ぶるまー2000 〜BLOOMERS MILLENNIUM〜
 
 それは、1月下旬の事…
 TRRRR…
 TRRRR…
梨瀬成(以下・梨)「私だ」
後藤夕貴(以下・後)「いやー、誕生日おめでとう。これで君もめでたく○○歳になった訳だねえ、わっはっはっは…」
梨「のーがきはいーから、とっとと用件を言えよ」
 俺っちと誕生日、幾日もかわらんだろが!
後「いやな、せっかくだから(ふふ)誕生日のな(ぷぷ)プレゼントをな(クックク)用意したんだよ〜。取りに来いよ」
 ちなみに上の( )内は全て含み笑い。
梨「あん? おみゃーにしちゃ、いい心がけだねえ? ま、その含み笑いが気になるけど行ってやるか(ふんぞり返る)」
後「よろしく…」
 チン…
後「ぷぷぷぶわーーーーあはははははは!!!!!!!!
 一時間後…
梨「デ、コレハイッタイナニ?
後「誕生日プレゼントだよう。た・ん・じょ・う・び・ぷ・れ・ぜ・ん・と。いや〜、オープニング見た瞬間、ビビッときてねえ…」
 後藤のパソコンでOP起動。
BGM「ぶるまのせかいの秋葉原〜♪ ぶるま〜ず☆」
 おいおいなんじゃい、こりゃ? しかも、どう見てもう○だとかで○こみたいなヤツがぶるま穿いて出てきてるよ…いいのかよ…
梨「で、この『ぶるまー2000』とやらを、どうしろと?」
後「どうしろも何も、プレゼントなんだから、や・る・よ
梨「………」
後「あ、それからな」
梨「(マジ疲れた顔で)あん?」
後「ついでに、ソレの原稿もよ・ろ・し・く」
梨「テメー、塩水に漬けて後で用いてやるーーーーーーー!!!!!!!!!!!(意味不明)」
 
 
1.メーカー名:ライアーソフト
2.ジャンル:ADV
3.ストーリー完成度:B
4.H度:C
5.オススメ度:B
6.攻略難易度:C
7.その他:どーでもいいが、敵の「ブルマー十ケツ集」出来れば、十人全員出てきて欲しかったな。
 
 
(ストーリー)
 皆が寝静まった闇夜の世界で、陰の闘争が繰り広げられていた。
 かたや、伝説の「神のブルマー」を守るための米国秘密諜報組織「MIB(メン・イン・ブルマー?)」そして、それを追うのがブルマーによる世界征服を目論む「BB(ビッグブルマー)団」である。
 圧倒的なブルマーパワーでMIBの男達を追いつめるBB団!
 しかし、MIB最後の一人が、ヒロイン常葉愛(とこば・あい)の愛犬ブルに神のブルマーを託した事によって、愛はとてつもない抗争に巻き込まれるのだった。
 …何で、こんな真面目なストーリー解説せにゃならんのだろう、俺っち? しかもウソは全然書いてないし…
 
 
 希代のバカゲーと言われる「行殺新撰組」を出したライアーソフトの新作。
 実際、「行殺〜」は未プレイなのだが、確かに今回のこの「ぶるまー2000」、とんでもないギャグゲー・バカゲーである。これが、このライアーソフト独自のカラーなのだろう。
 しかし、正直な事を言うと、俺っち自身、この作品あまり期待はしていなかった。何と言っても、あのオープニングが相当にキテレツだった事もあるが、どっちかと言えば、いかにもお気楽H系という感じがして、本評論には耐えうるソフトではないだろうと思っていたのだ。
選ばれないソフト集結」のコーナーの原稿用としてプレイしてみよう…この程度の腹づもりだった。
 ところが、ゲームを始めてみてビックリ! 大体あのOPから俺っちは「ぶるまーずという性風俗店で、ブルマー履いたコスプレねーちゃんがHしまくるゲーム」ぐらいに勝手に考えていたのだが、ヒーローものの悪役(&ちょっぴりギャグ)全開で迫りくるBB団の連中もさることながら、第一話タイトルからして「月からきたブルマー」ときたモンだ。
 まさか、ブルマーでヒーローもの…いや、主人公が女の子だからヒロインものか…をやってくるとは思いも寄らなかった。いい意味で期待を裏切られた訳だ。
 だが、このムチャクチャな世界観が第一話で殆ど見せてもらえるので、それ以降の違和感というものは割とない。
 とにかく、全てがブルマーで彩られた世界観
 人類が文明を持つ遙か以前に地球にブルマリウム粒子のシールドを形成したのはブルマ星人だし、バトルシーンはブルマリウム粒子を蓄積しそれを解放して放つし、その必殺技名一つとっても「ブルマー衝撃波」「ブルマーシールド」「チェルノブルマー」etc…
 なんでもかんでもブルマーにしてしまうその潔さと、無理矢理と言ってもいいレベルでそれをストーリーに凝縮した作りは、なかなかのモノだと言っていい。
 実際、ギャグというのは口で言うほど簡単なモノではない。
 小説などを書いた事のある人間は分かると思うが、シリアスな文章を書くより、ギャグを書く方が遙かに難しいものだ。シリアスものなら、或いは自己陶酔した世界観で物事を書きつづる事も可能だろうけど(他人がどういう判断をするのかは別にしてさ)、ギャグは「人を笑わせる」事を大前提にしなければ成立しないのだから。
 作家の井上ひさし氏がギャグを生み出す手法として「卑小なるものを尊大にし、尊大なるものを貶める」と語っていたことがあるけど、この「ぶるまー2000」はそれに見事にハマッている。
 少なくとも、ギャグの基本はきっちりと押さえているわけだ。
 
 かつてアリスソフトから出ていた「宇宙快盗ファニーBee」という作品があったが、感覚的にはコレに近い。
 とにかくまず笑えるのが、様々な場面にちりばめられた過去のアニメやゲーム作品のパロディで、もちろん俺っちが気付かない古い作品のパロディもあるのだろうが、ヤ○トガン○ム、新しいトコロではKa○onのネタまで、ありとあらゆるパロディをテキストに盛り込んでいる点だ。
 あまりにマニアックなネタは避けて、今のHゲームをやっている年代の人間に分かりやすくしているのもプラス。
 また、パロディではない部分のギャグも気合いが入っていて、特にシナリオN「ドクターブルマーの場合」はかなりオイシイ。また、シナリオPの対タマランチ戦直前の洗脳されたあゆみが言う台詞「ブリッヂで弾丸避けられるんなら、上海雑伎団は世界最強なんだよ!」は腹を抱えて笑わせてもらった。まあ、これはネタが「マトリックス」だからパロディと言えなくもないけど。
 あと、ギャグだけに限らないけど、さりげに文章のレベルが高いのもプラスポイント。
 センスはいいし、何より読みやすい
 これは主人公が常葉愛である事から、基本的に視点が三人称になっているのに起因していると思うが、テンポよくサクサク進むシナリオ展開は実に上手。
 テキスト表示部分が三行分しかない事を良く把握している
 そして、そのテキストにジャストフィットしている左側の顔ウインドウに表示されるCGパターンの数々の使い方が本当に上手い。
 顔のCGが基本的に各キャラ一種類(さすがに愛は数種類ある)しかないのにも関わらず、そこの上にかぶせる様な表示の仕方を利用してピコハンマー、汗のマーク、バッテンマークetc…かなりの数のCGを表示する事により、雰囲気を出している。これは結構こだわってやっているなあ、という感じが出ていて一見の価値あり。
 
 しかし、反面欠点が多いのも事実だ。
 まず、最初に言いたいのがバトルシーン「ブルマーバトル」の出来があまり良くない点だ。
 かなり運に左右されるのだが、負けて何回もコンティニューしてしまうと、それまで軽快だったゲームのテンポが一気に崩される
 まあ、まずざっと欠点を上げていこう。
1.愛に不利な点が多すぎる
 HP100しかない事もさる事ながら、チャージの時の爆発率のバランスが悪すぎる。はっきり言ってしまうと戦闘中に一回誤爆したら、もう殆ど敗退確定だと言っていい
 誤爆はチャージしたムレムレ度がおじゃんになる上、HPに多大なダメージを被る。対タマランチ戦で三回連続(しかも内一回はチャージ方法が一人Hだったのにも関わらず)爆発した時はさすがに頭に来たものだ。これで愛のHPが100しかない事を考えると、やっていられない。
 しかもHPが少なくなると、愛の持病の発作が起こってそのままゲームオーバーにつながる事もある。
 そして、それ以上に敵のチャージに誤爆がないのが、一番腹立たしい。
 噂ではタマランチのドーピングは副作用で、失敗する事がある聞いた事があるが、お目にかかった事など一度もない。またビッグブルマー戦(二回目)の時の「やっぱ、刺激がたりないわ」も救済措置の様な気もするが、それ以外では敵の誤爆は見た事がない。
 同条件での戦いだというのなら、相手にも誤爆はあってしかるべきだと思うのだが。ただでさえ、敵のHPで愛以下の者なんて一人もいないのだから(最低でも200ある)。
2.強い敵は、本当にシャレにならない
 これは自分がその時持っている必殺技にもよるのだが、シナリオHのブジラ戦シナリオPのタマランチ戦は本当にツラい。
 ブジラはHP999の上に、最初のチャージがムダ撃ちになるため、愛のHP100も災いしてどうしても長期戦になってしまうのだ。これで体力切れを起こしてゲームオーバーになる事が少なくなかった。
 タマランチは、何と言ってもあのドーピングが最高に厄介。HP全回復の上、MAXHPを50上昇させる極悪技だ。しかも、これはあくまでもターンを消費せずに行えるため、これ以外にもタマランチは一回行動可能という…しかも、必ず毎ターン使ってくるし。
 一応、ブルマー衝撃波があれば勝てるが、これだと正直運にかなり左右される。
 実際、ブルマー衝撃波しか攻撃手段がない状態で行った時、十数回コンティニューさせられた事が俺っちはあるのだから。
3.ハマリがある!
 これも、実際に体験した事なのだが、レベル3にキッスとの合体技「ブルマークロス」、レベル2に敵の動きを封じる「レインボーブルマ」の組み合わせで行き、とあるバトルの時…確かシナリオGのブルマーオタク達とのバトルだったと記憶しているが、シナリオの進行上キッスがいないためブルマークロスが撃てず、さりとてレインボーブルマーで動きを封じて相手に通常攻撃でダメージを与えても、オタク召還で回復されてしまう、という状況に陥ってしまい、泣く泣くやり直した事があるのだ。
 とにかく、状況次第ではシナリオを最初からやり直さなくてはいけない事態が生じるのは勘弁して欲しい。結局、この事があってから俺っちはブルマー衝撃波だけは絶対に外さないように心がけたのだから。
4.技の選択・確認が出来ない
 まあ、これは些細な事だし、仕様だと言われればしょうがない事だけど、今自分が持っている必殺技を確認できないのは結構不便だし、チャージMAXの時にはその時撃てる必殺技を選択させてくれても良かったのでは? とも思う。
 まあ、これぐらいの欠点はご愛敬レベルだが。
 
 次の不満点があまりにもヒロイン愛にシナリオの比重が傾いている点。
 もっと具体的に言うと、愛のライバル的な存在である「B」があまり描かれていないのが若干不満なのだ。
 必ず最後の方のシナリオに関わってくる重要なキャラなため、出来ればもう少しちゃんとした描写が欲しかった。
 一応シナリオK「ブルマ川」とシナリオM「おいでませ! ここがブルマの隠れ里」をやれば、Bがかなり話にからんでくるため、一応サマにはなるのだが…
 結局、ストーリーが愛に傾きすぎているのと、シナリオが複数選択型になっているためこういう現象が起きてしまうのだろう。
 全体の真ん中(第四話とか…)あたりに強制的にBが愛に関わるシナリオを入れてあげたら、もうちょっとここらへんのバランスは良かったかもね。
 
 最後に真エンディングの存在。
 この作品がマルチエンドだというのは分かるけど、何もわざわざ真エンディングを隠す事もなかったと思うけど。
 ストーリー自体は八話分もあるのだから、シナリオとしてはかなり長い部類に入る。
 しかし、そんなに難しい訳ではないしろ、真エンディングを見たければそれなりに進むシナリオルートを考えなければならないため、全真エンディング確認はかなり骨が折れる。
 それより、考えて欲しいのは、あの真エンディングを隠す必要が何処にあったのかという事だ。
 あそこまでシナリオをプロセスを追ってやってきたプレイヤーになら、ハナから真エンディングを見せても良かったと思うんだけど。
 もし、ゲームとして、選択肢に意味を持たせたかったというのなら、真エンディングはシナリオT「卒業写真」とシナリオZ「女神の眠り」ぐらいに設定すれば良かったと思うよ。
 
 
(総評)
 文句がかなり多くなったが、総合的な出来はかなり良い。
 特に感じたのはギャグに対するこだわり、というかユーザーに笑ってもらおう、楽しんでもらおうという点をちゃんと考えて突き詰めてやっている事だ。
 決して悪くない文章力を持ちながら、それを自分達の描きたいものに傾けているのは、ある意味理想的だと言えるだろう。
 タイトルのネーミングから、いかにもイロモノっぽいイメージで敬遠している人も多いだろうが、ゲームにおいてギャグを受け入れられる人になら、かなりオススメの一品だ。
 なかなかの良作!
 
 
(おまけ)
梨「ホレ、ゲンコー」
後「おお! まさか本当に書いてくるとは思いもよらなかったよん」
梨「ほほう…アレは冗談だったとでも…?」
後「うにゅ。だってよ、いかにも乗り気じゃなかったみたいだから」
梨「ま、一番面白いかったからな…」
後「はあ?」
梨「だからな、俺っちの誕生日にな、他のヤツからもプレゼントもらったんだよ! 俺っち! まったく! どいつもこいつも! 何が悲しゅうて、誕生日にHゲームが一気に四本も増えにゃならんがよ! しかも、みーんな違うヤツからや!」
後「うーーーん、みんなオマエの事、わかってんなあ…」
梨「それで、そん中じゃ、コレが一番面白かったから評論書いたんだい!」
後「ぐは! 何か俺、ちょっぴり負けた気分…」
 
 
(梨瀬成)


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