ渡っており、その後のクーヘンは影武者が継いでいた、つまり一樹との結婚はクーヘンに正しい王家の血を取り戻すという目的があったのだ。
 パステーテは、自分に王家の血が流れていないと知って自尊心と価値観を粉砕されてしまった。
 一樹の説得で自我を保てたパステーテは、これまでどおり姫として生きる(『凱旋』)か、これまでの全てを捨てて一樹と駆け落ちするか(『小さな世界の大きな幸せ』)を選択することになるが、どちらにしてもこのシナリオでの一樹は、ゲーム中最も良識的な人間になっていて好感が持てる。
 陵辱エンドにしても、土壇場で失格の烙印を押された一樹がキレて襲ってしまうという割と納得できる展開なので、バランスのいいシナリオだった。
 ただ、あの役立たずの護衛達はもうちょっとなんとかならんもんかなぁ。


(天国 宙)評価D
 電波担当。っていうか、むちゃくちゃ電波な娘で、取っつきの悪さは天下一品。
 堅一がかつて拾った捨て子で、孤児院に預ける際、いつか迎えに来るからと約束した女の子。
 結婚相手に選ばれれば家族を手に入れることができるが、選ばれなかったときのフォローは全く用意されていないという、堅一の優しいんだか冷たいんだかよく分からない性格が滲み出てくる話だ。
 宙は、幼いころに母に置き去りにされたことを記憶しており、そのトラウマを意識外に追い出すために記憶をねじ曲げ、堅一との約束を“宇宙の使者が迎えに来る”と曲解してしまった。
 そのトラウマをいかに克服させてやるかというシナリオなのだが、こういった異常な行動を取る人間に対して椎子の対応が実に冷たい。
 「奥崎家の嫁としては」という観点で計っている(プラスα)からであり、いざ椎子が宙に感情移入を始めてしまうと実に気の合う2人なのだが、終盤に至るまで椎子の冷たさが身に染みるので、これで椎子に対して悪印象を持つ人も多いのではないだろうか。
 トラウマを乗り越えた宙の笑顔は同一人物とは思えないくらい輝いており、最初と最後の落差の大きさはピカイチだった。

 だが、陵辱エンドでの椎子の行動は頭をひねるしかなく、鷹羽は椎子に殺意を覚えてしまった。
 また、宙が神隠しにあってしまうバッドエンドは、なまじリアルな背景を持つ電波少女なだけに違和感が拭いきれなかった。


(後藤美智子)評価C
 フェロモン担当。
 許嫁がいることは知っていたが、それが自分の生徒だとは思っていなかった人。
 彼女の父が堅一の親友で、子供同士を結婚させようという約束になっていた。
 27才で婚期を逃し掛けていることを気にしていて、どんな状態から(たとえ他のキャラ攻略中)でもハッピーエンドに行ける救済キャラ。
 ただし、“バージンロードを歩くときはバージンでなければ”という信念の持ち主なので、ハッピーエンドは簡単だけどHシーンを見るのが大変という変わったキャラになっている。
 それだけに陵辱エンドでは一樹にレイプされたという形になって学校を辞めており、納得できる展開だった。


(三間坂ちこり)評価C
 隠れキャラ&お兄ちゃん担当。
 一樹の義妹にしてもう1人の許嫁候補。
 堅一が使用人の老夫婦の孫を養女にし、更に奥崎家の運転手だった三間坂(みまさか)家に預けたという非常にややこしい存在だ。
 また、堅一はちこりに本当の娘だと言い聞かせていたため、ちこり自身は自分が本当に一樹と血が繋がっていると信じているから余計ややこしい。
 兄妹は結婚できないことをちゃんと知っており、どうやら最初の許嫁集合の際にちこりが姿を見せなかったのは、“兄妹は結婚できないから”と辞退してしまったせいらしい。
 そういや最初に許嫁候補が揃ったとき、椎子は「1人足りない」ではなく「数が足りない」と言っていたが、遅刻してきたつぼみだけでなくちこりのことも指していたんだろう。
 ちこりの誤解はラストシーンで一樹が説明するまで続く。
 でも、Hシーンはそれ以前に入るから、ちこり的には“近親相姦”の状態が続いており、彼女の悩みの種となっている。
 結局、このシナリオでのテーマは“妹のままでおきたいか女として見るのか”ということであり、妹のままでおこうとすると陵辱ルートに入ってしまう。
 結婚しないままズルズルと関係を続けていく2人は、ちこりの親友の藤咲朋乃(ふじさき・ともの)まで巻き込んで泥沼な関係になる。
 個人的には、ちこりは妹のままにして朋乃とくっつくエンディングも欲しかったかな。
 ちゃんとハッピーエンドなやつでね。


(鷺ノ宮椎子)評価E
 まぁ当然あるだろうと思っていた隠れキャラその2でメイド担当。
 宙のシナリオで、椎子が捨て子だったことが分かるのだが、このシナリオでは椎子がどうして一樹の面倒を見ようとするのかが明かされる。
 一樹が生まれる前に堅一が椎子を引き取った(養女にはしていない)ことが堅一夫婦の溝を生み出し、一樹が赤ん坊のころ、堅一がまだ幼かった椎子を抱いてしまったために夫婦が別居を始めたという事実が、椎子を罪滅ぼしに走らせているのだ。
 また、椎子は、メイドに面倒を見てもらいながら、自分が恩返しとしてできることとしてメイドの仕事をするようになった。
 椎子のメイドという仕事に対する拘りはこの“自分の存在意義がメイドであること”に起因している。
 ただこの謎解きによって、宙シナリオで椎子が宙に冷たい理由が一樹への恋愛感情らしいことが分かる。
 また、これまでの椎子の献身的な(というかかなり盲目的な)行動の原動力が堅一に対する愛でないこと、ほかのシナリオで一樹が誰とも結婚しない場合に椎子が出ていってしまうことの説明が付かなくなるなど、辻褄の合わない部分が多く発生してしまった。
 よってどうしても評価は悪くなってしまう。
 ただ、椎子が火曜の夜に一樹の筆降ろしをするイベントで「経験あり」と答えたときに椎子が残念そうな顔をする理由だけは納得した。

 ところで、鷺ノ宮家秘伝のコンソメスープとやらは誰から教わったんだろう? というよりも、鷺ノ宮って誰の名字?


 最初に書いたとおり、このゲームはそもそも非常識の塊のような基本設定を持っている。
 だから、どうして選ばれなかったヒロインが暴動を起こさないのかだの、ブルマを採用している学校なんてもうないんじゃないのかだのと言い出しても始まらない。
 細かい1人ずつの問題点については上で多少触れたが、あとは概ね大した問題点はない。
 そもそも結婚相手が決まるのが木曜日の夜なのだから、新婦側の招待客など来られるわけがないor既に招待した客に中止の連絡をしなけりゃならないのだから、細かいことは言いっこなしという動かしがたい前提があるのだ。
 …なんだか頭が痛くなってきたが、要するに、細かいことは無視してどーんといくしかないってことだ。

 ちなみに、ゲーム中の日付が変わるときの画面には花のつぼみが描かれており、シナリオの進行が順調だと土曜日には花が咲くことになる。
 これは、「花はつぼみのままで終わったりしない」という、一樹が向坂つぼみを励ますために言った言葉が元になっている。
 こういう細かいところに気が回るのに、どうして根本的に間違っているものを作れるのか不思議だ。


(総評)
 このゲームで最も興味深いのは、花梨とちこりのシナリオで出掛けた遊園地『ファンタージェン』だ。
 最近ファンタージェン・シーもできたという、どこぞのテーマパークのパクリネタだが、実は以前この九拾八式でも扱った『猟奇の檻 第2章』(1995年PLANECH作品)の舞台になった由緒正しいテーマパークだったりする。
 ちゃんと中央にドラクル城があるなど、構造も一緒なのが嬉しいが、どうして他メーカー作品の舞台だったファンタージェンが登場するのか?
 『猟奇の檻 第3章』では、ワンダー園という名前のテーマパークが登場しており、ファンタージェンに引っ掛けてのお遊びだと思われていた。
 だが、一応正当な続編に別の名前のテーマパークが登場し、他メーカーの作品でそのままの名前で登場するというのはどういうことだろう?
 確かに『第3章』を作ったのも本家PLANECHではなく、ペンギンワークスという他メーカーだ。
 『猟奇の檻(第1章)』『第2章』は共に横田守原画なのだが、それが関係しているのだろうか?

 そう言えば、『第2章』には『THE VENGEFUL DAYS』という副題が付いていた。
 これは“復讐に燃えた日々”という意味だが、このゲームにも英語の副題が付いている。
 ちなみに“結婚相手は選ばれた”という意味だが、こういう部分にも似たようなセンスを感じる。

 まさか、テリオスとはあの…ゲフッ(バタリ)


 鷹羽は決して嫌いではないのだが、このゲーム、実はものすごく根本的なところで破綻しまくっている。
 このゲームでは、27才の美智子先生以外は一切年齢が出てこない。
 どう見ても成人の椎子ですら年齢不詳のままだし、呆れたことに一樹の年齢も不詳だったりする。
 「高校2年じゃないのか?」という意見もあるだろうが、ストーリーの部分をよく読んでほしい。
 「聖エオリア学園2年生」なのだ。
 この学校が大学なのか、高校なのか、はたまた中学校なのかはっきりしていない。
 ただ、体育や歴史、倫理の授業があり、受験を控えていたりするわけだから、専門学校や大学、大学院でないことは確かだ。
 美智子の父が今の一樹と同じ年齢で『○校で番を張っていたころに堅一と知り合った』という話が出たとき、鷹羽は『どうして高校を伏せ字にするんだろう?』と思った。
 そして、ちこりのシナリオで『○学生』という単語が出たときに納得した。
 ちこりとHする関係上、中学生という単語をはっきり出すわけにはいかなかったのね、と。
 だが、よく考えてみると、もっととんでもない疑問が浮かんできた。
 問題です。日本の男性は何歳から結婚できるでしょう?
 高校2年は16〜17才だから、一応順調に進学・進級してきた一樹は結婚できる年齢ではない。
 もちろん、式を挙げたからって直ちに籍を入れるわけではないが、どうやらその辺だけはきっちりしていて、結婚式後に籍を入れているようなのだ。
 3年生なら一樹の年齢は問題にならないし、ゲーム中に上級生キャラも登場しないのに、どうしてわざわざ2年生にしたんだろう?

 ここで、堅一の生涯というものを簡単にまとめてみよう。

  ・ ○校時代に美智子の父と親友で、女の子を食いまくっていた
  ・ 花梨の母親と清い交際をしていたが、その両親に引き裂かれた
  ・ 一樹の母と結婚
  ・ 数年後、まだ幼かった椎子を引き取り、メイドに育てさせた
  ・ 結婚から7年後、一樹の母が妊娠(バブル崩壊期)
  ・ 椎子を抱いているところを目撃され、一樹の母と別居(一樹1〜2才)
  ・ 数年後、ちこりを引き取り養女にし、運転手の三間坂家で育てさせる
  ・ 一樹の母と正式に離婚、一樹がつぼみと出会う(一樹10才前後)
  ・ 4年前、一樹の母が死亡
  ・ 1週間前、堅一死亡

となる。
 
 堅一が結婚してから一樹が生まれるまで、8年近い月日が経っている。
 親同士は同年代なのに、美智子が27才だというのも納得だ。
 ちなみに、椎子は一樹と一回り年が離れているそうだ。
 正確に12才離れているという訳でもないだろうが、椎子が堅一に抱かれたときの年齢は13〜14才程度ということになる。
 年齢差がぼかされているのは、そういうことなんだろう。
 ちなみに、バブル崩壊を平成2年として計算すると、現在一樹はまだ11才程度なので、この物語は平成20年ころが舞台の未来物語ということになる。
 どこまで確信犯でやってるのか、非常に興味深いが、残念ながら人にお勧めできるものじゃない。

 確信犯で思い出したが、すごい遊んでるキャラがいる。
 花梨の親友3人組の佐々木京子、乱葉奈留(らんば・なる)、ラブ佐池デリ子(らぶ・さいけ・でりこ)だが、佐々木はともかく、ランバ・ラルやらサイケデリックをもじったのやら、ネーミングからしてかなり強引だ。
 ちなみに、デリ子は下品ネタ担当で、ことあるごとに本論と全く関係ない下品なたとえ話をする。
 どうして花梨の友達をやってるのかよく分からないくらい凄まじいキャラだが、花梨を含めた4人組には妙な性癖と称号がある。
 京子は“最強のアナル・クイーン”、奈留は“本番専用・締め上げ戦馬鹿”、デリ子は“大回転・クンニ&フェラ・ジャンキー”というクラクラ来そうな強者揃いだ。
 ちなみに花梨は、未熟ながら“華麗なるオナニー・プリンセス”で、激しいエクスタシーを感じると目を開けたまま寝てしまい、しかも寝言で器用に会話するという特性があるそうな。
 花梨シナリオで、「オナニーはする?」という選択肢が出るのは、恐らくこれの絡みなのだろう。
 やっぱ友達だわ…。

 ま、下品なのはさておいて、陵辱系のエンディングでは、一樹がこれでもかってくらい情けない男になるし、バランスもかなり狂うからやらない方が良かったんじゃないかな?


(鷹羽飛鳥)


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