愛姉妹 （WINDOWS版）
かつてエルフが、PC-98/ＤＯＳ時代にリリースした物を、リニューアルした作品です。
当時、鬼畜系と言われた作品はまだ少なく、この作品も、私以外のライター陣は好ましく思っていなかったようです。
あれから幾年。
より過激になってきている業界ですが、とある雑誌のアンケートにあった「過去の作品で移植して欲しい作品」の第三位にこの作品があり、またWeb上でも、人気が盛り上がっていた様です。
そんな「愛姉妹」の人気について、考えてみたいと思います。
１．メーカー名：ＥＬＦ
２．ジャンル：ＡＶＧ
３．ｽﾄｰﾘｰ完成度:Ｃ
４．H度:Ｓ
５．オススメ度：Ｃ
６．攻略難易度：Ｂ
７．その他：音楽について
このゲームについて、かつて私自身がＤＯＳ版をプレイし「九拾八式･改」にて拙い文章を書かせていただきました。
その関係から、今回後藤の旦那からの白羽の矢が立ちまして、急遽“筆を取るならぬATOKを立ち上げる”(byNAKA)事になりました。
で、発売早々に入手しプレイしてみたんですが、まずストーリーはもちろん、マルチシナリオの分岐、テキスト、セリフの果てまでＤＯＳ版と変わっていません。
つまりは過去の攻略記録がまんま使えたので、そういう点では、時間のない私にはありがたいですね。
逆を返すと、もう一回あの面倒なことをしなくてはという、先の見えるゲームと言うことになるわけで、これはどちらがいいのかは考え物です。
かといって、タイトルだけ同じでシナリオを変えたり、分岐地点を新たにしてみたりしたら、ファンは怒るかもしれないし。
ま、当時のプレイヤーにとっては懐かしく、今のプレイヤーは過去の作品にふれるという点では正解でしょう。
ではどこが違うのか。
まずは、なんと言ってもキャラクターデザインでしょう。
依頼の際旦那から「今回かなり絵が変わったよ。前の方がいいような気がする」と言われており、あまり絵柄にこだわらない私も内心不安を感じていました。
しかし始めてしまうとそんなに違和感は感じずに済み、これについては個人差かな、というのが感想です。
またよくは分からないんですが、デザインされた方は「同級生1&2」の原画をやられた方だとか。
詳しくは、ネット上のその手のサイトを漁って下さい(無責任)。
他の変更点としては、音声が付いたことでしょうか。
以前と違ってＣＤという大容量ですし、音声圧縮技術もかなり向上してますから。
但し、その演じる声優さんがそのキャラクタの容姿に合ってるのか、また演技が旨いのかどうかは、その限りではありませんが。
そして音楽は先述の通りですから、ヴィジュアル的、オーディオ的には新作といえるかも知れません。
で、ストーリー・キャラクターの行動・言動は全くもって変わらないので、私個人の評論も、これと言って「九拾八式・改」の時と変わらないのです。
このゲームの売りはＨシーンなのは明白なんですが、所々で垣間見る、情や本能や欲、人を思うといった人間臭さが魅力と感じます。
特に感じたのがエンディング３で、丈人が北川家の人々に迎えられるというもので、幸恵は丈人の孤独さに母性本能をくすぐられ、留美はその強引さに、智子は初恋の相手を思い(恐らく彼女が「丈人を助けたい」と口火を切ったのだと思う)、そして由美は両親を奪った男の息子に、憎しみと同じくらい哀れみを感じていたように思えます。
だから警察に言わず、彼を助けたのでしょう。
そしてその彼に科せられた罰は、見てのお楽しみ。
ある意味捕まってた方が、体力的に安全かもしれません。(笑)
それ以外のシーンにも各キャラクタの持つ感情が出ていて、個人的にはそういう点が面白く、最近純愛系でも鬼畜な事が出来るのとは逆で、鬼畜なゲームの中にも純愛なシーンがあるという感じで、良いと思います。
(総評)
かつて出したゲームをもう一度世に出す、所謂リニューアルというのがこの何年か前から目立つように感じられます。
もっとも以前からあったのだろうけど、私自身があんまり意識してなかっただけのことなんでしょうね。
特にＥＬＦは、ここ三年で新作といえるのが二作だけで、後は総てＤＯＳ時代の移植&リニューアルという、ある意味すごいことをやっているメーカーだと思います。
それでも、出すソフトがスマッシュヒットし続けてるのですから、これもある意味すごいと思います。
出してるソフトがすごいのか、それを作ってるメーカーがすごいのか、正に“卵が先か鶏が先か”の世界ですね。
何はともあれ、個人的には過去作よりも新作が出ないかと思う口なので、そちらにも力を入れて欲しい次第です。
と書いてる現在「BE-YOND」がリリースされてます。
うぬー、これは後藤夫妻に任した！
これより手前、夏の陣に突入成り。
(鷹風 虎徹)
