Coda 〜棘〜
2000年の名作「Portrait」のスタッフの作品という事で、実は今年の梨瀬的注目度No,1だったりする。
さあ〜、今回もイタイのか!?
1.メーカー名:OVER/Chaff
2.ジャンル:ADV
3.ストーリー完成度:B
4.H度:S
5.オススメ度:B
6.攻略難易度:D
7.その他:さすがに今回は主題歌付き、しかもI'veサウンドなのね…なんかボイスもしっかりついちゃってるし…
なんとなく時代の流れを感じるなあ、なんてね。
(ストーリー)
草葉樹(そうようじゅ)…私立草葉学園の建物の中庭にそびえる巨大なニレの木は、ある者は願いを叶えてくれると伝え、またある者はたまに神隠しを起こすという…
主人公・日下学(くさかまなぶ)は、さしたる理由もなく「家から近いから」という理由だけで、地元の草葉学園に入学する。
そんな生活の中、彼の周りに次第に人は集まっていき、先生の間で「日下グループ」と揶揄される仲間同士で、和気藹々と学園生活を送っていた。
そんな折、そのグループの一人深見紗世(ふかみさよ)と相思相愛でつきあい始めた学はまさに高校生活を謳歌していたのだが、ある日をきっかけに「友達に戻ろう」と紗世自身に告げられ、以降彼女に冷たい態度をとるようになってしまった。
次第に崩れていく人間関係。
そして、それがピークに達した時、悲劇が起こった。
紗世と口論になり、学が冷たい一言を浴びせかけた直後…目の前で、彼女の前に明らかにスピードの出しすぎと思われる車が突っ込む!
まるでゴムまりのように吹き飛び、学の目の前に転がってくる紗世…そして、あろう事か学の手の中で、彼女は静かに息を引き取る…
最後まで学の名前を呟きながら…
「オマエが…殺したんだ!」親友の宏人が吐き捨てるかのように呟く。
「アンタは、やっぱり偽善者だ」後輩の優哉が容赦ない言葉を浴びせる。
時間は…もう逆には進まない…
思えば最近Hゲームを購入する時、純粋に「シナリオ」に期待して購入する作品が少なくなってきたなあ、と考えてる今日この頃。
そういう観点で言えば、今年初めての「シナリオ」買いしたのが実はこの「Coda」だったりする。
相も変わらず文章のレベルは高いし、キャラクターの魅力も良く引き出している。
しかし、伏線の張り方などは「Portrait」の方が繊細だった感は否めない。
血と喧嘩を嫌う万里子など「はーん…何かあるんだな」みたいなのがミエミエで、わかりやすいとは思うのだけど、何となく今イチ感が拭えなかった。
シナリオやメッセージが難解なのも、今作の特徴だ。
キャラの台詞や文章に様々な意味が織り込まれていたり、メッセージになっていたりする。
話の中盤あたりで出てくる向日葵の花言葉などは、その典型だ。
紗世は四人とともに写っている写真を見て「向日葵畑にいるみたい」と表現するが、それぞれの花言葉は
「君を見つめる」は春香
「あなたは素晴らしい」はともみ
「憧れる」は綾
「恋して慕う」はまみ
を指している言葉だろう。
ゲームを進めていくうちに意味は分かってくるが、こういうのはファーストプレイでは気づきにくいものだ。
こんな言葉に隠された意味があちらこちらにちりばめられていて、メッセージスキップが迂闊に使えない。
また、最終的に草葉樹がどういう存在なのか、はっきりしたことは分からずじまいなのも若干消化不良か。
黒き想念にしろ白く気高い思いにしろ、人の気持ちを吸い、増幅するために人を閉鎖された世界に取り込んでしまうというのは分かる。
現実でも、樹木に精霊や神が宿るという信仰は存在するし、日本にも「木霊」という単語などがある。
樹木は特別な力を持っている、というのは理解できるのだが、結局この草葉樹というのがどういういわれを持ってそういう特別なものになったのか、そういう事は結局語られずじまいだったのは、少し残念だ。
まあ、それがメインプロットのシナリオではない、と言われてしまえばそこまでだが。
あと、特筆すべきはHシーンのやらしさ!
はっきり言って、今まで見たHゲームの中でもベスト3に入るぐらいいやらしい。
その場面の状況、文章、CGすべてがエロエロ全開で参ってしまった(苦笑)。
特に綾ハッピールートでエンディングテロップが終わった直後、場面がいきなり「ぱっくんちょ」だったのにはあと一歩で口に含んでいた納豆ご飯(大盛り)をモニターにぶちまけて大惨事を招くところだったヨ。
さて、今回は八木春香と水無川綾の二人にそれぞれハッピー、ワーストの2ルート。
そしてそれらの攻略失敗があるのでED数は合計8種類存在する。
正直、これらのシナリオは複雑に絡み合っており、一つ一つのシナリオを評論していくのが非常に難しいため、今回はちょっと変則パターンで各キャラクターごとに評論していこうかと思う。
また、この作品は様々なテーマや表現が盛りこまれている。
各々プレイヤーに解釈を委ねられた、それでいて手抜きではない素晴らしいシナリオだ。
故に、ここから先は「梨瀬成なりの解釈」として読み進めて頂きたい。
●八木春香(やぎはるか)
一応筋から言えば、彼女がメインヒロインという事になるだろう。
実際、シナリオボリュームもあり描き方としても、最初から出てくるだけに申し分ない。
まずハッピールートだが、なんと言っても最後の紗世との邂逅シーンだろう。
紗世との事に踏ん切りをつけたつもりの二人が、草葉樹の力によって死んだはずの彼女とつかの間の再会を果たしたときに湧き出たとまどい。
そして、それらを事実として漸く全て受け止め、お互いの距離を再び「名前を呼び合う」事で一気に詰める二人というのは、なかなかの名場面だ。
このゲームのテーマの一つ、どんなに辛いことがあっても時間は逆戻りはしないし、それらから目をそらして生きていくことは出来ない、という事を上手に表現している。
また、春香は紗世が何故学と友達に戻ろうと言い出したか、その理由を恐らく知っていた、という点でも面白いキャラだ。
もちろん、そういう台詞はゲーム中一回も登場してはこない。
だが紗世が死んだ後、学とこれからは少し距離を置こう、などと自分から提案したり、学に好きな気持ちを告白した後初心に還るという名目でお互いを名前ではなく名字で呼び合おうなどと言い出すのは、全て紗世に対する負い目や、彼女と同じスタートラインに立ちたいという気持ちの表れだ。
だからこそ、春香は迷うのだ。
紗世の姿を再び見たとき。
でなければ、草葉樹の力によって再会した紗世が学と友達に戻りたかった理由を語ったとき、あそこまで落ち込む必要はないではないか。
いくら口で紗世の事を振り切ったと言っても、彼女の死を本当に現実として受け入れてしまえば、それは正式に紗世から学を横取りした事にはなるまいか? という疑念が春香を悩ませているのだろう。
だからこそ紗世は後押しをしてくれる。「奇跡を願っては駄目」だと。
例え、それがどんなに醜い感情だと春香が考えていても、辛い現実を受け入れる。
一見、酷いとしか言いようのない「勝手に死んじまいやがって」という学の台詞を受けてくれる紗世は、まるでそれを言わせる事が自分の役割だったのだと言わんばかりに穏やかで柔らかい笑顔を学に向けてくれる。
例え醜い感情でも、前に進むためには立ち向かわなければならない事もある。
その勇気を苦心の末に掴んだことによって、ようやく春香と学は結ばれる訳だ。
本当にいいシナリオだよ。
●水無川綾(みながわりょう)
学が紗世に告白された同日に彼に告白して見事にフラれたものの、そんなことはおくびにも出さず、以前と変わらぬ気っぷのいいつきあいをしてくれる女性。
そんな彼女もメインヒロインの一人だ。
さて彼女は、紗世の死以降もさほど変わっていないように見えて、実はもっとも影響を受けているキャラだ。
言うなれば、綾は紗世のもう一つの側面を持っているのだ。
そう、まるで紗世の死をきっかけに綾自身が紗世に入れ替わってしまったかの様に…
かつて遅刻魔と呼ばれた紗世と同じように、彼女の死以降、遅刻が多くなったのは決して紗世の死ぬ現場を最後まで目撃してしまったショックからだけではない。
その光景が目に焼き付いて離れず、そこから彼女の歩みが止まっているからに他ならない。
紗世が最後まで綾を見つめていた光景…それが焼き付いているからこそ、綾は「紗世」というカルマを背負うことになってしまうのだ。
自分自身に紗世を投影するかの様に。
シナリオとしては、そのトラウマからどう立ち直るかがメインとなっているが、春香とは違い学に対する好意に、紗世に対する負い目などはあまりない様だ。
だからこそ学が音楽室で綾を紗世と見間違えた時、あそこまで怒るのだろう。
この事を宏人には「オマエ、水無川に(言葉を)刺しっぱなしじゃねえか」とあきれられるシーンがあるが、実際刺すどころの話ではない。
要するに綾は自覚しているのだ。
自分があの事件を瞳に焼き付けて以来、紗世を投影し続けていることに。
学に腹を立てるのも無理はないだろう。
彼が綾自身ではなく、綾が投影している紗世しか見ていないという事になるのだから。
綾は紗世の死によって、再び学をかけて紗世と勝負しているのだ。紗世という幻影と。
そう考えると、紗世の死を認められず、どうしても学に対して二の足を踏む形になる春香とは対照的だ。
ハッピールートの一番最後の方で、草葉樹にもう一回取り込まれて紗世に再会するイベントが春香ルートの時は春香と学二人ともなのに対し、こちらの綾ルートでは学一人なのは、学に思いをうち明けた綾が草葉樹に「紗世に会いたい」という想念を送っていないからだろう。
学から最後に受け渡された、紗世からの絵葉書。
これが綾を紗世の呪縛から解き放った段階で、彼女は(もともと認めてはいた)紗世の死を現実としてまっすぐに見つめることが出来たのだ。
瞳に焼き付いた紗世の姿を、少しづつ消していくことによって…
多分、この作品内でもっとも強い女性だろう。
また、その強さを見事に描ききっているすばらしいキャラクターとシナリオだ。
●向井万里子&向井まみ(むかいまりこ&むかいまみ)
サブキャラだが、ともみと美鶴がコレと言ったトラウマなどがない反面、コチラは姉妹共々明確なトラウマ持ちだ。
ちょっと面白いのが、万里子のトラウマが正方向に働くのが水無川ハッピールートで、逆に負の方向に働くのが春香ワーストルート、まみのトラウマが正方向に作用するのが春香ハッピールートで、負の方向に傾くのが水無川ワーストルートであるという、変わった関わり方をしている点だ。
要するにこの姉妹が抱えるトラウマの全容は、4本のシナリオ全てを解かないと把握できないというシステムになっているのである。
そして、そのトラウマが二人を精神的に強くする糧にもなるし、もろく崩れ去る原因にもなるのだ。
これは「Portrait」の時にも扱われていたテーマだが、この二人に関しては、それが更に際立っているという感じだ。
特に万里子の二重人格は草葉樹に取り込まれてしまうという極限状態において発動してしまうのだが、綾ハッピールートでの彼女がそれを克服するために辛いであろう過去を語り、その上で甘えではない形で宏人にすがるシーンは、なかなかの名場面だと思っている。
まみは逆に綾ワーストルートの時がスゴい。
正直、春香ハッピーシナリオで明かされるまみのトラウマの事を分かってないと「何でそうなるの!?」となってしまうが、コレを知っている状態で見るとホントに怖い。
綾ワーストルートにおいて、とうとう学まで壊れてしまい陵辱されたものの、唯一平静を保っていた綾の目に硝酸を浴びせかけるまみ…
まるで、閉じこめられたメンバーの中で、唯一どんなに辛い目にあっても目をそらしていない綾に嫉妬するかのごとく…これは、かつて優哉に対して「目を背けて」しまったトラウマがあったからこそだ。
そして綾の目から光が失せたことによって、彼らは永遠に草葉樹に閉じこめられることになるのだろう…
最後の虚ろな瞳のまみのCGを見ていると、そうとしか考えられない。
そう言えば、万里子も春香ワーストルートの時、最後に宏人を刺し殺し草葉樹に学と春香を外の世界に出すように頼み、草葉樹自身も彼女を「黒き想念を持つケダモノ」と認め願いを聞き届けるが、結局その後春香は記憶障害、学も危険な思想にとりつかれたあげく、他のメンバーは結局神隠し状態という最悪の結果を招いている。
この姉妹がハッピールートの時は草葉樹からの脱出に一役買い、そしてワーストルートの時には最後に絶望を与える役目を担っているのは、興味深いトコロだ。
●藪阪ともみ&佐々木美鶴(やぶさかともみ&ささきみつる)
なんと、「Portrait」からのゲスト出演!
「Portrait」では顔すら出てこなかったキャラだけに、初めてともみが出てきた時など「クリス藪阪じゃねえか!」とか笑い転げたものだが、完全な脇役キャラと思いきや、ちょっと意外な側面を持っていて驚いた。
この二人は春香・水無川両方ともにワーストルートに入ってしまうと、真っ先に陵辱されてしまうキャラだ。
EDも存在しないし、一見単なるHCG用のキャラ? と思ってしまう。
しかし、ワーストルートに入った瞬間すぐに犯されてしまうこの二人という構図、梨瀬としては少々引っかかったのだ。
穿ちすぎな意見なのは重々承知の上であえて言わせてもらうと、この二人、俺っちは主人公・日下学の持つ側面の一つなのでは? と解釈している。
ともみは事あるごとに、今の脚ならば(紗世を助けるのに)間に合うと言い、美鶴は紗世が死んだ後、急に明るい娘に変貌を遂げる…まるで紗世の死をきっかけに「心のアンテナ」を折ってしまった学と入れ替わるように。
これらは全て、本来の学のあるべき姿、もしくは望んでいる姿の投影だ。
あの時、紗世を助けたかったという気持ちと、紗世とともにこれからも生きていきたかったという、今となっては叶いようもない願いを「心のアンテナ」を自ら引っ込めてしまった学の代弁として表現しているのだ。
そう考えれば、彼女らが「折れて」しまう事がワーストルートへの第一歩になってしまうのも何となく納得してしまう。
それは、主人公自らが「心のアンテナ」を伸ばすことを諦める事に直結しているのも同じだからだ。
水無川ワーストルートの時、優哉に犯されたともみが最後に「(こうなったのは)日下のせいです!!」と叫ぶシーンは、マジで怖い。
その瞬間、ともみの精神が破壊されたであろう、からではない。
紗世からの手紙のおかげで立ち直りかけた学が、再び自責の念で潰された時の最後の断末魔の様に俺っちには感じられたから。
美鶴にしても同じだろう。
草葉樹に取り込まれたことによって、彼氏と引き離されたことになった美鶴がどんどん情緒不安定になっていく様は、学が紗世を失ったことによって無感情になっていったのに通ずるものがある。
陵辱されている間中「痛いのはイヤ!」を連発する美鶴の姿は、やはりこれ以上傷つきたくない故に殻に閉じこもった学自身の慟哭の様に感じるのだ。
こういう痛さが、ここのスタッフ独特だなあ、と俺っちは感心している。
実際、こういう感じ方をするのは俺っちだけかもしれないが、こういった脇役にすら様々な解釈を持てる深いシナリオとその課程がスゴいと、素直に思う訳よ。
●橘宏人&相馬優哉(たちばなひろと&そうまゆうや)
ラスボス(笑)。
ワーストルートにおいて二人とも陵辱を開始してしまうキャラであり、彼らが壊れることによって、草葉樹が欲する「黒き想念」が閉じこめられた全員に発露してしまうのは恐ろしいの一言だ。
ただ…なんと言ったらいいのだろうか。
そこに至る課程が、この二人に関してはどことなく曖昧で多少書き込み不足なのが気にかかる。
もちろん、ワーストルートが確定するのは後半も後半。
その間、シナリオ中で彼らの性格や立場、人となりというものは存分に描かれてはいる。
だが、告白した万里子にのらりくらりと返事をかわされ、更に草葉樹に取り込まれるといった異常事態にイライラしている宏人が、ともみに迫られた事によって「黒き想念」を膨張させてしまうのはまだ理解出来るが、優哉が最初に美鶴を襲うのは、なんだか唐突でいささか面食らってしまった。
これは俺っちが最初にこのシナリオをやってしまった事にも原因があるかもしれないが、それにしてもちょっと描写不足なのでは? と思ってしまう。
それまでの課程で、優哉が元からかなり情緒不安定な性格なのは良く分かるのだが、いきなり切れた優哉が女の子とHしまくるのが続くのはなんとなく不自然な感じがした。
「Portrait」の二ノ宮ワーストシナリオの様に、主人公の親友である東一が壊れてしまうものすごい描写力に比べると、ちょっとパワー不足か。
こんな感じなので、今回の男性キャラは全体的にちょっとパワーダウンしたかな? という感じを受けている。
特に優哉はハッピールートでも今イチ煮え切らない、かなりイメージの悪いキャラクターとなってしまっているのが残念だ。
●ケ・モ・ノ・ミ・チ
……これは…いろんな意味で絶句した。
このシナリオは(ここの項だけシナリオ評価の形を取らせてもらおう)八つのEDを全てみることによって出現するおまけシナリオで、短いし、選択肢も一つも出現しない。
しかし、正直に言おう。
俺っちは今まで数々のHゲームをやってきた。
DOS時代から数えてもう八年以上やっている事になるし、自慢でも何でもなく、いい加減百戦錬磨だなあ、と思っている。
が、さすがに背中に寒気が走ったのはこれが初めてだ。
このシナリオに関してはネタバレをしたくないのであまり詳しく書くのは控えるが、扱いとしては春香ワーストルートの延長という形を取っており、とにもかくにも「こうくるか〜!?」っていう内容になっている。
最後に春香の口癖「なんてね」で締まり、最後にCoda
Happy Endの文字、そしてエンディングテロップの後にいつもはゲームを終了する時に出てくるSo
Close…
このゲームをやる機会がある人には、是非このシナリオをやってほしいとともに、一言一句の意味を考えてほしい。
(総評)
とにかく難解なストーリーだ。
語りたいことを詰め込みすぎているというか、正直スタッフの語りたいことを100%理解するのは相当難しい事だと思うし、俺っちも把握しきってはいない。
それでも、基本方針である「辛いことを乗り越える勇気」(ワーストルートならその逆)をシナリオ内に崩さずちゃんと盛り込んでいるのはさすがと言うべきか。
マニュアルを見ていると、いかにも痛ゲーを作りたかったという様なことが冗談半分で書かれていたが、なかなかどうしてそれを消化しつつ、よりメンタルな部分を掘り下げたシナリオは秀逸だ。
前作に当たる「Portrait」ほどの緻密さを今回感じられなかったのが残念ではあったが、それでも高レベル作品なのは疑う余地もない。
最後に。
コレは書くべきか、書かざるべきか非常に悩んだのだが、どうしても気になったので一応追記しておきたいと思う。
実は九拾八式メンバーの数人が俺っちの部屋に遊びに来た時、そのうちの二人ほどが、このCodaのパッケージを見て「購買意欲が沸かないキャラデザだ」とあっさり言い放った。
俺っち自身はここの原画のぶるべらさんの絵は結構お気に入りなのだが、確かに今回は「Blow」「Portrait」の時よりデザイン的に魅力を感じないなと思ったのも事実。
絵についてはド素人同然の俺っち故これ以上の言及は控えるけど、いくらシナリオが評価される世界になってきたこの業界でも、依然キャラデザの影響力はあまりにも大きいのが現状だ。
こんな理由で、こういう力のあるスタッフの作品が評価されないのは悲しいので、あえて追記させていただこうと思った次第だ。
平にご容赦。
(梨瀬成)