瞳裸
ホムンクルスは、ただの道具なのだろうか
1.メーカー名:クロスネット
2.ジャンル:シミュレーション
3.ストーリー完成度:D
4.H度:B
5.攻略難易度:C
6.オススメ度:B
7.その他:ホムンクルスがいるなら、一人欲しいなあ(ああっ、僕はなんてことを考えているんだ)。
(ストーリー)
錬金術師のミスランディアは、宮廷から受けた屈辱が原動力となり、多くの錬金術師が創造を願ってやまなかった“人を魅了する石・瞳裸”を完成させた。
彼は、これを瞳に埋め込んだホムンクルスのアリアに皇帝を篭絡させ、侮辱した者達を裏から操ろうと目論む。
一月余(正確には35日)の後に行われる妾妃の選抜で選ばれるため、アリアに教育を施し、小道具を作って裏工作をする日々は続くのだが…。
アリアのパラメータによってエンディングが変わる、育成系のシミュレーション。
プレイヤーはアリアに指示を与えつつ、小道具=大人のおもちゃを作る。道具が出来れば実験と称してのHCGを拝むことができる。
ミスランディアはアリアに対し、道具の実験しかやらない。
精力剤を試すときなど「不本意ではあるが、自分のを使うしかない」とまで言う。
彼にとっては、瞳裸もアリアも全てが研究の対象でしかないのだ。
錬金の技術に没頭し、HゲーなのにHをする気が無いとは面白い。
主人の命令に、アリアは拒否が出来ない。そこに実験というシチュエーションが絡むので、我々を興奮させるものとなる。
CGは、実験というだけあってバリエーションに富んだアイテムプレイが用意されている。
バイブ・浣腸・クスコや内視鏡、電気や豊胸器まである。
「イルリガートル式浣腸」なんていうものまであって、少々マニアックな感じだ。
シナリオは分岐がなく、パラメータの増加によって発生するイベントも含めて、終始ミスランディアとアリアの会話が続く。
そこには、長命であるが故に愛情を捨てた者と、造られて間も無い故に愛情を欲する者のストーリーが織り込まれているので、その喜びや悲しみを堪能して欲しい。
シミュレーション部分は、アリアを教育するより道具を製作するためのやりくりに労力を割くので、見た目より意外と手応えはある。
しかし、パラメータを上げるコマンドが二つしかなくて終始短調だったり、ミスランディアの復讐しようとしている国はどんな所なのかが判らなかったり、哲学者然とする彼の言葉があまりに回りくど過ぎたりと考えるべき課題は多い。
問題点はあるものの時間をかけずにHCGが見られるので、無理に遊ぶほどではないが、見るに足るゲームと言えよう。
(総評)
「黒瞳皇・瞳裸U」をプレイするに当たって、一作目がどんなゲームなのかを知っておこうとプレイしてみたら、なかなかどうして楽しませてくれた。
個人的には、簡単さと女の子が実験と言う名目で責められるというシチュエーションから、こっちの方が好みだ。
「黒瞳皇」の世界が成り立っているのは、このゲームで確立しているミスランディアと言う人物に拠る所が大きい。
ハーフエルフの彼は錬金術師であり、哲学者的な男。
普通の人より長命であることが、自身を頑なにしてしまう。
その感極まった復讐のために造ったアリアと生活をしたことが、皮肉にも彼を真人間に戻す。
なのに、彼は何もかも失い、漂泊の哲学者としてさすらうこととなる。
そして彼が亡くなった場所が、「黒瞳皇」の舞台となるボッサール王国なのだ。
この「瞳裸」で、彼の放浪するエンディングは、誰が見てもハッピーエンドの類には入らない。
そこに続編を関連付けているということは、それだけ彼は完成されたキャラだということだ。
そんな彼をも魅了する石「瞳裸」。
その石を瞳に持つアリアを造る術は失われた。
「黒瞳皇」でのそれは、彼のうろ覚えの記憶で造られた、半信半疑のアイテムに過ぎない。
本物の「瞳裸」はここにある。
個人的には何か気に入っているので、私は、既に瞳裸に魅了されているのかもしれない。
(Mr.Boo)