ぼくのなつあそび
 従妹たちと過ごす夏休みの、甘い秘密の体験☆


1.メーカー名:RAPTOR / SPIEL
2.ジャンル:夏休みエロ×2ADV
3.ストーリー完成度:D
4.H度:E (その手の人ならC?)
5.オススメ度:F
6.攻略難易度:D
7.その他:地雷スレスレ作品である事を警告


(ストーリー)
 崎谷亨は夏休みのある日、取材旅行へ出る小説家の叔母・水沢みさえに頼まれ、三人娘のお守りがてらに信州にある別荘へと赴いた。
 小さな頃から亨を慕い懐いていた、りこ・ちか・まゆの三姉妹とも久しぶりの再会になる。
 この田舎町の別荘で、亨は成長した従妹達と忘れられない一夏の体験をする事になった…


 このゲームには、本体プログラムと別に「簡易版」も同時に登録されている。
 内容は全く同じものなのだが、これはDirectX8.0が安定作動しない環境のために、画面エフェクトなど機能制限を行っているものらしい。
 本作をプレイするにあたってDirectX8.0以上の作動環境を必須としているのだが、インストールディスク内にはWin98とMe用のDirectX8.1インストールパッケージしか同梱されておらず、作動可能と記載されているにも関わらずWin2000やXP用は用意されていない。
 そのため、Win2000・XPユーザーは、何らかの手段でDirectXのアップデートを行わなければならないのだが、しかし本作を手にしたすべてのユーザーがオンラインでアップデートを行える環境を有しているわけではないので、これはあきらかに致命的な事だと思う。
 また、本体インストール時には、原因不明のエラーにより中断されてしまうなどの事があるとの事で、対応策としてレジストリ削除プログラムが用意されていた。
 こういう初期時点の不具合に留まらず、例えば効果音が鳴っている最中にコンフィグ設定の音量を調節すると音が止まらなくなったり、端々に不安定さが残っているようだ。
 さらに言うなら、本体プログラムをインストールしたあとでDirectXのアップデートを行うと、レジストリに不具合が生じる様で、[ゲームが登録されていない]とメッセージが表示され再インストールを余儀なくされる。

 おかげでゲームを始めるまでに無駄な時間を散々浪費させられたのだが、内容に至っても「萌え。」のいもぶる同様にフェチ傾向が強いと感じられたのだが、それに徹しきれているわけでもないため、従妹であるヒロイン達を妹属性として売っているわりに、どっち付かずな仕上がりになっている。


 叔母が帰ってくるまでの8日間に、ヒロイン別に振り分けられたイベントを黙々とこなしてゴールへと向かうのだが、シナリオは日付固定でイベントが用意されるわけではなく、朝に誰と遊ぶか…対象ヒロインを選択し、それが何回目の指名であるかによってその日に発生するイベントが決まってくる。
 ただ、同じヒロインを連日で指名できないため、亨は最低でもふたりと関係を持つ事になるのだ。
 一日のイベントは日中と夜間でふたつ用意されているが、三姉妹の告白イベントは日中限定であるため、例えば長女・りこを差し置いて、次女・ちかと三女・まゆの告白を先に受けたとすると、りこのイベントは三日後まで見る事が出来ない事になる。
 また蛍狩りや花火鑑賞など夜間限定のイベントも用意されており、誰とどう過ごしたかによって後の発生イベントに若干の変化が起きるようだ。
 イベントをヒロイン別に分類してみるとその順番は揃っているのだが、前述のように特定条件下でしか発生しないイベントもあるため、CG&イベントシーン100%達成を目指すなら、攻略には“それなり”に時間を必要とするだろう。

 舞台となっているのは海と山…環境に恵まれた信州の別荘地。
 夏休みで開放的になっている従妹を毒牙にかけ…もとい、幼い頃から慕ってくれている彼女達の想いを受け入れるのだが、三姉妹はそれぞれが亨と関係を持った事を内緒にしているものの、お互いがライバルである事を強く意識している。
 それを知りつつもひとりに決める事が出来ずにずるずると、機会に乗じては三姉妹を求め続ける亨の行動に誉められる点はひとつもない。

 また、根本的な疑問も残っている。
 そもそも、なぜ三姉妹とも亨にベタ惚れであるのか、その理由となる所が明かされていないのだ。
 幼い頃から仲がよかったとだけあったのだが、しかし亨は近所に住んでいるわけではない。
 そうなると学生の身分では年単位で会える回数も限られてくる環境で、よほどの事が無い限り三人揃って亨に惚れ込んだりはしないと思えたのだ。
 その“よほどの事”がまったく想像がつかない上、亨自身がとりわけ心優しいとか美形であるとか、そんな描写があるわけでもない。
 人の好みは様々だろうが、三姉妹が主人公に告白するシナリオの大前提であるものだけに、こういった部分にも触れていて欲しかった。

 恋人関係から“ゆくゆくは結婚”まで夢見ている三姉妹のうち、最終的に誰かひとりと結ばれる事になるのだが、これは定石通り最終日までにもっとも親密になった子が対象となる。
 しかし選ばれなかったふたりの姉妹も、その時点までは絶対に恋人の座を譲れないとしてきたのに、最終日にはどういうわけかあっさりと身を引いてしまうのだ。
 もし事前に「誰が選ばれても恨みっこ無し」などの話し合いが姉妹の間で出来ていたのだとしても、その描写が全く無いため、この幕引きはあまりにも違和感がありすぎる。
 他にも細々した物はかなりあったのだが、シナリオは締め括りまでもう少し丁寧に作るべきだと強く感じた。

 三姉妹は亨と情事に及んだ日、その経緯を日記に書いていたりするのだが、りこだけは恥じらった様子を窺えるものの、ちかまゆはむしろ楽しんでいる様子で、その受け止め方の違いも楽しめる要素だとは思えた。
 三姉妹だけでなく彼女達の母親〜叔母のみさえは離婚したのかどうかは定かではないが現在独身であり、それが伏線となっているものもある。
 この叔母が隠し持ってた「大人の玩具」が発見される事でイベントが起きたのだ。
 そんなものは自室にでも隠しておけばいいのに、よりによってテレビゲームの空き箱の中に入れてクローゼットの奥にしまっていたのだから、これでは娘に見つけてくださいといっているようなものだ。
 現に発見した時も、古いタイトルのゲームソフトを発掘するために引っ張り出した挙げ句だったりするわけだから、わざと置いていたのではと疑いたくもなる。

 また、ちょっとしたアクシデント要素として、三姉妹と4P状態になるイベントも用意されている。
 三姉妹と個別に数回ずつ肌を重ねている事が最低条件であるが、それにしても僅か一週間ばかりの間での出来事だ。
 それにお互いに関係を秘密にしているうえ、成り行きでも姉妹で亨を取り合う事に抵抗を感じない筈がない。
 この状況を説明したものなのだろうか、【まゆルート】の5日目夜に選択可能な4Pイベント発生時に、「普段から三姉妹がお互いに慰め合っているのでは?」…という亨の独白があった。
 確かに頻繁でないにせよ、時々そういう事があったのなら、このシチュエーションは納得できる。
 ただ、「そうであったなら」ということだけであり、実際に確証があるわけでもないのだが…


■ 水沢りこ ■
 長女としての自覚をしっかりと持っており、妹たちの面倒も家事の手伝いも積極的にする頼れる子。
 とても家庭的な資質に恵まれているのになぜか料理は苦手で、りこの作る手料理は妹たちを震え上がらせるとか。
 では誰が4人の食事を作っていたのか…。
 まさかと思ったが、亨はおさんどんの為に呼ばれたのだろうか?

 折角綺麗な浜辺があるのにカナヅチで泳げず波打ち際で溺れるし、そそっかしくて妹達にもよくからかわれて遊ばれている。
 どちらかといえばぼやーんとした性格なのだろうが、せわしない妹達のおかげでのんびりする時間もないといった感じ。
 年齢からいっても亨とお似合いらしく、帰宅したみさえりことの交際を報告した亨に対し、やっと云ってきたみたいな態度を取っていた所をみると、みさえもこのふたりが一緒になるだろうと察していたようだ。

 何事に付けても積極的になれないりこをひっぱり支えられる、そんな亨だったからみさえも娘との交際を承諾したのだろうが、このエンディングが一番違和感があった。
 先に述べたとおり、ふたりの妹は亨がみさえに報告する時もなんの抵抗も見せず、りことの婚約の席でも祝福していたのだ。
 亨が帰宅して一週間、叔母からの電話で婚約の話を聞くまでの間にどんなやり取りがあったのか、是非とも訊いてみたいものだ。

 それにしてもシチュエーションとしては面白かったが、庭の木陰で昼寝している妹達の目の前で、声を殺してのぷちアオカンはどうかと思うよ…


■ 水沢ちか ■
 次女のちかは、まさに「真ん中」を地でいく性格であり、快活でワガママ、そして細かい事が苦手だったりする。
 いつもけんか腰にしか意思を伝えられないちかだったが、ひとりの女の子として亨に想いを告げたシーンは、愛らしいとさえと感じられた。

 普段は男の子顔負けにはしゃいでいるちかも、亨とふたりきりの時はさすがにしおらしくなっているが、最初は亨との関係を一種のゲーム的な感じで捉えていた面があり、それが日を追うごとに譲れない物へと変わっていく自分の心に戸惑いを感じていた様だ。

 みさえの帰宅前、「誰が一番好きなのか」という亨が最も恐れていた質問をされ、しどろもどろに三人とも同じように好きだという答えを聞いて、独り落ち込んでしまった。
 りこまゆも、亨ならそう答えるだろうと予想していただけに、ちかの様子は姉妹にも予想外だったが、それが亨に対する想いの深さだと察して身を引く事にしたようだ。
 この後みさえの計らいでふたりは想いを確かめ合い、晴れて婚約の運びとなるのだが、このルートの終わり方だけがまともだったわけだ。

 そういえば、4Pイベントのひとつでも「三人とも好きだ」という答えでくんずほぐれつな展開になったのだが、その時とこのエンディングでの三姉妹の状況に顕著な差がなかったのは、とても残念に思う。


■ 水沢まゆ ■
 末っ子のまゆは、心身共にまだまだ発展途上な女の子。
 「口数が少なく、気持ちを人に伝えるのが苦手で内気な性格」と解説にあったが、本当にそうだろうか?
 確かに上手く意思を伝える事が出来ないようだが、“必要な事”以外なら結構よく喋っていたと思う。
 これが亨に対してだけ上手に甘えられるという設定を活かした物であるというならなおの事、姉達に対する意思の発し方との差をはっきりと付けるべきだろう。

 どちらにしても、ちかにつられて一緒にはしゃぎ回ってるお日様娘だと感じられたわけだが、子供然としているまゆに対しても差別なく事に及んでいる亨って、ある意味でマメかもね。
 そうやって肌を重ねるうち一気に色気を増してゆくのだから、帰宅した母親が見て気付かないはずもない。
 それを懸念して、ふたりの関係をどう切り出せばいいものか悩んでいた亨だったが、深夜に帰宅してきたみさえにふたりの情事をモロに目撃されてしまい、彼の気苦労も徒労に終わった。

 その場で怒られはしなかったが、有無を云わさず帰宅させられた亨の元に、まゆとの婚約の話がくる。
 こちらも【りこルート】同様に、音沙汰の無かった数日間にどんなやり取りがあったのかまったく語られていないため、都合よく話がまとまったようにしか感じられない。

 まぁ結婚はまだ先の事になるだろうが、亨とのHを「仲良し遊び」と日記に記していたお嬢ちゃんも、婚約披露宴ではドレスに身を包みすっかり大人の仲間入り。
 〜なんて考えてしまうあたりが、自分が年を取った証なんだな…


(総評)
 口を開けば悪い部分ばかりが突いて出てくるようだが、決して面白くなかったわけではない。
 ただ、執筆に必要なデータを取りながらのプレイであるにも関わらず、僅か5時間程度で完全クリア出来てしまうなど、超の字が涙で霞んで見えるぐらい「お手軽」であるのもさることながら、8300円という価格設定に対してこの内容であることに、最大の不満があるわけだ。
 単純に価格というだけなら、老舗のアリスソフトでは、充実した内容であるにも関わらず破格値で提供してきているし、他のブランドでも5000円企画品をラインナップしてきている。
 もちろん安価であるに越した事はないが、その為に採算が採れないなどという事では話にもならない。
 だからこそ、価格に見合った内容であって欲しいのだ。

 適正価格であるかどうか、最終的にそれを判断するのは購入したユーザーだが、本作はそれ以前だと思う。
 「これで良いだろう」と妥協したとしか思えない部分が、随所に見受けられるのだ。
 わざとそうしたとは思わないが、しかし最後まで努力をした結果であるなら、それなりに評価はされるだろう。
 現にインストール時点では不安定さが見られたシステム面も、いざゲームを始めてしまえば、予想以上に安定しており、不具合や煩わしさを感じる事は少なかった。
 キャラクターも可愛いし、CGも綺麗で、声優さんも良い味を出している。
 一番足を引っ張っているのは、間違いなくシナリオなのだ。

 Hシーンのバリエーションをどういうシチュエーションで展開するのか、知り合いのいない田舎町・海・山・三姉妹・独身の叔母(違)などいい素材がありながらも、本作はそれを持て余した感が強く、タイトルであるところの「ぼくのなつあそび」が、どういうコンセプトの元に制作されたものなのか、それすら曖昧になっている。
 単純に無垢な従妹たちに悪戯することに徹底しているわけでもなく、さりとて純愛とは程遠い姉妹泥沼争奪戦。
 結局遊ばれたのは亨の方だったのではという意見まで出てきそうで、そういう意味
では末恐ろしい作品である(笑)。



(あおきゆいな)



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